[医薬品] 高齢者の医薬品適正使用で指針案とりまとめ 厚労省WG
厚生労働省の「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ(WG)」は2月21日、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」案を大筋でまとめた。高齢者にみられる有害事象を伴う多剤服用(ポリファーマシー)の回避を目指し、高齢者の特徴に配慮したよりよい薬物療法を実践するための基本的留意事項をフローチャートも交えて明示した。3月上旬の高齢者医薬品適正使用検討会に報告後、パブリックコメントを経て成案化する(参照)。
指針の利用者は医師、歯科医師、薬剤師のほか、看護師などを想定。多剤服用の中でも「害をなすもの」を「ポリファーマシー」と定義し、単なる多剤服用とは区別した(参照)。複数の疾患を有し、複数の診療科を受診することが多い高齢者の場合、病状が加わるたびに新たな医療機関や診療科を受診した結果、足し算的に服用薬が増えてポリファーマシーが形成されることがあるなどと指摘。その解消のためには、かかりつけ医などが薬剤の処方状況全体を把握し、薬局を一元化することなどが有効であることを示した(参照)。
フローチャートで示した処方見直しの手順では、外来受診、入院、施設入所のタイミングや、新たに発症した急性疾患が薬物有害事象の可能性が疑われる場合などを捉え、高齢者総合機能評価(CGA)を用いた認知機能、ADL(日常生活動作)、生活環境、患者の薬物選択嗜好などの評価の実施を推奨。この際、薬物有害事象の存在や、服薬アドヒアランス不良、同効薬の重複処方、腎機能低下といったポリファーマシーに関連した問題点を確認し、問題がみつかった場合は、全ての使用薬剤について継続または変更の必要性(処方の適正化)を検討することを求めた(参照)。巻末には、高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点と、特に慎重な投与を要する薬剤のリストなどを別表として添付した(参照)。
なお、WGは3月以降、疾患領域別もしくは療養環境別の指針(詳細編)の検討に入る。今秋には骨子案を検討会に報告する予定(参照)。
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