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19【参考資料2-7】百日せきワクチン ファクトシート (14 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29181.html |
出典情報 | 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(第41回 11/18)《厚生労働省》 |
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いとされる)と成人(Tdap 未接種の 19 歳以上)に Tdap の単回接種を推奨している 57)。
2016 年 2 月に阪大微研が製造する
日本では Tdap の製造販売は承認されていないが、
「沈
降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP、販売名トリビック®)」の製造
販売承認書の一部変更が行われ、成人を含む全年齢層への追加接種が可能となった。
ワクチン以外の予防法として、抗菌薬の予防投薬が挙げられる。海外では百日咳の院
内感染予防にマクロライド系抗菌薬の予防投薬が積極的に行われ、感染予防に効果を発
揮している
58-60)
。日本では 2007 年に大学等で発生した百日咳集団感染事例において、
感染拡大防止を目的に大規模な予防投薬が行われた 12,61,62)。ただし、日本では予防投薬
は健康保険適用となっていない。
⑥
その他
厚生労働省研究班(研究代表者 岡部信彦、研究分担者 蒲地一成)では遷延性咳嗽の
成人患者を対象に百日咳菌保菌調査を実施し、咳嗽成人患者の 3 割から百日咳菌遺伝子
を検出している 28)。同調査では成人と小児の流行時期(4〜7 月)が一致したことから、
「大人から子供」または「子供から大人」への感染がある程度の頻度で起きている可能
性を指摘している。また、成人と小児における百日咳菌保菌量には有意差が認められ、
成人患者の百日咳菌保菌量は小児患者の 250 分の 1 程度と見積もられている 63)。成人百
日咳の非典型的な臨床像ならびに低い診断率には、この低い保菌量が関与するものと考
察されている。
また、百日咳菌の流行株には遺伝子的な変化が認められ、欧米では百日咳毒素産生量
が増加した流行株(ptxP3 株)の関与も指摘されている
64,65)
。日本では 2000 年代から
ptxP3 株の増加が認められ、2008〜2010 年の全国的な百日咳流行では新たな遺伝子型を
持つ ptxP3 株(遺伝子型 MT27d)の増加が認められている 9)。また、日本を含めた多く
の先進国では定着因子パータクチン(Prn)を欠損する百日咳菌が出現している
66-68)
。
欧米では 1990 年後半にこれまでの全菌体百日せきワクチンに代わり Prn 抗原を含む精
製百日せきワクチンを導入した。新しいワクチンの導入後に Prn 欠損株が出現したこと
から、精製百日せきワクチンが Prn 欠損株の選択圧となった可能性が議論されている 69)。
(3)国内の疫学状況
①
患者数
1999 年 4 月に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、
感染症法という)」70)が施行され、百日咳は感染症法に基づく感染症発生動向調査の定
点把握疾患として全国約 3,000 箇所の小児科定点から、毎週最寄りの保健所に年齢別・
性別に患者数が報告されている。感染症発生動向調査に基づく届出基準及び届出のため
に必要な臨床症状を示す。
<届出基準>
13
2016 年 2 月に阪大微研が製造する
日本では Tdap の製造販売は承認されていないが、
「沈
降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP、販売名トリビック®)」の製造
販売承認書の一部変更が行われ、成人を含む全年齢層への追加接種が可能となった。
ワクチン以外の予防法として、抗菌薬の予防投薬が挙げられる。海外では百日咳の院
内感染予防にマクロライド系抗菌薬の予防投薬が積極的に行われ、感染予防に効果を発
揮している
58-60)
。日本では 2007 年に大学等で発生した百日咳集団感染事例において、
感染拡大防止を目的に大規模な予防投薬が行われた 12,61,62)。ただし、日本では予防投薬
は健康保険適用となっていない。
⑥
その他
厚生労働省研究班(研究代表者 岡部信彦、研究分担者 蒲地一成)では遷延性咳嗽の
成人患者を対象に百日咳菌保菌調査を実施し、咳嗽成人患者の 3 割から百日咳菌遺伝子
を検出している 28)。同調査では成人と小児の流行時期(4〜7 月)が一致したことから、
「大人から子供」または「子供から大人」への感染がある程度の頻度で起きている可能
性を指摘している。また、成人と小児における百日咳菌保菌量には有意差が認められ、
成人患者の百日咳菌保菌量は小児患者の 250 分の 1 程度と見積もられている 63)。成人百
日咳の非典型的な臨床像ならびに低い診断率には、この低い保菌量が関与するものと考
察されている。
また、百日咳菌の流行株には遺伝子的な変化が認められ、欧米では百日咳毒素産生量
が増加した流行株(ptxP3 株)の関与も指摘されている
64,65)
。日本では 2000 年代から
ptxP3 株の増加が認められ、2008〜2010 年の全国的な百日咳流行では新たな遺伝子型を
持つ ptxP3 株(遺伝子型 MT27d)の増加が認められている 9)。また、日本を含めた多く
の先進国では定着因子パータクチン(Prn)を欠損する百日咳菌が出現している
66-68)
。
欧米では 1990 年後半にこれまでの全菌体百日せきワクチンに代わり Prn 抗原を含む精
製百日せきワクチンを導入した。新しいワクチンの導入後に Prn 欠損株が出現したこと
から、精製百日せきワクチンが Prn 欠損株の選択圧となった可能性が議論されている 69)。
(3)国内の疫学状況
①
患者数
1999 年 4 月に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、
感染症法という)」70)が施行され、百日咳は感染症法に基づく感染症発生動向調査の定
点把握疾患として全国約 3,000 箇所の小児科定点から、毎週最寄りの保健所に年齢別・
性別に患者数が報告されている。感染症発生動向調査に基づく届出基準及び届出のため
に必要な臨床症状を示す。
<届出基準>
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