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資料3-12-② 森本先生提出資料 (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第111回 12/21)《厚生労働省》
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正確なワクチン接種日が不明であった患者については、接種日の推定法が接種後の経過日数、接
種完了の有無の判断にも影響しうるため、今回は感度分析として複数の方法で接種日を推定した解析
結果を比較したが、調整オッズ比に与える影響は限定的であった。

5.

考察
本報告では、国内で BA.5 が流行した 2022 年 7 月 1 日から 10 月 31 日の期間において、新型コロナ

ウイルス感染症を疑う症状があり、研究参加医療機関を受診し、新型コロナウイルスの検査を受けた患
者情報を使用し、同期間における 16 歳以上の新型コロナワクチン (ファイザー社製新型コロナワクチン
(BNT162b2)、モデルナ社製新型コロナワクチン (mRNA-1273))の発症予防における有効性を評価した。
16 歳~64 歳において、ファイザー社製・モデルナ社製いずれかの新型コロナワクチン 2 回接種完了
後 181 日以上経過した場合には、発症予防における有効性は限られており (20.5%、95%信頼区間:1.2
~36.1%)、3 回接種を行うことによりその有効性が上昇することが示された (3 回接種完了後 90 日以内:
50.9%、95%信頼区間:37.5~61.5%)。しかし、3 回接種後であっても、時間の経過とともに有効性が低下す
る可能性が示唆され (3 回接種完了後 181 日以上: 35.4%、95%信頼区間:13.9~51.5%)、時間経過によ
る有効性の減弱が起きていると考えた。4 回目接種によって再度有効性が上昇する可能性はあるが (4
回接種完了後: 47.8%、95%信頼区間:21.6~65.3%)、95%信頼区間も広く、解釈には注意が必要である。
65 歳以上においては、3 回接種と比較して 4 回接種で有意な有効性があると示された。今回の BA.5 流
行期の新型コロナワクチンの発症予防における有効性は、本サーベイランス研究の BA.1/BA.2 流行期
(図 3、図 4 参照)と比較して点推定値では低い傾向があった。前回の第 6 報 (BA.5 流行期の 2022/7/1
~2022/8/26)と比較して、今回の有効性は低い結果となっているが、第 6 報の解析では未接種者のサ
ンプルサイズが小さく、結果が安定していなかったと考える。
16 歳~64 歳における 3 回目に接種した新型コロナワクチンの種類で分けた解析では、95%信頼区間
から考えると、有効性に関して、新型コロナワクチンの種類による有意な差は認めなかった。
現在までに BA.5 に対する新型コロナワクチンの有効性に関するデータは世界的にも限られている。
新型コロナワクチン 3 回接種後の血清の中和能は、BA.1/BA.2 に対するものと比較し、BA.5 に対しては
低下すると報告されており (16, 17)、BA.5 は BA.1/BA.2 と比較して、免疫回避能力が高い可能性が示
唆されている。本研究と同様にワクチンの有効性 (vaccine effectiveness)を評価した研究においては、
米国での検査陰性デザインを用いた研究によると、BA.4/BA.5 に対するファイザー社製ワクチン 2 回接
種による有効性は外来患者において 50%以下、3 回接種後 3 カ月以内では 50%以上であったが、3 回接
種後でも接種から 3 カ月を超えると有効性は 50%以下であった。4 回目接種による有効性に関しては、4
回目の接種対象となる 50 歳以上において、3 回接種後 6 カ月以上経過し低下した有効性が、4 回目接
種により再度上昇した (18)。ポルトガルの研究では、感染に対する 2 回接種の有効性は BA.2 と比較し
て BA.5 でも同等であったが、3 回接種の有効性は BA.5 に対して低下することが示された (19)。本報告
での結果は、米国、ポルトガルの研究と同様の傾向が認められている。しかし、特に 4 回接種において
はサンプルサイズも小さく、今後の症例の集積が必要である。
本報告は本サーベイランス研究の暫定結果であり、2022 年 7 月 1 日から 10 月 31 日においても今回
の報告で集計できていない研究対象患者情報も多数あるため、今後の患者情報の蓄積と解析により変
14