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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表 (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31510.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第4回 3/2)《厚生労働省》 |
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ID
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16
感染症(PT)
出典
概要
2019年6月、ボリビアのカラナビ市で始まりラパスに拡大した出血熱の症例群について、ヒトおよびげっ歯類
(Oligoryzomys microtis)のサンプルからMammarenavirus Chapare mammarenavirus(M. Chapare
mammarenavirus)が病原体として同定された。9例の出血熱患者のうち4名が死亡し、医療従事者間の院内感染の
可能性が示唆された。M. Chapare mammarenavirusは人獣共通感染症の病原体保有動物からの種を超えての感
染と、ヒトからヒトへの伝播の可能性の両方が確認された。
ウイルス感染
N Engl J Med.
386(2022)2283-2294
ウイルス感染
ウシ胎児血清(FBS)やトリプシンなどの動物由来の生物学的製剤は、科学、製薬、医療用の重要な補足物質であ
る。これらの生物学的製剤の潜在的なウイルス汚染を減らすために予防ガイドラインや検査の実施があるが、稀
なウイルスや新たに出現するウイルスを対象としていないため安全性の懸念につながっている。4つの地理的地域
(北米、南米、オーストラリア、アジア)に由来する市販のFBS 28試料とトリプシン25試料におけるウイルスの存在
を、偏りのないメタゲノミクスを用いて調査した。全体として、パルボウイルス科、アネロウイルス科、フラビウイルス
科、ヘルペスウイルス科、カリシウイルス科、ノダウイルス科、ラブドウイルス科、パラミクソウイルス科に属するウ
イルス配列が検出され、その中にはウシの疾患に関連するいくつかのウイルス、ヒト由来および昆虫由来の可能
性のあるウイルス、起源不明のウイルスが含まれていた。FBSではウシパルボウイルス3とボサウイルスが高頻度
かつ大量に検出されたため、製造中にこれらのパルボウイルスに対してより厳密な検査を行う必要がある。ウシノ
ロウイルスとウシウイルス性下痢ウイルス1型はいずれも、最も近縁な配列に対する遺伝的距離が比較的大き
Zool Res. 43(2022)756かったため、家畜に新しい遺伝子型が存在することが示された。FBSからアネロウイルスが検出された。最も近縁
766
なアネロウイルスは以前にヒト血液から検出されており、製造工程におけるヒトウイルスの意図しない混入が懸念
される。アネロウイルスは明白な病原性を示さないが、病原性ヒトウイルスの混入は、製造時に完全にウイルスが
不活化されていない場合は特に高いリスクとなりうる。高病原性ヒトウイルスであるリッサウイルスの配列がオース
トラリアのトリプシンから、ニパウイルスの配列がアジアと南米のFBSから検出された。リッサウイルスは最も近縁な
狂犬病ウイルスとの同一性が76%、他の全ての代表的なリッサウイルスとの同一性が55-71%だった。ニパウイル
スはデータベース内の配列と99-100%の高い同一性を示した。これらのウイルスの起源は特定できなかったが、
その存在は病原性動物由来ウイルスが生物学的製剤に混入する可能性を提起している。本研究の結果は、FBS
とトリプシンがウイルスフリーではなく、様々なウイルスによる生物製剤の汚染が比較的広範囲に及んでいることを
示す。出現しつつあるウイルスを監視するために、メタゲノムシーケンシングのような強固な安全性プロトコル代替
手段が必要である。
Klebsiella variicola はKlebsiella pneumoniae complexのメンバーで、植物、昆虫、動物に感染することが分かってお
17
18
19
20
21
り、ヒトの新興病原体と考えられている。ヒト感染症例では糞便、血液、喀痰、膣、尿サンプルからの分離が広く報
告されている。また、ウシ乳腺炎とも関連しており、経済的に大きな影響を及ぼす可能性がある。ヒト感染由来の多
