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資料2-3 重篤副作用疾患別対応マニュアル 抗がん剤による口内炎(案) (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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用や、投与期間が長い場合は口内炎の発生頻度が高まり、重篤になると治療
の継続に悪影響を及ぼすこともある。発生頻度は抗がん剤の種類により様々
であるが、約 30~40%と比較的高い副作用である 3)。
分子標的治療薬は、がん細胞が持つ特定の標的分子にのみ作用し、抗腫瘍
効果を示す薬剤である。殺細胞性抗がん薬と比較して、副作用の発生が低い
と考えられがちであるが、実際にはそれぞれの薬剤に特有の副作用があり注
意が必要である。腫瘍増殖に関与する mTOR(エムトール)タンパクの働きを阻
害するエベロリムスやテムシロリムスなどでは、口内炎の頻度が高いとされ
る。
(1)自覚的症状
口腔内の接触痛・出血・冷温水痛、口腔乾燥、口腔粘膜の腫脹、開口障害、
咀嚼障害、嚥下障害、味覚障害
(2)他覚的症状(所見)
口腔粘膜の発赤、紅斑、びらん、アフタ、潰瘍、偽膜、出血。悪化すると
発熱、口腔分泌物過多、口臭がみられる。
(3)臨床検査
抗がん剤による口内炎の診断に参考となる検査は、炎症反応の指標である
CRP、栄養状態の指標である総蛋白、アルブミンなど、骨髄抑制の指標である
末梢血液像、起因菌同定のための口腔細菌検査などがある。
(4)病理検査所見
粘膜上皮から固有層にいたる組織の境界明らかな壊死層がみられ、この部
に線維素の析出をきたし偽膜を形成する。壊死層の下に潰瘍がみられ、潰瘍
の底部には血管の拡張を伴う強い炎症性細胞浸潤がみられる。
(5)発生機序
殺細胞性抗がん剤が直接 DNA 合成を阻害すること、また細胞の生化学的代
謝経路を阻害することにともない発生するフリーラジカルによる口腔粘膜組
織の損傷に加え、口腔細菌感染、低栄養、骨髄抑制などの免疫低下による二
次的感染により発生する。また、抗がん剤のアレルギー反応によっても生じ
る場合もある。
分子標的薬による副作用(口内炎など)の発生機序の詳細は、いまのとこ
ろ完全には解明されていない。
(6)薬剤ごとの特徴 5)
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