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資料3-10 -② 田中先生提出資料 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第111回 12/21)《厚生労働省》
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間は致命率を算出するための対象者に含まれる可能性が低くなる。これに対し、ワクチン接
種後一定期間が経過した重症化予防効果のみを有している接種者は、発症をきっかけに感
染者として特定され、致命率を算出するための対象者に含まれる可能性が高くなる。そして
その者たちが感染・発病した時には重症化しにくいことから、結果としてその者たちが含ま
れた陽性者集団の致命率は低下することが期待される。3 月下旬(Ⅳ期)から 6 月中旬(Ⅵ
期)にかけて COVID-19 に罹患した者での致命率が低下した理由の1つとしては、このよう
に、ワクチン接種直後に有していた発症予防効果が次第に低下した後に感染・発病したワク
チン既接種者における低い重症化率が、集計対象者の致命率低下に反映されたものと考え
る。
コロナ関連による死亡割合についても死亡者の COVID-19 診断日でみると年齢調整致命
率とほぼ同時期(4月上旬(Ⅳ期)~6 月中旬(Ⅵ期))の者で低下傾向を示している。この変化
は発症予防効果を有さず重症化予防効果のみを有する接種者が対象者に含まれる割合が増
加し、COVID-19 に感染しながらも本疾患が直接死因となって死亡した者が減少したこと
が反映されたものと推察する。
(2)年齢階級別致命率とその日英比較
致命率が極めて低値である 40 歳代を除くすべての年齢階級において、BA.5 オミクロン
株陽性者は BA.1 オミクロン株陽性者に比べて、有意に致命率が低かった。その理由として、
上記4つの他に、①65 歳以下の 3 回目のワクチン接種率の増加による重症化率低下効果、
②夏季の呼吸器・循環器疾患死亡率リスクの低下などが考えられる。なおこの研究デザイン
からは、BA.1 と BA.5 間の変異ウイルス側の性質に起因する重症化リスクの違いの可能性
を考察することはできない。
イングランドではこの時期(2022 年 1 月まで)COVID-19 は無症状の者をふくめ
reportable disease とされており、致命率を算定する対象者の条件が日本のそれと類似して
いた。日本の 80 歳以上の BA.1 オミクロン株陽性者の致命率がイングランドの 80 歳以上の
BA.1 オミクロン株陽性者に比べて有意に低かった理由の1つに、COVID-19 流行前の 2015
年の 80 歳の平均余命が、日本人はイングランド人に比べて長く、80 歳以上の COVID-19
以外の疾患による死亡確率が日本人でより低いことが考えられる。また、日本の BA.5 オミ
クロン株陽性者の致命率はイングランドの BA.1 オミクロン株陽性者に比べて全ての年齢
階級で有意に低く、3 割から 5 割に止まった。英国では重症化率の極めて低い BA.1 オミク
ロン株への置き換わりをもって陽性者の隔離・行動自粛や国民への行動制限などの感染予
防対策を取りやめた。
(3)本調査の限界
本調査の限界として、第 1 に、無症状・軽症の新規感染者が診断される機会が、22 年 1
月中旬ごろからの陽性者数の急増により全国で低下したと考えられるため、集計された致
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