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資料1-3-2 公益社団法人経済同友会 御提出資料(参考資料) (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_04medical/240426_01/medical10_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第10回 4/26)《内閣府》 |
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Ⅰ
はじめに
2025 年以降、私たちの社会は重要な局面を迎えることになる。社会保障制度を支
える現役世代が急速に減少し、各産業で労働力不足が深刻化している中、2024 年 4
月には医師にも時間外労働の上限規制等が義務化され、医療・ヘルスケア業界にと
って大きな転換点となる。
2025 年には全ての団塊の世代が後期高齢者に突入する。未曾有の高齢社会を迎え、
医療・ヘルスケアサービスへの需要がさらに増加することは明白であり、医療の質
の向上と提供体制の持続可能性を確保するためには、生産性の向上が不可欠である。
こうした背景を踏まえ、本委員会では、患者の生活の質(QOL:Quality of life)
の向上と持続可能な医療提供体制を実現することを目的とした規制改革について検
討を行った。具体的には、多職種間の連携を推進するタスク・シフト/シェアと医療
機関の経営効率化を図るための規制改革について提言する。
Ⅱ
多職種連携を実現するタスク・シフト/シェアのさらなる推進
(1)長期的な医療サービスの需要増と医療従事者の不足
医療サービスへの需要が長期的に増加する中で、提供の核となる医療従事者の数
は慢性的に不足している。また、医師数・診療科には地域偏在が見られ、一部地域
では医師不足が顕著となっている。特に、多様化するニーズに対応できる在宅医療
は、今後、さらに需要が高まることが想定されることから、在宅医療の推進に向け
た対策は喫緊の課題である。
医療におけるタスク・シフト/シェアは、医師の働き方改革の推進を主な目的とし
て検討が進められてきた経緯1があるが、現在では、単に医師の業務負担の軽減だけ
が目的ではなくなっている。医療現場の実状やニーズを把握しながら、各職種にお
ける業務の整理と見直しを図ることで、それぞれの職能・職域を拡大し、より質の
高い、患者本位の医療を実現することができるはずである。しかし、医療の質の向
上を目指して、長年にわたり議論が重ねられてきたが、現在でも、医療現場の実状
に応じたタスク・シフト/シェアが十分に機能しているとは言い難い。
在宅医療の需要増と合わせて、居宅や介護施設における介護サービスの需要増へ
の対応も避けて通ることのできない重要な課題である。総務省の調査2によれば、介
護等を理由とした離職者は直近1年間で 10 万 6000 人に上る。また、高齢化に伴い、
介護を必要とする高齢者は年々増加傾向にあり、家族を介護しながら働く人の数も
増えてきている。同調査によると、介護者(介護をしている人)の内、半数以上が
仕事に就いており、今後、さらに高齢化率が高まれば、個人のパフォーマンス低下
や介護離職者数のさらなる増加を招くことは明らかである。
1
2017 年 3 月に罰則付き時間外労働の上限規制等に関する政労使合意が行われたことを契機に、同年 8 月には
厚生労働省に「医師の働き方改革に関する検討会」が設置され、医療におけるタスク・シフト/シェアの議論が
本格化した。
2
総務省「令和 4 年就業構造基本調査」(2023 年 7 月 21 日)
1
はじめに
2025 年以降、私たちの社会は重要な局面を迎えることになる。社会保障制度を支
える現役世代が急速に減少し、各産業で労働力不足が深刻化している中、2024 年 4
月には医師にも時間外労働の上限規制等が義務化され、医療・ヘルスケア業界にと
って大きな転換点となる。
2025 年には全ての団塊の世代が後期高齢者に突入する。未曾有の高齢社会を迎え、
医療・ヘルスケアサービスへの需要がさらに増加することは明白であり、医療の質
の向上と提供体制の持続可能性を確保するためには、生産性の向上が不可欠である。
こうした背景を踏まえ、本委員会では、患者の生活の質(QOL:Quality of life)
の向上と持続可能な医療提供体制を実現することを目的とした規制改革について検
討を行った。具体的には、多職種間の連携を推進するタスク・シフト/シェアと医療
機関の経営効率化を図るための規制改革について提言する。
Ⅱ
多職種連携を実現するタスク・シフト/シェアのさらなる推進
(1)長期的な医療サービスの需要増と医療従事者の不足
医療サービスへの需要が長期的に増加する中で、提供の核となる医療従事者の数
は慢性的に不足している。また、医師数・診療科には地域偏在が見られ、一部地域
では医師不足が顕著となっている。特に、多様化するニーズに対応できる在宅医療
は、今後、さらに需要が高まることが想定されることから、在宅医療の推進に向け
た対策は喫緊の課題である。
医療におけるタスク・シフト/シェアは、医師の働き方改革の推進を主な目的とし
て検討が進められてきた経緯1があるが、現在では、単に医師の業務負担の軽減だけ
が目的ではなくなっている。医療現場の実状やニーズを把握しながら、各職種にお
ける業務の整理と見直しを図ることで、それぞれの職能・職域を拡大し、より質の
高い、患者本位の医療を実現することができるはずである。しかし、医療の質の向
上を目指して、長年にわたり議論が重ねられてきたが、現在でも、医療現場の実状
に応じたタスク・シフト/シェアが十分に機能しているとは言い難い。
在宅医療の需要増と合わせて、居宅や介護施設における介護サービスの需要増へ
の対応も避けて通ることのできない重要な課題である。総務省の調査2によれば、介
護等を理由とした離職者は直近1年間で 10 万 6000 人に上る。また、高齢化に伴い、
介護を必要とする高齢者は年々増加傾向にあり、家族を介護しながら働く人の数も
増えてきている。同調査によると、介護者(介護をしている人)の内、半数以上が
仕事に就いており、今後、さらに高齢化率が高まれば、個人のパフォーマンス低下
や介護離職者数のさらなる増加を招くことは明らかである。
1
2017 年 3 月に罰則付き時間外労働の上限規制等に関する政労使合意が行われたことを契機に、同年 8 月には
厚生労働省に「医師の働き方改革に関する検討会」が設置され、医療におけるタスク・シフト/シェアの議論が
本格化した。
2
総務省「令和 4 年就業構造基本調査」(2023 年 7 月 21 日)
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