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参考資料2   全世代型社会保障構築会議 報告書 (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30235.html
出典情報 社会保障審議会 医療保険部会(第162回 1/16)《厚生労働省》
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個人の幸福とともに、社会全体を幸福にする
社会保障は、元来、個人の力だけでは備えることに限界がある課題や、リスク、不確実
性に対して、社会全体での支え合いによって、個人の幸福増進を図るために存在するもの
である。例えば、少子化対策はこどもを生み育てたい個人の希望を実現するためのもので
あり、医療保険は健康な生活を送るため、年金は個人の老後の生活を守るためのもので
ある。しかし、それらは同時に、少子化・人口減少の流れを変え、健康寿命を伸ばし、高齢
者による消費、ひいては高齢者の多く住む地方の消費を下支えするという意味では、社会
全体も幸福にする。
さらに、個人と社会を共に豊かにするという観点からは、消費の中心的な担い手である
「中間層」を厚くし、「成長と分配の好循環」の実現にも寄与するという社会保障の意義を再
認識すべきである。すなわち、市場による働きによって生じた所得分配の歪みに対して、社
会保障は、より必要な人たちにより多くの所得を再分配する機能を発揮することによって、
格差の是正や貧困の解消を図り、消費や「人への投資」を活発にすることができる。加えて、
格差の固定化を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切る役割を果たすことで、全ての人々が未来に向
けて果敢に挑戦することのできる活力あふれる社会を創り出す鍵ともなる。こうした意味で
も、社会保障は、単なる社会的な支出にとどまらず、社会的に大きな効果をもたらすもので
あり、財源調達とあわせて、その機能が発揮されるようにすることが重要である。
また、こうした社会保障の機能が十全に発揮されるためには、人々を働き方や勤務先の
企業の属性などによって制度的に排除することなく、社会保障制度の内に包摂していくこと
が重要となる。それによって、社会の分断を防ぎ、統合を強めていくことは、若者世代にお
ける格差拡大が懸念される今日において、特に強調されるべきことである。
制度を支える人材やサービス提供体制を重視する
社会保障は、法令や制度、財源のみによって成り立ち得るものではない。医療・介護・福
祉など多くの社会保障サービスを支えているのは現場の人材であって、これまで、社会保
障は、この分野で働く方々の増加によって支えられ、その発展を遂げてきた。しかし、今や
事態は変わり、介護、保育をはじめ各分野において、人材不足の傾向が顕著となっている。
今後、労働力がさらに減少していく中で、人材の確保・育成や働き方改革、経営の見える化
とあわせた処遇改善、医療・介護現場の生産性の向上、業務の効率化がますます重要に
なってくる。同時に、人が人を受け止め、寄り添いながら支援することが、互いに心を通わ
せ、生きる力を高めていくということの重要性も忘れてはならない。
そのうえで、医療・介護などのサービス提供体制については、今後の医療・介護ニーズ
や人口動態の変化、コロナ禍で顕在化した課題も踏まえ、質の高い医療・介護を効率的・
効果的に提供できる体制を構築するため、機能分化と連携をより一層進め、国民目線での
改革に取り組むことが重要となる。

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