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資  料 1-1 感染症定期報告(研究報告概要一覧表及び個別症例報告概要) (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35085.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会(令和5年度第2回 9/20)《厚生労働省》
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情報源:PHE/Emerging infections:monthly summaries(2022年4月~10月) 2022年8月、研究者ら
は、Candidatus Anaplasma sparouinenseと呼ばれる新規のアナプラズマ種によるヒトの感染例を報
GOV.UK.
告した。罹患者はフランス領ギアナの熱帯雨林に居住しており、2019年10月と2021年5月に採取した
https://www.gov.uk/gove サンプルの検査に基づいてレトロスペクティブに診断された。研究者らは、Candidatus A.
ヒトアナプラズマ
rnment/publications/eme sparouinenseを新規のヒト赤血球内病原体として同定した。本感染症は、フランス領ギアナの熱帯雨

rging-infections林に住む患者において、少なくとも18カ月間にわたって感染が生じた。罹患者は、脾臓摘出術の処
monthly-summaries
置歴があったため、より感染しやすい状況にあった。Candidatus A. sparouinenseは、アマゾンのダ
ニや野生哺乳類に感染する他のアナプラズマと系統的に近接していることから、アマゾンのダニや
野生哺乳類に感染する可能性があることが明らかになった。

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問題点:フランス領ギアナにおいて、新種のアナプラズマ属菌(Candidatus Anaplasma
sparouinense)による初めてのヒト感染例が確認された。【概要】新たにヒトにおいて感染することが
認められた感染症に関する報告。フランス領ギアナのアマゾン熱帯多雨林での、一般的ではないヒ
トアナプラズマ症の症例を報告する。フランス領ギアナのアマゾン熱帯雨林で働く金鉱労働者の血
液検体中のアナプラズマの存在について評価した。ヒト血液検体から得た363の保管されたDNA抽
出物を検査した。検体は主に2019年にフランス領ギアナの鉱山にある駐留地におけるマラリア調査
の一環として採取された。検査にて1つのDNA検体にてアナプラズマ配列の存在が明らかになった。
さらにアナプラズマ特異的PCRを実施し、シーケンスによる配列決定にてアナプラズマの存在が確
認された。BLAST法を用いて16S rDNA及びITS2 nt配列をアナプラズマ配列と比較したが、いずれも
既知のアナプラズマ配列と100%同一ではなかった。16S rRNA配列はブラジルの野生動物相で発
見されたアナプラズマと最も高い同一性を示し、南米のハナグマ(Nasua nasua)上のダニ
(Amblyomma coelebs)で検出されたアナプラズマ属種、クマネズミ(Rattus rattus)の他のアナプラズ
マ属種、並びにノドチャミユビナマケモノ(Bradypus variegatus)及びフタユビナマケモノ(Choloepus
didactylus)のCandidatus Anaplasma amazonensisを含んだ。他のアナプラズマ属種はすべて99%未
満の同一性を示した。ITS2配列はナマケモノのCandidatus A. amazonensisと最も高いヌクレオチド
同一性を示した。これらの異なる遺伝形質のため、本新規細菌に対してCandidatus Anaplasma
sparouinenseという名称を提案する。本細菌名は感染した患者が生活していたSparouine Riverから
引用した。Candidatus A. sparouinense陽性のDNA検体は、外傷後の脾臓摘出及び三日熱マラリア
によるマラリア発作の既往を有する58歳男性が由来であった。本患者はブラジル出身であるが、過
去3年間にフランス領ギアナの熱帯雨林で専らマラリア研究を行っており、2021年9月にSparouineア
ナプラズマ症であったと診断された。2019年10月に採取した血液検体から、Candidatus A.
sparouinenseの存在を検出した。その時点では患者は無症状であり、フランス領ギアナで通常検査
する病気の病原体に対し陰性であった。18ヵ月後(2021年5月)、患者は発熱、筋肉痛、頭痛、鼻出
血及び重度の貧血を呈し入院した。このときの血液検体の事後アナプラズマPCR調査にて再び
Candidatus A. sparouinenseの存在が明らかになった。追加で血液検体は保存されなかったため、
抗生物質治療終了時のアナプラズマ感染の消失は確認できなかった。これらの新熱帯区アナプラ
ズマ種はヒトへの新規感染源となる可能性がある。

