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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31510.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和4年度第4回 3/2)《厚生労働省》
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ID

49

50

感染症(PT)

尿路感染

鼻疽菌感染

出典

概要

Front Microbiol.
13(2022)764760

健康な人の尿路(UT)は無菌であると伝統的に信じられてきたが、現在、人体の他の領域よりも低い生物量ではあ
るが、健康なヒトのUT内に細菌が存続することが知られている。ウシでは泌尿生殖器に関連した細菌感染が、繁
殖や酪農業などの分野での途方もない損失の原因となっている。酪農業における尿路感染症(UTI)の重大な影響
を考慮して、健康な動物における2つの尿路病原性種、大腸菌と緑膿菌の調査を実施した。 本研究ではブラジル
Minas Gerais州の健康な若い雌の未経産Gyr乳牛10頭から全尿試料を採取し、大腸菌と緑膿菌の分離と同定、全
ゲノム配列決定、ゲノム特性評価、プロファージ分析、他のウシ分離株やヒト尿分離株との比較を行った。 4頭の
Gyr牛の尿から5つの大腸菌株と4つの緑膿菌株が分離された。両種とも通常は尿路感染症や乳房炎と関連してい
るが、採取したウシはすべて健康であった。過去の研究結果との類似から、大腸菌と緑膿菌がウシUT微生物叢の
常在菌である可能性がある。 本研究の大腸菌ウシ尿分離株は、ウシや他の農業動物の消化管由来の分離株と
ゲノム類似性があり、緑膿菌ウシ尿分離株はヒト分離株に最も類似していた。ヒトから分離された志賀毒素産生大
腸菌株と腸病原性大腸菌株の80%がウシ系統であり、他の細菌種では感染牛の尿を介した人畜共通感染症が認
められることから、本研究の大腸菌分離株がヒトの病原体として出現する可能性がある。本研究の4つの緑膿菌分
離株健康なヒトの尿路は無菌であると伝統的に信じられてきたが、現在、人体の他の領域よりも低い生物量ではあ
るが、健康なヒトの尿路内に細菌が存続することが知られている。ウシでは泌尿生殖器に関連した細菌感染が、繁
殖や酪農業などの分野での途方もない損失の原因となっている。酪農業における尿路感染症の重大な影響を考
慮して、健康な動物における2つの尿路病原性種、大腸菌と緑膿菌の調査を実施した。本研究ではブラジルMinas
Gerais州の健康な若い雌の未経産Gyr乳牛10頭から全尿試料を採取し、大腸菌と緑膿菌の分離と同定、全ゲノム
配列決定、ゲノム特性評価、プロファージ分析、他のウシ分離株やヒト尿分離株との比較を行った。4頭のGyr牛の
尿から5つの大腸菌株と4つの緑膿菌株が分離された。両種とも通常は尿路感染症や乳房炎と関連しているが、採
取したウシはすべて健康であった。過去の研究結果との類似から、大腸菌と緑膿菌がウシ尿路微生物叢の常在菌
である可能性がある。本研究の大腸菌ウシ尿分離株は、ウシや他の農業動物の消化管由来の分離株とゲノム類
似性があり、緑膿菌ウシ尿分離株はヒト分離株に最も類似していた。ヒトから分離された志賀毒素産生大腸菌株と
腸病原性大腸菌株の80%がウシ系統であり、他の細菌種では感染牛の尿を介した人畜共通感染症が認められる
ことから、本研究の大腸菌分離株がヒトの病原体として出現する可能性がある。本研究の4つの緑膿菌分離株は
全て、緑膿菌臨床分離株で広く報告されている4つの抗生物質耐性関連遺伝子を保有しており、またヒトの多剤耐
性株・流行毒性株に関連するO5血清型に属することから、ヒトの公衆衛生に対する懸念となる。本研究のウシ分
離株が保有するプロファージの検査では、ヒト尿路由来の遠縁の大腸菌分離株と緑膿菌分離株が保有するプロ
ファージとの類似性が明らかになった。このことは、近縁な尿中ファージが哺乳類間で存続したり共有されたりする
可能性を示唆している。大腸菌と緑膿菌がこのニッチの常在菌であるか、あるいはヒトにおける新興病原体の供給
源である可能性を確かめるために、ウシ尿微生物叢の研究が必要である。は全て、緑膿菌臨床分離株で広く報告
されている4つの抗生物質耐性関連遺伝子を保有しており、またヒトの多剤耐性株・流行毒性株に関連するO5血
清型に属することから、ヒトの公衆衛生に対する懸念となる。本研究のウシ分離株が保有するプロファージの検査
では、ヒト尿路由来の遠縁の大腸菌分離株と緑膿菌分離株が保有するプロファージとの類似性が明らかになっ
た。このことは、近縁な尿中ファージが哺乳類間で存続したり共有されたりする可能性を示唆している。 大腸菌と
緑膿菌がこのニッチの常在菌であるか、あるいはヒトにおける新興病原体の供給源である可能性を確かめるため
に、ウシ尿微生物叢の研究が必要である。

