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19【参考資料2-7】百日せきワクチン ファクトシート (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29181.html |
出典情報 | 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(第41回 11/18)《厚生労働省》 |
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1.
百日咳の基本的知見
(1)はじめに
百日咳はワクチンで予防可能な疾患(Vaccine Preventable Diseases, VPD)の一つであ
るが、現在多くの先進国で百日咳の再興が認められている。この原因として、百日せき
ワクチンの免疫効果が 4〜12 年で減衰すること 1, 2)、また環境中の百日咳菌が減少しブ
ースター効果が得られなくなったことが挙げられている。日本では 2000 年以降、青年・
成人患者の報告数が増加し、これらの年齢層が重篤化し易い乳児の感染源となっている。
現在多くの先進国では新たな百日咳対策として青年・成人層への百日せきワクチンの追
加接種や妊婦への接種が行われている。
2010 年 7 月に国立感染症研究所は百日せきワクチンに関するファクトシートを作成
した。その後、百日咳に関し新たな科学的知見が集積したことから、現行ファクトシー
トの更新・追加が必要となった。また、2016 年 2 月に一般財団法人阪大微生物病研究
会(以下、阪大微研)が製造する「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(ト
リビック®)
」
(DTaP)の製造販売承認書の変更が行われ、乳幼児期に 3 回又は 4 回接種
された 11 歳〜13 歳未満の小児、
さらに青年・成人層における追加接種が可能となった。
今回のファクトシート改訂では、日本の百日咳対策の基本資料とすることを目的に、こ
れまでに得られた科学的知見について整理を行った。
(2)疾患の特性
百日咳は、主にワクチン接種が始まる前の乳児またはワクチン未接種の小児が発症し
ていたが、近年ではワクチン効果が減弱した青年・成人層の感染が新たな問題となって
おり、青年・成人保菌者が乳幼児の感染源となることが指摘されている
3-5)
。日本では
1948 年に百日せきワクチンが導入され、1950 年から予防接種法に基づく定期接種にな
った。その後のワクチンの普及とともに百日咳患者は激減した。しかし、現行の精製百
日せきワクチンの免疫持続期間は 4〜12 年とされ
の増加が認められている
6-10)
1, 2)
、多くの先進国で青年・成人患者
(図1)。日本では 2002 年以降小児科定点から報告される
注)
成人患者数 が急増し、2007 年には複数の大学で大規模な集団感染事例が発生した 11-13)。
2008〜2010 年には全国的な百日咳流行が発生し、報告患者数のうち青年・成人患者は
全体の 40.7〜52.9%を占めた 9)。また、保育所、小・中学校などでも集団感染事例が認
められ、近年では低年齢層を中心とした地域的な流行が散発している 14-19)。
注)小児科定点には内科などを併設する医療機関が含まれており、そこから成
人患者が多数報告されているものと推察されている。
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百日咳の基本的知見
(1)はじめに
百日咳はワクチンで予防可能な疾患(Vaccine Preventable Diseases, VPD)の一つであ
るが、現在多くの先進国で百日咳の再興が認められている。この原因として、百日せき
ワクチンの免疫効果が 4〜12 年で減衰すること 1, 2)、また環境中の百日咳菌が減少しブ
ースター効果が得られなくなったことが挙げられている。日本では 2000 年以降、青年・
成人患者の報告数が増加し、これらの年齢層が重篤化し易い乳児の感染源となっている。
現在多くの先進国では新たな百日咳対策として青年・成人層への百日せきワクチンの追
加接種や妊婦への接種が行われている。
2010 年 7 月に国立感染症研究所は百日せきワクチンに関するファクトシートを作成
した。その後、百日咳に関し新たな科学的知見が集積したことから、現行ファクトシー
トの更新・追加が必要となった。また、2016 年 2 月に一般財団法人阪大微生物病研究
会(以下、阪大微研)が製造する「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(ト
リビック®)
」
(DTaP)の製造販売承認書の変更が行われ、乳幼児期に 3 回又は 4 回接種
された 11 歳〜13 歳未満の小児、
さらに青年・成人層における追加接種が可能となった。
今回のファクトシート改訂では、日本の百日咳対策の基本資料とすることを目的に、こ
れまでに得られた科学的知見について整理を行った。
(2)疾患の特性
百日咳は、主にワクチン接種が始まる前の乳児またはワクチン未接種の小児が発症し
ていたが、近年ではワクチン効果が減弱した青年・成人層の感染が新たな問題となって
おり、青年・成人保菌者が乳幼児の感染源となることが指摘されている
3-5)
。日本では
1948 年に百日せきワクチンが導入され、1950 年から予防接種法に基づく定期接種にな
った。その後のワクチンの普及とともに百日咳患者は激減した。しかし、現行の精製百
日せきワクチンの免疫持続期間は 4〜12 年とされ
の増加が認められている
6-10)
1, 2)
、多くの先進国で青年・成人患者
(図1)。日本では 2002 年以降小児科定点から報告される
注)
成人患者数 が急増し、2007 年には複数の大学で大規模な集団感染事例が発生した 11-13)。
2008〜2010 年には全国的な百日咳流行が発生し、報告患者数のうち青年・成人患者は
全体の 40.7〜52.9%を占めた 9)。また、保育所、小・中学校などでも集団感染事例が認
められ、近年では低年齢層を中心とした地域的な流行が散発している 14-19)。
注)小児科定点には内科などを併設する医療機関が含まれており、そこから成
人患者が多数報告されているものと推察されている。
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