数の分離株で配列決定され、その多くで高リスクの抗生物質耐性遺伝子と病原性遺伝子が同定されているが、現
在までにウシ(糞便試料、乳汁試料)由来の配列が決定されているのは12株のみであり、非ヒト分離株では抗生物
質耐性は完全には検討されていない。本研究では、ブラジル、ミナスジェライス州のAgricultural Research
Companyの2頭の健康な未経産牛の尿からK.variicola を分離し、分離株2株(UFMG-H9、UFMG-H10)のゲノム配
Appl Environ Microbiol. 列決定、ゲノム解析、抗生物質スクリーニングを行った。ウシ尿路においてK.variicola が同定されたのはこれが初
クレブシエラ感染
88(2022)e0004422
めてであった。UFMG-H9では2つの病原因子(極鞭毛[遺伝子flmH]、鞭毛[遺伝子flgA-flgN])が検出され、
Klebsiella において鞭毛遺伝子の存在が確認されたのはこれが初めてであった。公開されている212種のゲノムと
ウシ分離株2株の尿ゲノムの完全ゲノムを比較した結果、これら2つの尿ゲノムは、ウシの糞便または乳汁から分
離されたものよりもヒトの尿路から分離されたものと類似しており、ニッチ分化が示唆された。両株で病原性と抗生
物質耐性に関連する遺伝子が同定されたにもかかわらず、サンプリングした動物はいずれもK.variicola 感染に関
連する症状を示さなかった。両株はアモキシシリン、エリスロマイシン、バンコマイシンに耐性で、UFMG-H10はホス
ホマイシンに耐性であった。健康な家畜で循環していたことを考慮すると、本研究で観察された抗生物質耐性はヒ
ト病原体としての本種の出現に関する懸念を強調した。
サルマラリア原
虫感染
第91回日本寄生虫学
会(2022/05/282022/05/29)S2-4
サルマラリア原虫Plasmodium knowlesi のヒトへの自然感染例はマレーシアで1965年と1971年に報告されて以来
確認されていなかったが、2004年に同国で120例のヒト感染例が報告され、その後、他の東南アジア諸国からも報
告され始めた。ラオスでは、我々が2015年から2019年にかけて南部5県でフィールド調査を実施し、PCRで確定した
2,698例のマラリア原虫感染者の中から、P.knowlesi ヒト感染例1例をはじめて報告した。この患者はアッタプー県
在住の12歳の少年で、家族と共に野生ザルの住む森へ行くことがあった。2016年7月、発熱を呈し近くのヘルスセ
ンターを受診し、RDT(SD BIOLINE Malaria Ag P.f/P.v)で三日熱マラリアと診断され、アルテメテル・ルメファントリン
配合錠を処方され緩解した。その後、我々がこの患者の初診時のろ紙乾燥血液検体からDNAを抽出し、PCR検査
並びにシークエンス解析を実施しP.knowlesi 感染であることを確認した。さらにこの患者の家族7名の血液ろ紙検体
をPCR法で検査したが、P.knowlesi 感染は確認できなかった。ラオスで使用されているSD社のRDTキットで、三日
熱マラリア偽陽性のP.knowlesi 感染が他にもあると推察される。東南アジア諸国でのP.knowlesi のヒト感染の疫学
に関しては、いつからどこに分布してきたのか詳細は不明であるが、地域住民だけでなくエコツーリズムに参加し
た外国人旅行者の感染や死亡例も報告されている。また2011年には、P.cynomolgi のヒト感染例も報告されてい
る。P.cynomolgi はサルでは再発の原因となるヒプノゾイトを形成するので注意が必要である。
サル痘
WHO ホームページ.
https://www.who.int/e
mergencies/diseaseoutbreaknews/item/2022DON390
複数国におけるサル痘のアウトブレイク:状況の更新情報
2022年5月13日以降、2022年6月2日時点で、サル痘ウイルスが風土病ではない4つのWHO地域の27の加盟国か
ら、サル痘の検査確定例780例がWHOに報告、またはWHOにより検出された。5月29日のDisease Outbreak News
以降、検査確定例523例が増加している(+203%)。これまで報告された症例の大多数は、1次または2次医療施
設での性の健康やその他の医療サービスを通じて示されており、例外はあるものの、主に男性と性行為を持つ男
性(MSM)が関与している。2022年6月2日時点で、現在のサル痘のアウトブレイクに関連して死亡は認められてい
ないことなどについて記載。(2022年6月4日付け)
サル痘
N Engl J Med.
