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19【参考資料2-7】百日せきワクチン ファクトシート (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29181.html |
出典情報 | 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(第41回 11/18)《厚生労働省》 |
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の改善効果は期待できないが、他者への二次感染防止を目的に抗菌薬投与が行われる。
百日咳治療の第一選択薬はマクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン、クラリスロマシ
ン、エリスロマイシン)とされるが、中国では北京を含む北部でマクロライド耐性百日
咳菌の増加が認められている 50,51)。2013〜2014 年の臨床分離株のうち 9 割以上がマクロ
ライド系抗菌薬に高度耐性(*MIC >256 mg/L)を示し、1 株を除き全株に蛋白合成を担
う 23S リボソーム RNA の遺伝子変異(A2047G)が認められた。日本ではマクロライド
高度耐性菌はいまのところ確認されていないが、今後マクロライド耐性菌については継
続した監視が必要となっている(厚生労働省研究班、研究代表者 宮崎義継、研究分担
者 蒲地一成)52)。なお、日本では 2000 年代にキノロン系抗菌薬に低感受性を示す百日
咳菌が複数分離されたが、その後キノロンに対する高度耐性菌は確認されていない
53)
。
*
MIC(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)
⑤
予防法
百日咳は感染力の強い疾患であり、ワクチン接種による予防が最も効果的である。現
在、日本では生後 3 か月から沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワク
チン(DTaP-IPV)の接種が開始されている。現行の沈降精製百日せきワクチン(Acellular
pertussis vaccine :aP)は副反応を引き起こす菌体成分を除いた無細胞ワクチンであり、
その主要抗原は無毒化した百日咳毒素(トキソイド)と繊維状赤血球凝集素である。百
日咳毒素は世界で接種されるすべての精製百日せきワクチンに含まれ、発症予防に関わ
る防御抗原として特に重要である。近年、マントヒヒを用いた百日咳菌感染モデルが新
たに開発され、精製百日せきワクチンの防御メカニズムが検証された 54)。精製百日せき
ワクチン接種後に百日咳菌に曝露したヒヒをワクチン未接種ヒヒと同じケージ内で飼
育すると、百日咳菌曝露ヒヒ(ワクチン接種ヒヒ)からワクチン未接種ヒヒに百日咳菌
が感染することが報告された 55)。ワクチンを接種した感染ヒヒにも感染が認められたが
症状を示さなかったことから、精製百日せきワクチンは百日咳の発症を予防できるが菌
の感染自体は防げないことが示された。このことから、現行の精製百日せきワクチンは
発症予防に優れるが、感染予防に劣ると考察されている。
沈降精製百日せきワクチンは終生免疫を付与できないため、小児期にワクチン接種を
受けた青年・成人も百日咳に対する感受性者となりえる。米国では「大人から子供」へ
の感染防止を目的に、2005 年に青年・成人用の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混
合ワクチン(Tdap, 販売名 ADACEL™、BOOSTRIX®)の使用を認可し、その後推奨さ
れた。Tdap は従来の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)に比較
してジフテリア毒素抗原量および百日咳抗原量が減量されており、ADACEL™(Sanofi
Pasteur)と BOOSTRIX® (GlaxoSmithKline Biologicals)の接種対象年齢はそれぞれ 11
〜64 歳と 10 歳以上である 56,57)。米国予防接種諮問委員会(The Advisory Committee on
Immunization Practices: 以下、ACIP という)は、11〜18 歳の青年(11〜12 歳が望まし
12
百日咳治療の第一選択薬はマクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン、クラリスロマシ
ン、エリスロマイシン)とされるが、中国では北京を含む北部でマクロライド耐性百日
咳菌の増加が認められている 50,51)。2013〜2014 年の臨床分離株のうち 9 割以上がマクロ
ライド系抗菌薬に高度耐性(*MIC >256 mg/L)を示し、1 株を除き全株に蛋白合成を担
う 23S リボソーム RNA の遺伝子変異(A2047G)が認められた。日本ではマクロライド
高度耐性菌はいまのところ確認されていないが、今後マクロライド耐性菌については継
続した監視が必要となっている(厚生労働省研究班、研究代表者 宮崎義継、研究分担
者 蒲地一成)52)。なお、日本では 2000 年代にキノロン系抗菌薬に低感受性を示す百日
咳菌が複数分離されたが、その後キノロンに対する高度耐性菌は確認されていない
53)
。
*
MIC(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)
⑤
予防法
百日咳は感染力の強い疾患であり、ワクチン接種による予防が最も効果的である。現
在、日本では生後 3 か月から沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワク
チン(DTaP-IPV)の接種が開始されている。現行の沈降精製百日せきワクチン(Acellular
pertussis vaccine :aP)は副反応を引き起こす菌体成分を除いた無細胞ワクチンであり、
その主要抗原は無毒化した百日咳毒素(トキソイド)と繊維状赤血球凝集素である。百
日咳毒素は世界で接種されるすべての精製百日せきワクチンに含まれ、発症予防に関わ
る防御抗原として特に重要である。近年、マントヒヒを用いた百日咳菌感染モデルが新
たに開発され、精製百日せきワクチンの防御メカニズムが検証された 54)。精製百日せき
ワクチン接種後に百日咳菌に曝露したヒヒをワクチン未接種ヒヒと同じケージ内で飼
育すると、百日咳菌曝露ヒヒ(ワクチン接種ヒヒ)からワクチン未接種ヒヒに百日咳菌
が感染することが報告された 55)。ワクチンを接種した感染ヒヒにも感染が認められたが
症状を示さなかったことから、精製百日せきワクチンは百日咳の発症を予防できるが菌
の感染自体は防げないことが示された。このことから、現行の精製百日せきワクチンは
発症予防に優れるが、感染予防に劣ると考察されている。
沈降精製百日せきワクチンは終生免疫を付与できないため、小児期にワクチン接種を
受けた青年・成人も百日咳に対する感受性者となりえる。米国では「大人から子供」へ
の感染防止を目的に、2005 年に青年・成人用の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混
合ワクチン(Tdap, 販売名 ADACEL™、BOOSTRIX®)の使用を認可し、その後推奨さ
れた。Tdap は従来の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)に比較
してジフテリア毒素抗原量および百日咳抗原量が減量されており、ADACEL™(Sanofi
Pasteur)と BOOSTRIX® (GlaxoSmithKline Biologicals)の接種対象年齢はそれぞれ 11
〜64 歳と 10 歳以上である 56,57)。米国予防接種諮問委員会(The Advisory Committee on
Immunization Practices: 以下、ACIP という)は、11〜18 歳の青年(11〜12 歳が望まし
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