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問題点:フランス領ギアナにおいて、新種のブルセラ属菌によるヒト感染例2例が確認された。【概
要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。南アメリカのフランス領ギア
ナの男性2例でヒトブルセラ症が報告された。両症例ともブラジルの市民であり、アマゾンの深い熱
帯雨林で金鉱採掘者として働いていた。ゲノム解析の結果、各症例から分離された2株は新種のブ
ルセラ属菌であることが明らかになった。[症例報告]症例1はブラジル出身の39歳男性、発熱、無力
症及び腰痛により入院となり、臨床検査で肝腫大を認めた。経験的治療3日目に転院となり、抗生物
質治療を開始した。発熱が続いたため抗生物質を切り替え、胸部、腹部及び骨盤CTにて肝腫大及
び脾腫を認めた。治療9日目、血液培養でグラム陰性桿菌が同定され、その後、質量分析法にて
Brucella melitensisの存在を認めた。ブルセラ症の診断確定後、抗生物質レジメンを変更した。血液
培養ではブルセラ症確定後6日間までブルセラ属菌に対し陽性を示した。症例は家畜の接触、低温
殺菌牛乳やチーズの摂取はなく、キャンプ周辺の森で狩猟した野生ブタの肉を含む狩猟動物を摂取
していた。退院後、抗生物質療法を6週間継続し、投与1ヵ月後、経過は良好であった。症例2はブラ
ジル出身の45歳男性、発熱、腰痛、10ヵ月で8kgの体重減少及び左肢の機能障害により入院とな
り、臨床検査にて左大腰筋の積極的なモビリゼーション中に疼痛を認めた。腰椎CTにて脊椎椎間板
炎、椎体破壊及び脊柱管狭窄を認めた。腰筋膿瘍から得られた検体を培養後、B.melitensisが同定
された。症例は森で狩猟した肉を摂取していた。抗生物質投与前の血液培養の結果、すべて培養5
日後で陰性を示した。初期の臨床成績は良好で発熱は減少し、治療18日目に退院となった。[微生
物学的特性]両症例の分離株を同定・確認のためフランスFrench Brucella National Reference
Centerに送付し、BRSO-2020-213(Cayenne)及びBRSO-2021-230(Kourou)と命名された。いずれ
の株もブルセラ属に属していた。[細菌ゲノム解析]マルチプレックスPCR法で得られたゲノムレベル
でのプロファイルから、B.suis、B.microti及びB.neotomaeのいずれかに属する可能性が示唆され、
Suis-Ladder PCR法では既知のブルセラ属菌に類似していなかった。全ゲノムシークエンス解析に
より、BRSO-2020-213とBRSO-2021-230は非常に近縁で、古典的なブルセラ属菌のクレードに属す
ることが判明した。また、いずれも既存のブルセラ属菌とクラスター形成しなかった。ブルセラ属の菌
種判別や系統関係の解明によく用いられる3つの遺伝子(recA、16S rRNA、omp2b)では、BRSO2020-213、BRSO-2021-230と他のすべてのブルセラ属菌(B. neotomae、B. microtiを除く)の間で
recAの塩基配列が100%一致し、16S rRNA遺伝子も同様であった(B. neotomae、B. papionisを除
く)。omp2b遺伝子では2株間の同一性は88%であった。これらの結果からBRSO-2020-213と
BRSO-2021-230は新種のブルセラ属菌であることが判明した。【考察】本ブルセラ症2例の報告は、
同地域におけるブルセラ症1例(29歳男性、金鉱労働者、ブラジルの養豚場での汚染によるB.suis
biovar 1感染)に続くものであったが、本2症例の分離株の性状から新種のブルセラ属菌であること
が判明し、菌種名Brucella amazoniensis sp. novを提案した。人獣共通感染、特にアマゾンの森に生
息する野生動物から感染した可能性が高いと考えられた。両症例とも狩猟や豚肉を中心とした「野
生動物の肉」を摂取しており、本新種のブルセラ属菌はB.suisとは遺伝的に異なると考えられるが、
野生のブタが保有動物である可能性を排除することはできない。医療従事者は本地域のブルセラ菌
の存在に注意する必要がある。

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感染症

出典

概要

<その他>

ヒトアナプラズマ Emerg Infect Dis.

28(2022)1673-1676

細菌感染

Emerg Infect Dis.
29(2023)333-340

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