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【資料50-1】人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針見直しの方向性について(取りまとめ)改 (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2021/mext_00053.html |
出典情報 | 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会(第50回 10/5)《文部科学省》 |
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2.インフォームド・コンセントのあり方に係る論点
(1)仮名加工情報の利用に係るインフォームド・コンセント手続
<現行指針における取扱い>
仮名加工情報を研究に用いる場合、当該情報は基本的には個人情報に該当することから、既に仮名
加工情報として作成されているものに限りインフォームド・コンセント(以下「IC」という。)手
続が不要とされている(指針第8の1⑵ア(ア)②、同イ(ア)
)。
新たに作成する仮名加工情報を研究に用いる場合、個人情報をこれから加工することとなるため、
公衆衛生例外などの例外規定に該当しない限りICを取得することが必要である(指針第8の1⑵
ア、同イ)
。
≪論点≫
●
医療機関が保有する仮名加工情報を用いた AI 医療機器の開発にかかる企業との共同研究に関する指
針上のIC手続について、令和 3 年度厚生労働科学研究費補助金(政策科学総合研究事業 臨床研究
等 ICT 基盤構築・人工知能実装研究事業)AI を活用した医療機器の開発・研究におけるデータ利用
の実態把握と課題抽出に資する研究(21AC0701)研究班より、下記のとおり指摘がなされた(第
5回合同会議参考資料2-1、参考資料2-2)。
生命・医学系指針第4章第8の 1(2)イ(試料を用いない研究)において、インフォーム
ド・コンセントを受けない場合の要件として「(ア) 当該研究に用いられる情報が仮名加工
情報(既に作成されているものに限る。)
、匿名加工情報又は個人関連情報である場合」と
規定されているが、この場合の仮名加工情報が、
「既に作成されているものに限る。
」とな
っている点は、仮名加工情報を利活用したいという医療機関や企業側から見れば実質的に
生命・医学系指針独自の上乗せ規定のようにも見え、企業が共同利用の枠組みで、仮名加
工情報を AI 医療機器の開発に利活用する上で弊害となりうることが懸念される。
個人情報でない仮名加工情報は、作成を開始する時点においては個人情報であり、作成が
完了した段階においては他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できない情報である
ため、生命・医学系指針第4章第8の1(2) イ(試料を用いない研究)について、
「既に作
成されているものに限る」の要件が匿名加工情報には課されず、仮名加工情報(個人情報
でない仮名加工情報)にのみ課されることは、整合性がとれていないのではないか。
以上より、令和 2 年改正個人情報保護法では情報の利活用促進を目的として仮名加工情報
が新設されたが、改正生命・医学系指針では「既に作成されているもの」に該当しない仮
名加工情報の利活用について、実質的に上乗せ規定が設けられており、仮名加工情報の利
活用を進める上で弊害となっているため、今後見直しなどが求められるのではないか。
●
個人情報でない仮名加工情報については、匿名加工情報とは加工の程度及び個情法上の取扱い(第
三者提供の可否等)が異なることから、同様に考えるべきではないのではないか。
●
また、新たに仮名加工情報を作成する場合、現行指針においては、公衆衛生例外などの個情法上の例
外規定に該当しない限り、ICを取得しなければならないが、年数の経過した過去の患者からICを
取得することは困難であるとの指摘がある。
●
仮名加工情報の利活用推進と研究対象者保護の観点からの見直しが必要ではないか。
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(1)仮名加工情報の利用に係るインフォームド・コンセント手続
<現行指針における取扱い>
仮名加工情報を研究に用いる場合、当該情報は基本的には個人情報に該当することから、既に仮名
加工情報として作成されているものに限りインフォームド・コンセント(以下「IC」という。)手
続が不要とされている(指針第8の1⑵ア(ア)②、同イ(ア)
)。
新たに作成する仮名加工情報を研究に用いる場合、個人情報をこれから加工することとなるため、
公衆衛生例外などの例外規定に該当しない限りICを取得することが必要である(指針第8の1⑵
ア、同イ)
。
≪論点≫
●
医療機関が保有する仮名加工情報を用いた AI 医療機器の開発にかかる企業との共同研究に関する指
針上のIC手続について、令和 3 年度厚生労働科学研究費補助金(政策科学総合研究事業 臨床研究
等 ICT 基盤構築・人工知能実装研究事業)AI を活用した医療機器の開発・研究におけるデータ利用
の実態把握と課題抽出に資する研究(21AC0701)研究班より、下記のとおり指摘がなされた(第
5回合同会議参考資料2-1、参考資料2-2)。
生命・医学系指針第4章第8の 1(2)イ(試料を用いない研究)において、インフォーム
ド・コンセントを受けない場合の要件として「(ア) 当該研究に用いられる情報が仮名加工
情報(既に作成されているものに限る。)
、匿名加工情報又は個人関連情報である場合」と
規定されているが、この場合の仮名加工情報が、
「既に作成されているものに限る。
」とな
っている点は、仮名加工情報を利活用したいという医療機関や企業側から見れば実質的に
生命・医学系指針独自の上乗せ規定のようにも見え、企業が共同利用の枠組みで、仮名加
工情報を AI 医療機器の開発に利活用する上で弊害となりうることが懸念される。
個人情報でない仮名加工情報は、作成を開始する時点においては個人情報であり、作成が
完了した段階においては他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できない情報である
ため、生命・医学系指針第4章第8の1(2) イ(試料を用いない研究)について、
「既に作
成されているものに限る」の要件が匿名加工情報には課されず、仮名加工情報(個人情報
でない仮名加工情報)にのみ課されることは、整合性がとれていないのではないか。
以上より、令和 2 年改正個人情報保護法では情報の利活用促進を目的として仮名加工情報
が新設されたが、改正生命・医学系指針では「既に作成されているもの」に該当しない仮
名加工情報の利活用について、実質的に上乗せ規定が設けられており、仮名加工情報の利
活用を進める上で弊害となっているため、今後見直しなどが求められるのではないか。
●
個人情報でない仮名加工情報については、匿名加工情報とは加工の程度及び個情法上の取扱い(第
三者提供の可否等)が異なることから、同様に考えるべきではないのではないか。
●
また、新たに仮名加工情報を作成する場合、現行指針においては、公衆衛生例外などの個情法上の例
外規定に該当しない限り、ICを取得しなければならないが、年数の経過した過去の患者からICを
取得することは困難であるとの指摘がある。
●
仮名加工情報の利活用推進と研究対象者保護の観点からの見直しが必要ではないか。
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