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2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解 (2 ページ)
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出典情報 | 2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解(10/21)《日本感染症学会》 |
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70 代で 32.8%と⾼齢者は若年層に⽐べて低いことが発表されています 4)。このことは、わが国で
は未だに⾼齢者を中⼼に⾃然感染による免疫を獲得していない⼈が多いことを⽰しており、この
ような⽅々は、引き続きワクチンによる免疫の獲得が COVID-19 の予防に重要となります。
⾼齢者の COVID-19 の重症化・死亡リスクはインフルエンザ以上です
今夏の第 11 波では、⾼齢者を中⼼に⼊院患者が増加し 5)、ウイルス性肺炎による重症者も再
びみられました。⾼齢者施設の集団感染も続いています 6)。2023 年度秋開始接種として XBB.1.5
対応ワクチンの特例臨時接種が実施されましたが、接種率は全体で 22.7%、⾼齢者でも 53.7%に
とどまり 7)、⾼齢者の免疫が⼗分でないことが考えられます。
2023 年 5 ⽉ 8 ⽇の 5 類感染症移⾏後は毎⽇の死亡者数の発表はなくなりましたが、厚⽣労働
省の死亡統計によると、2023 年5⽉から 2024 年4⽉の 1 年間のわが国の COVID-19 による死
亡者数は 29,336 ⼈です 8)。5類移⾏までの 3 年 4 か⽉間の COVID-19 の死亡者数は 74,096 ⼈で
あり 9)、その 40%にあたる数の死亡者が 5 類移⾏後の1年間にみられています。また、わが国の
2017/18 と 2018/19 シーズンの 60 歳以上のインフルエンザ平均死亡者数 10,908 ⼈ 10)と⽐べて
も、COVID-19 の疾病負荷は依然として⼤きいことがわかります。オミクロン株流⾏期の海外の
研究では、65 歳以上の COVID-19 ⼊院患者の 30 ⽇以内の致命率は、インフルエンザ⼊院患者よ
りも 1.78 倍⾼いことが報告されています 11)。⾼齢者にとってインフルエンザの重症化・死亡リ
スクは⼤きいですが、COVID-19 の重症化・死亡リスクはそれ以上です。
また、COVID-19 の罹患後症状(Long COVID)は⾼齢者でもみられ、⽇常⽣活に⽀障をきた
す程度の症状が 3 か⽉以上持続する⼈の割合が 70 歳以上で 15.7%であったことがわが国の調査
で明らかになっています 12)。また、COVID-19 罹患後は 1 年間にわたって⼼⾎管疾患や呼吸器
疾患のリスクが 1.6〜3.6 倍増加すること 13)や認知機能低下や認知症の発症にも関連していること
が報告されています。
14)
流⾏株に対応した新たな新型コロナワクチンの接種が必要です
新型コロナワクチンの発症予防効果は、ウイルスの変異の影響もあり、数か⽉で減衰すること
が知られており、流⾏株に対応した新たなワクチンの追加接種が必要になります。WHO はワク
チン株として JN.1 を選定しており、わが国でも 2024 年 10 ⽉から JN.1 対応ワクチンが新たに使
⽤される予定です。
現在流⾏している KP.3 は JN.1 の派⽣株であり、JN.1 と KP.3 のスパイクタンパク質の受容体
結合部位の違いは 223 のアミノ酸のうち 3 つに留まっています 15)。マウスにおいて各種ワクチン
接種後の抗体との反応性から各変異株の抗原性(免疫と関わる部分のアミノ酸配列の違い)を⽐
較した研究では、XBB.1.5 と JN.1 は⼤きく異なりますが、JN.1 と KP.3 の差は相対的に⼩さいこ