BMC Vet Res.
18(2022)132

鼻疽は人畜共通細菌Burkholderia mallei によって引き起こされる感染症で、主にウマ科動物が感染する。最近は
南アジア、中東、南米(ブラジル)で、ウマ科動物の鼻疽の発生が報告されている。B.mallei 感染の症状には、鼻
汁、肺炎、皮膚の潰瘍性結節性病変などがあり、気道と皮膚からの分泌物は感染性である。これまでのところネ
パールではウマ科動物の鼻疽症例は報告されていないが、近隣のインド諸州における鼻疽の再発生と、インド-ネ
パール間でウマ科動物の移動が制限されていないことから、Adhikariらはネパールでの鼻疽発生の潜在的リスク
について警告している。2020年11月、ネパール中西部Banke地区のウマ科動物で、高熱(最大40-41℃)、努力性
呼吸、乾性咳嗽、食欲喪失、跛行、粘液膿性の黄色がかった鼻汁、体の様々な部分、特に大腿部の膿の詰まった
小結節などの臨床徴候や症状が認められた。その後、2020年12月に、同様の臨床症状と徴候がBagmati州の
Dhading地区とLalitpur地区のラバで観察された。Lumbini州Nepalgunjでも数頭のウマ科動物の死亡が報告されて
いる。感染したウマ科動物の一部では、潰瘍化した小結節や黄色がかった粘り気のある膿の痂皮からの排出が認
められ、ラバはウマよりも重篤な症状を示した。全感染動物を隔離し対症療法を行ったが、大半はしばらくすると症
状が再発し、重症化して死亡した。診断と検討のため、異なる所有者のウマ3頭とラバ2頭から血清試料と組織試
料を採取した。1頭のウマ(L/157)はLalitpur地区から、残り4頭のウマ科動物はBanke地区(B/113、B/115、
B/117、B/120)からやって来た。これら5頭のウマ科動物由来の血清を5つの異なる血清学的試験で分析した結
果、ウマ2頭とラバ1頭が全ての試験で陽性を示した。またこれら5頭の鼻スワブと膿スワブを採取し、4つの異なる
PCRシステムに用いた結果、すべての血清学的検査で陽性であった3頭のウマ科動物(L/157、B/113、B/120)で
は2つのPCRシステムで陽性シグナルを検出した。さらに、これら3つのPCR陽性試料からB.mallei 株の遺伝子型を
同定し系統、近縁な分枝、亜分枝へと分類した結果、全ての試料はインドとパキスタンで広まっているB.mallei 株が
含まれるL2B2sB2分枝と一致した。また、4つの新しいSNPマーカーを用いた分析では、3つのPCR陽性試料が全て
これまで分類されたほとんどのインド株と同じグループにクラスター化した。2021年5月、ネパールは初めての鼻疽
の発生をOIEに報告した。疫学調査はインド-ネパール間の解放された国境を通じたウマ科動物の管理されていな
い輸入や、ネパール極西部からインドのUttar Pradesh地域へ戻るウマとラバの季節性の移動を示している。この
疾患の予防と抑制のための政策は実施されておらず、国家サーベイランスプログラムと強化された国境管理措置
を促進すべきである。

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