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19【参考資料2-7】百日せきワクチン ファクトシート (22 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29181.html
出典情報 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(第41回 11/18)《厚生労働省》
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ことで対象者がワクチンを接種しやすい環境を整えた。また、Tdap の効果が 10 年間持
続するとの想定から、将来的には 10 年ごとに接種している DT トキソイドを Tdap で置
き換えることが計画された。その後、接種対象者を 19〜64 歳、さらに 65 歳以上も含め
た成人層に拡大し、小児期に DTaP 未接種であった 7〜10 歳の小児にも推奨を拡大した
56,95)



2010 年には米国全体で 27,550 人の百日咳患者報告があったが、カリフォルニア州か
らの報告が 9,159 人(人口 10 万人あたり 24.55 人)と約 3 割以上を占めた。患者年齢分
布は乳児が最多であったが、次いで 7〜10 歳、特に 10 歳の患者数が多かった。この年
齢群(7〜10 歳)では、ワクチン歴の判明している患者のうち 79%が 5 回の DTaP 接種
を受けていた。10 歳児は DTaP の追加接種から 6 年程度が経過していることから、ワク
チンによって獲得した免疫の減衰がこの年齢群での流行原因として考察されている
96,97)



Tdap 導入直後は患者数の増加が減少した年も認められたが、2012 年には 48,277 人の
患者報告があり、これは 62,786 人の報告があった 1955 年に次いで多い報告数となり、
患者年齢層も引き続き青年・成人層に多かった。この年、米国西海岸ワシントン州では
百日咳患者の報告数が急増し、州全土に非常事態宣言が出された。6 月の時点で患者数
は 2,500 人(人口 10 万人あたり 37.5 人)を超え、前年の同時期と比べて 1,300%増とい
うアウトブレイクであった 98)。このアウトブレイクの詳細な疫学調査から、米国の他の
地域と同様に、0 歳と 10 歳の患者数が多いことが明らかとなった。さらに 13〜14 歳の
患者が増加していた点が特徴的であった。患者の年齢分布に DTaP と Tdap の接種時期
を重ねると、それぞれのワクチンを接種した直後の年齢層の患者数は少ないが、ワクチ
ン接種後 2〜3 年後に患者の集積が認められた。このアウトブレイクでは、19〜35 か月
齢の患者群の DTaP 接種率は 93.2%(3 回以上)
、青年層での Tdap の接種率は 70.6%で
あったことから、ワクチン接種率が高ければ接種後一定期間はワクチンによって百日咳
の発症を予防できるが、Tdap は予想よりかなり早く免疫力が減衰することが示唆され
た。その後、同じ集団における Tdap のワクチン効果(Vaccine Effectiveness:VE)に関
する研究がなされた。接種後 1 年間の VE は 73%(95% CI: 60-82%)であったが、その
後の 2〜4 年間で 34% (95% CI: -0.03-58%)まで低下することが報告された 99)。なお、
小児期に接種したワクチンの種類を比較すると、5 回全て wP を接種していた患者数は、
aP を接種していた患者数よりも有意に少なかった。このことから、小児期に接種した
ワクチンの種類によりその後の Tdap の発症予防効果が大きく異なる可能性が指摘され
ている 100)。
Tdap には百日咳発症予防効果はあるが、持続期間が短いという特性が明らかになっ
た。Tdap をさらに追加接種する方法が検討されたが、ワクチンによって予防される症
例数は少なく、5 年後に追加接種を行っても数年後には再び感染のリスクにさらされる
可能性が高く、医療経済的に有効ではなかった
21

101)

。この方法では患者数を減少させな