387(2022)679-691
○2022年4月から6月までの期間に16か国で発生したサル痘ウイルスのヒトへの感染
2022年4月27日から6月24日の間に16か国43施設でPCR検査によりサル痘と診断された528例について調査した。
全体として98%はゲイ又はバイセクシュアルの男性、75%は白人、41%はHIV感染者であり、年齢の中央値は38
歳であった。感染経路として95%は感染者との性交渉が疑われた。症状として95%に発疹、皮膚病変が見られ、
肛門性器部の病変が73%、粘膜上の病変が41%だった。発疹前に高頻度で出現した全身症状は、発熱(62%)、
リンパ節腫脹(56%)、倦怠感(41%)、筋肉痛(31%)、頭痛(27%)などがみられた。性感染症の検査を受けた377
例中109例(29%)が他の性感染症にも感染していた。サル痘ウイルスへの曝露歴が明らかであった23例におい
て、潜伏期間の中央値は7日(範囲:3日~20日)であった。PCR検査を追跡できた患者の中で、最も遅い病変部か
らの陽性検出は発症21日後であった。検討したサンプル数は少ないもののPCR陽性率は、鼻咽頭検体26%、血液
7%、尿3%であった。精液を検査した32例中29例でPCR陽性であった。全体の5%は抗ウイルス薬による治療を受
けた。70例(13%)は入院したが、入院の理由は疼痛管理(主に肛門直腸部の疼痛21例)、軟部組織の重感染(18
例)、咽頭炎(経口摂取制限5例)、眼病変(2例)、急性腎障害(2例)、心筋炎(2例)、感染管理目的(13例)であっ
た。死亡例の報告はなかった。
サル痘
情報源:WHO/Emergencies/situation reports
複数国におけるサル痘のアウトブレイク External Situation Report 2,2022年7月25日:
WHOホームペー
世界保健機構(WHO)は2022年7月23日、サル痘について国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態と宣言し
ジ.https://www.who.int
た。 2022年1月1日~2022年7月22日に、6つすべてのWHO地域(アフリカ、南北米、東地中海、東南アジア、欧州、
/emergencies/situation
西太平洋地域)の75の国/領土/地域からWHOに検査確定例16016例と死亡5例が報告された。2022年7月6日に
-reports
公表された、複数国におけるサル痘のアウトブレイクのsituation report以降、新規症例9,989例(166%増加)と新
規死亡2例が報告されたことなどについて記載。
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感染症(PT)
出典
概要
2019年6月、ボリビアのカラナビ市で始まりラパスに拡大した出血熱の症例群について、ヒトおよびげっ歯類
(Oligoryzomys microtis)のサンプルからMammarenavirus Chapare mammarenavirus(M. Chapare
mammarenavirus)が病原体として同定された。9例の出血熱患者のうち4名が死亡し、医療従事者間の院内感染の
可能性が示唆された。M. Chapare mammarenavirusは人獣共通感染症の病原体保有動物からの種を超えての感
染と、ヒトからヒトへの伝播の可能性の両方が確認された。
ウイルス感染
N Engl J Med.
386(2022)2283-2294
ウイルス感染
ウシ胎児血清(FBS)やトリプシンなどの動物由来の生物学的製剤は、科学、製薬、医療用の重要な補足物質であ
る。これらの生物学的製剤の潜在的なウイルス汚染を減らすために予防ガイドラインや検査の実施があるが、稀
なウイルスや新たに出現するウイルスを対象としていないため安全性の懸念につながっている。4つの地理的地域
(北米、南米、オーストラリア、アジア)に由来する市販のFBS 28試料とトリプシン25試料におけるウイルスの存在
を、偏りのないメタゲノミクスを用いて調査した。全体として、パルボウイルス科、アネロウイルス科、フラビウイルス
科、ヘルペスウイルス科、カリシウイルス科、ノダウイルス科、ラブドウイルス科、パラミクソウイルス科に属するウ
イルス配列が検出され、その中にはウシの疾患に関連するいくつかのウイルス、ヒト由来および昆虫由来の可能
性のあるウイルス、起源不明のウイルスが含まれていた。FBSではウシパルボウイルス3とボサウイルスが高頻度
かつ大量に検出されたため、製造中にこれらのパルボウイルスに対してより厳密な検査を行う必要がある。ウシノ
ロウイルスとウシウイルス性下痢ウイルス1型はいずれも、最も近縁な配列に対する遺伝的距離が比較的大き
Zool Res. 43(2022)756かったため、家畜に新しい遺伝子型が存在することが示された。FBSからアネロウイルスが検出された。最も近縁
766
なアネロウイルスは以前にヒト血液から検出されており、製造工程におけるヒトウイルスの意図しない混入が懸念
される。アネロウイルスは明白な病原性を示さないが、病原性ヒトウイルスの混入は、製造時に完全にウイルスが