とが報告されています 16)。実際に、今秋の定期接種に使⽤される予定の JN.1 対応ワクチンのマ
ウスにおける試験でも、KP.3 に対する中和抗体価の上昇がみられており 17)、JN.1 対応ワクチン
は KP.3 に対しても⼀定の免疫原性(免疫を誘導するはたらき)を持つことが期待されます。
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は未だに⾼齢者を中⼼に⾃然感染による免疫を獲得していない⼈が多いことを⽰しており、この
ような⽅々は、引き続きワクチンによる免疫の獲得が COVID-19 の予防に重要となります。
⾼齢者の COVID-19 の重症化・死亡リスクはインフルエンザ以上です
今夏の第 11 波では、⾼齢者を中⼼に⼊院患者が増加し 5)、ウイルス性肺炎による重症者も再
びみられました。⾼齢者施設の集団感染も続いています 6)。2023 年度秋開始接種として XBB.1.5
対応ワクチンの特例臨時接種が実施されましたが、接種率は全体で 22.7%、⾼齢者でも 53.7%に
とどまり 7)、⾼齢者の免疫が⼗分でないことが考えられます。
2023 年 5 ⽉ 8 ⽇の 5 類感染症移⾏後は毎⽇の死亡者数の発表はなくなりましたが、厚⽣労働
省の死亡統計によると、2023 年5⽉から 2024 年4⽉の 1 年間のわが国の COVID-19 による死
亡者数は 29,336 ⼈です 8)。5類移⾏までの 3 年 4 か⽉間の COVID-19 の死亡者数は 74,096 ⼈で
あり 9)、その 40%にあたる数の死亡者が 5 類移⾏後の1年間にみられています。また、わが国の
2017/18 と 2018/19 シーズンの 60 歳以上のインフルエンザ平均死亡者数 10,908 ⼈ 10)と⽐べて
も、COVID-19 の疾病負荷は依然として⼤きいことがわかります。オミクロン株流⾏期の海外の
研究では、65 歳以上の COVID-19 ⼊院患者の 30 ⽇以内の致命率は、インフルエンザ⼊院患者よ
りも 1.78 倍⾼いことが報告されています 11)。⾼齢者にとってインフルエンザの重症化・死亡リ
スクは⼤きいですが、COVID-19 の重症化・死亡リスクはそれ以上です。
また、COVID-19 の罹患後症状(Long COVID)は⾼齢者でもみられ、⽇常⽣活に⽀障をきた
す程度の症状が 3 か⽉以上持続する⼈の割合が 70 歳以上で 15.7%であったことがわが国の調査
で明らかになっています 12)。また、COVID-19 罹患後は 1 年間にわたって⼼⾎管疾患や呼吸器
疾患のリスクが 1.6〜3.6 倍増加すること 13)や認知機能低下や認知症の発症にも関連していること
が報告されています。
14)
流⾏株に対応した新たな新型コロナワクチンの接種が必要です
新型コロナワクチンの発症予防効果は、ウイルスの変異の影響もあり、数か⽉で減衰すること
が知られており、流⾏株に対応した新たなワクチンの追加接種が必要になります。WHO はワク
チン株として JN.1 を選定しており、わが国でも 2024 年 10 ⽉から JN.1 対応ワクチンが新たに使
⽤される予定です。
現在流⾏している KP.3 は JN.1 の派⽣株であり、JN.1 と KP.3 のスパイクタンパク質の受容体
結合部位の違いは 223 のアミノ酸のうち 3 つに留まっています 15)。マウスにおいて各種ワクチン
接種後の抗体との反応性から各変異株の抗原性(免疫と関わる部分のアミノ酸配列の違い)を⽐
較した研究では、XBB.1.5 と JN.1 は⼤きく異なりますが、JN.1 と KP.3 の差は相対的に⼩さいこ
とが報告されています 16)。実際に、今秋の定期接種に使⽤される予定の JN.1 対応ワクチンのマ
ウスにおける試験でも、KP.3 に対する中和抗体価の上昇がみられており 17)、JN.1 対応ワクチン
は KP.3 に対しても⼀定の免疫原性(免疫を誘導するはたらき)を持つことが期待されます。
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