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資料1-2 MID-NET・NDBの行政利活用の調査実施状況について (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24331.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和3年度 第3回 3/11)《厚生労働省》
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レード 1 以上及びグレード 2 以上における発現割合は、全例調査での発現割合よりも高
かったが、副次解析でのグレード 3 における発現割合は、全例調査での発現割合と概ね
同程度であった。また、副次解析における Hy’s Law を参考にした定義による発現割合
は、全例調査における肝機能障害関連の副作用の発現割合よりも低値を示した。



結果を踏まえた考察
主要解析においては、肝機能検査値異常や肝疾患の既往がある患者などを除外し
た上で、PAH 治療薬の新規処方患者における PAH 治療薬と肝機能検査値異常との
関連を検討したが、複数の PAH 治療薬による治療歴がある患者や PAH 治療薬の
初回処方前にグレード 1 以上の肝機能検査値異常を有する患者が多く認められた
などの理由により、多数の患者が除外される結果となった。これは、PAH が難治
性の疾患であり、治療の過程で PAH 治療薬を変更する症例が一定数存在し、多く
の症例が肝機能障害を合併していることなどに由来するものと考えられ、PAH な
どの難治性疾患を対象とする調査では、十分な症例数を確保するために、対象とす
る集団の定義についてより慎重な検討が必要と考えられた。



ボセンタン水和物に関し、全例調査における肝機能検査値異常の発現割合と比較
すると、副次解析のグレード 1 以上及びグレード 2 以上を基準とした場合の発現
割合の方が高く、より重症度の高いグレード 3 を基準とした発現割合と同程度で
あった。これは、MID-NET®での解析結果には、医師により PAH 治療薬との因果
関係が否定された肝機能検査値異常も含まれている可能性、あるいは全例調査で
は重症度を考慮して副作用が判定されている可能性などに由来するものと考えら
れた。したがって、MID-NET®を用いて肝機能検査値異常の発現状況を評価する場
合には、調査対象薬と因果関係のない肝機能検査値異常の影響を考慮しつつ、グレ
ード 3 のように重症度が一定程度ある基準を用いることで、全例調査における副
作用と同程度の発現状況を確認できる可能性が示唆された。



肝機能障害関連の副作用について、各検査項目ごとの評価に加えて、Hy’s Law 等
の複数の肝機能検査項目を組み合わせた基準も併用して用いることで、異なる視
点での評価が可能になると期待される。全例調査では Hy’s Law に関連した集計は
報告されていないため、MID-NET®の結果と直接比較することはできないが、Hy’s
Law を参考にした定義は比較的重症度が高い症例を同定する基準と考えられるた
め、全例調査における肝機能障害関連の副作用発現割合よりも Hy’s Law を参考に
した定義の発現割合の方が低値を示したことは妥当な結果であると考えられた。



なお、全例調査との比較において、肝機能検査値異常に関連すると考えられる患者
背景因子(肝障害の重症度、抗がん剤処方の有無等)による調整は行っていないこ
と、その他の潜在的な交絡因子(例:患者の全身状態、各種治療歴等)が結果に影
響を与えている可能性も否定できないこと等の一定の限界があることに留意が必
要である。

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