不活化されていない場合は特に高いリスクとなりうる。高病原性ヒトウイルスであるリッサウイルスの配列がオース
トラリアのトリプシンから、ニパウイルスの配列がアジアと南米のFBSから検出された。リッサウイルスは最も近縁な
狂犬病ウイルスとの同一性が76%、他の全ての代表的なリッサウイルスとの同一性が55-71%だった。ニパウイル
スはデータベース内の配列と99-100%の高い同一性を示した。これらのウイルスの起源は特定できなかったが、
その存在は病原性動物由来ウイルスが生物学的製剤に混入する可能性を提起している。本研究の結果は、FBS
とトリプシンがウイルスフリーではなく、様々なウイルスによる生物製剤の汚染が比較的広範囲に及んでいることを
示す。出現しつつあるウイルスを監視するために、メタゲノムシーケンシングのような強固な安全性プロトコル代替
手段が必要である。
Klebsiella variicola はKlebsiella pneumoniae complexのメンバーで、植物、昆虫、動物に感染することが分かってお
17
18
19
20
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り、ヒトの新興病原体と考えられている。ヒト感染症例では糞便、血液、喀痰、膣、尿サンプルからの分離が広く報
告されている。また、ウシ乳腺炎とも関連しており、経済的に大きな影響を及ぼす可能性がある。ヒト感染由来の多
数の分離株で配列決定され、その多くで高リスクの抗生物質耐性遺伝子と病原性遺伝子が同定されているが、現
在までにウシ(糞便試料、乳汁試料)由来の配列が決定されているのは12株のみであり、非ヒト分離株では抗生物
質耐性は完全には検討されていない。本研究では、ブラジル、ミナスジェライス州のAgricultural Research
Companyの2頭の健康な未経産牛の尿からK.variicola を分離し、分離株2株(UFMG-H9、UFMG-H10)のゲノム配
Appl Environ Microbiol. 列決定、ゲノム解析、抗生物質スクリーニングを行った。ウシ尿路においてK.variicola が同定されたのはこれが初
クレブシエラ感染
88(2022)e0004422
めてであった。UFMG-H9では2つの病原因子(極鞭毛[遺伝子flmH]、鞭毛[遺伝子flgA-flgN])が検出され、
Klebsiella において鞭毛遺伝子の存在が確認されたのはこれが初めてであった。公開されている212種のゲノムと
ウシ分離株2株の尿ゲノムの完全ゲノムを比較した結果、これら2つの尿ゲノムは、ウシの糞便または乳汁から分
離されたものよりもヒトの尿路から分離されたものと類似しており、ニッチ分化が示唆された。両株で病原性と抗生
物質耐性に関連する遺伝子が同定されたにもかかわらず、サンプリングした動物はいずれもK.variicola 感染に関
連する症状を示さなかった。両株はアモキシシリン、エリスロマイシン、バンコマイシンに耐性で、UFMG-H10はホス
ホマイシンに耐性であった。健康な家畜で循環していたことを考慮すると、本研究で観察された抗生物質耐性はヒ
ト病原体としての本種の出現に関する懸念を強調した。
サルマラリア原
虫感染
第91回日本寄生虫学
会(2022/05/282022/05/29)S2-4
サルマラリア原虫Plasmodium knowlesi のヒトへの自然感染例はマレーシアで1965年と1971年に報告されて以来
確認されていなかったが、2004年に同国で120例のヒト感染例が報告され、その後、他の東南アジア諸国からも報
告され始めた。ラオスでは、我々が2015年から2019年にかけて南部5県でフィールド調査を実施し、PCRで確定した
2,698例のマラリア原虫感染者の中から、P.knowlesi ヒト感染例1例をはじめて報告した。この患者はアッタプー県
在住の12歳の少年で、家族と共に野生ザルの住む森へ行くことがあった。2016年7月、発熱を呈し近くのヘルスセ
ンターを受診し、RDT(SD BIOLINE Malaria Ag P.f/P.v)で三日熱マラリアと診断され、アルテメテル・ルメファントリン
配合錠を処方され緩解した。その後、我々がこの患者の初診時のろ紙乾燥血液検体からDNAを抽出し、PCR検査
並びにシークエンス解析を実施しP.knowlesi 感染であることを確認した。さらにこの患者の家族7名の血液ろ紙検体
をPCR法で検査したが、P.knowlesi 感染は確認できなかった。ラオスで使用されているSD社のRDTキットで、三日
熱マラリア偽陽性のP.knowlesi 感染が他にもあると推察される。東南アジア諸国でのP.knowlesi のヒト感染の疫学
に関しては、いつからどこに分布してきたのか詳細は不明であるが、地域住民だけでなくエコツーリズムに参加し
た外国人旅行者の感染や死亡例も報告されている。また2011年には、P.cynomolgi のヒト感染例も報告されてい
る。P.cynomolgi はサルでは再発の原因となるヒプノゾイトを形成するので注意が必要である。
サル痘
WHO ホームページ.
