[改定速報] 公益委員が次回、意見書素案を提示へ 中医協・総会
今回のポイント
●中央社会保険医療協議会の支払側委員と診療側委員は12月13日の総会で、2018年度診療報酬改定について意見表明し、支払側はマイナス改定の実現と薬価引き下げ財源の国民への還元、診療側は薬価引き下げ財源による診療報酬本体の引き上げをそれぞれ要求○医療経済実態調査と薬価・材料価格調査の結果、各側意見の提出と、改定定率決定のための基礎資料が出揃ったのを受け、田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「公益側で意見書の素案をまとめ、中医協の意見として厚生労働大臣に提出したい」と発言
○改定率は予算編成過程で決定するが、順当に行けば次回、15日の総会で意見書のとりまとめ、18日に予算大臣折衝となる運び
中央社会保険医療協議会の支払側委員と診療側委員は12月13日の総会で、2018年度診療報酬改定について意見表明し、支払側はマイナス改定の実現と薬価引き下げ財源の国民への還元、診療側は薬価引き下げ財源による診療報酬本体の引き上げをそれぞれ要求した(参照)(参照)。ただ、会議冒頭には、診療報酬本体の0.55%引き上げを政府が決定したとの朝刊報道を巡り、双方の委員が中医協審議の軽視などと、強い不快感を示す場面もあった。医療経済実態調査と薬価・材料価格調査の結果、各側意見の提出と、改定率決定のための基礎資料が出揃ったのを受け、田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「公益側で意見書の素案をまとめ、中医協の意見として厚生労働大臣に提出したい」と発言。改定率は予算編成過程で決定するが、順当に行けば次回、15日の総会で意見書のとりまとめ、18日に予算大臣折衝となる運び。
総会はこのほか、診療報酬改定の個別事項として、▽医療従事者の多様な働き方▽明細書の無料発行▽新医薬品の処方日数14日制限の取り扱い-などを審議した。医療従事者の働き方では、女性割合が高いリハビリテーション専門職の専従・常勤配置を算定要件にしている報酬項目について、週一定時間の勤務を行っている非常勤従事者を複数配置していれば常勤配置とみなす案を提示。医療従事者の専従要件についても、担当患者が一定数以下の場合や医療資源の少ない地域などに適用される既存の緩和措置を参考に、より弾力的な運用が可能となるような見直しを検討することを求めた(参照)。
明細書については、現在、病院、診療所、薬局とも無料での発行義務が課されている。このうち診療所と薬局は、レセコンに明細書発行機能が搭載されていないなど正当な理由がある場合は無料発行を免除されるが、こうした施設は減少傾向にあり、電子レセプト普及率は9割を超える(参照)。一方、患者調査では明細書で、治療や薬、医療費の内容がわかりやすくなったとの好意的な声が聞かれる半面、明細書をもらわなくとも領収証の内容で十分との声もある(参照)。こうした実情を踏まえ厚生労働省は、領収証と明細書が果たす機能や発行業務の実態、さらには2020年度に予定されているレセプト様式の見直しも視野に入れ、明細書の無料発行対応について改めて検討することを論点に位置づけた(参照)。
◆新薬の処方日数14日制限撤廃は再度見送りの方向
新医薬品の処方日数14日制限は、政府の規制改革実施計画(2017年6月閣議決定)で見直しが求められているもの(参照)。過去にも中医協で審議されているが、患者の安全性確保を優先すべきとの結論に達し、見送られてきた経緯がある。厚労省は総会に、(1)処方日数制限を現在の14日から21日、28日、30日などに延長、(2)個別の患者の事情を勘案し、患者の状況に応じて処方日数を延長、(3)処方日数を制限しない場合の取り扱いに既収載品の有効成分(ラセミ体)を光学分割した場合/既収載品の有効成分の代謝物や代謝前の成分の場合/既収載品と同一成分・同一投与経路であり、同様の効能・効果であるが、用法・用量が既収載品と著しく異ならない配合剤の場合を追加、(4)現在の取り扱いを維持-の4つの選択肢を提示した(参照)。
これらのうち医療従事者の専従要件の見直しや明細書無料発行の取り扱いは、委員から目立った反対意見はなく、大筋了承。処方日数制限の見直しについては、支払・診療側とも従来からの見解に変わりはないとのスタンスを堅持したため、今回も見送られる公算が高くなった。
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