https://www.who.int/e
mergencies/diseaseoutbreaknews/item/2022DON390
複数国におけるサル痘のアウトブレイク:状況の更新情報
2022年5月13日以降、2022年6月2日時点で、サル痘ウイルスが風土病ではない4つのWHO地域の27の加盟国か
ら、サル痘の検査確定例780例がWHOに報告、またはWHOにより検出された。5月29日のDisease Outbreak News
以降、検査確定例523例が増加している(+203%)。これまで報告された症例の大多数は、1次または2次医療施
設での性の健康やその他の医療サービスを通じて示されており、例外はあるものの、主に男性と性行為を持つ男
性(MSM)が関与している。2022年6月2日時点で、現在のサル痘のアウトブレイクに関連して死亡は認められてい
ないことなどについて記載。(2022年6月4日付け)
サル痘
N Engl J Med.
387(2022)679-691
○2022年4月から6月までの期間に16か国で発生したサル痘ウイルスのヒトへの感染
2022年4月27日から6月24日の間に16か国43施設でPCR検査によりサル痘と診断された528例について調査した。
全体として98%はゲイ又はバイセクシュアルの男性、75%は白人、41%はHIV感染者であり、年齢の中央値は38
歳であった。感染経路として95%は感染者との性交渉が疑われた。症状として95%に発疹、皮膚病変が見られ、
肛門性器部の病変が73%、粘膜上の病変が41%だった。発疹前に高頻度で出現した全身症状は、発熱(62%)、
リンパ節腫脹(56%)、倦怠感(41%)、筋肉痛(31%)、頭痛(27%)などがみられた。性感染症の検査を受けた377
例中109例(29%)が他の性感染症にも感染していた。サル痘ウイルスへの曝露歴が明らかであった23例におい
て、潜伏期間の中央値は7日(範囲:3日~20日)であった。PCR検査を追跡できた患者の中で、最も遅い病変部か
らの陽性検出は発症21日後であった。検討したサンプル数は少ないもののPCR陽性率は、鼻咽頭検体26%、血液
7%、尿3%であった。精液を検査した32例中29例でPCR陽性であった。全体の5%は抗ウイルス薬による治療を受
けた。70例(13%)は入院したが、入院の理由は疼痛管理(主に肛門直腸部の疼痛21例)、軟部組織の重感染(18
例)、咽頭炎(経口摂取制限5例)、眼病変(2例)、急性腎障害(2例)、心筋炎(2例)、感染管理目的(13例)であっ
た。死亡例の報告はなかった。
サル痘
情報源:WHO/Emergencies/situation reports
複数国におけるサル痘のアウトブレイク External Situation Report 2,2022年7月25日:
WHOホームペー
世界保健機構(WHO)は2022年7月23日、サル痘について国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態と宣言し
ジ.https://www.who.int
た。 2022年1月1日~2022年7月22日に、6つすべてのWHO地域(アフリカ、南北米、東地中海、東南アジア、欧州、
/emergencies/situation
西太平洋地域)の75の国/領土/地域からWHOに検査確定例16016例と死亡5例が報告された。2022年7月6日に
-reports
公表された、複数国におけるサル痘のアウトブレイクのsituation report以降、新規症例9,989例(166%増加)と新
規死亡2例が報告されたことなどについて記載。
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