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2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解 (4 ページ)
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出典情報 | 2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解(10/21)《日本感染症学会》 |
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原因ウイルスが XBB.1.5 と JN.1 の場合を区別した⽶国の研究では、XBB.1.5 対応ワクチンは、
XBB.1.5 による 18 歳以上の接種後 3〜4 か⽉の発症を 60%予防していますが、JN.1 による発症
を予防する効果は 49%とやや低下していました 22)。また、XBB.1.5 対応ワクチンの接種後 3 か⽉
までの⼊院予防効果は、XBB.1.5 で 54.2%ですが、JN.1 では 32.7%と減少しています 23)。したが
って、流⾏株に対応したワクチンの接種が必要になります。
コミナティとスパイクバックスの JN.1 対応 mRNA ワクチンのマウスにおける免疫原性が公開
されており、JN.1 対応ワクチン追加接種後の JN.1 に対する中和抗体価は、XBB.1.5 ワクチン追
加接種後に⽐べてそれぞれ 2.3 倍と 3.5 倍上昇していました 17)。また、KP.3 に対する中和抗体価
は、JN.1 に対する中和抗体価に⽐べてコミナティで 17.7%、スパイクバックスで 36.9%減少し
ていましたが、⼀定の免疫原性がみられています 17)。
mRNA ワクチンは⼀過性の副反応の頻度が⽐較的⾼く、わが国のコホート調査(ワクチン接
種者を対象とする前向き観察研究)によると 2 回⽬接種における 37.5℃以上の発熱はコミナティ
で 38.1%、スパイクバックスで 76.8%でしたが、令和 5 年度秋開始接種の XBB.1.5 対応ワクチン
ではそれぞれ 17.1%と 39.0%に減少しています 24)。また、接種開始当時に問題となった⼼筋炎・
⼼膜炎(症例定義に合致するもの)の副反応疑い報告数は、令和 5 年度秋開始接種では 100 万接
種当りコミナティで 0.04 回、スパイクバックスで 0.33 回ときわめて少なく、報告された死亡例
のうちワクチンとの因果関係が否定できないと評価された症例はありません 25)。
コミナティまたはスパイクバックスの mRNA ワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種
したときの有害事象(因果関係の有無に関わらず接種者に⽣じる好ましくない事柄)については、
⽶国の副反応疑い報告システムの調査では、mRNA ワクチン単独接種に⽐べて、同時接種では
⼀過性の局所反応や全⾝反応の頻度が 1.05〜1.11 倍とわずかに増えたものの、安全に接種が実施
されたことが報告されています 26)。
武⽥薬品⼯業のヌバキソビッド®
ヌバキソビッドは、遺伝⼦組換えのスパイクタンパク質の 3 量体がポリソルベート 80 を核に
配置されたナノ粒⼦で構成されています。遺伝⼦組換えタンパク質を⽤いたワクチンとしては、
すでに B 型肝炎ワクチンなどが使⽤されています。キラヤ植物の樹⽪から抽出したサポニンをベ
ースにしたケージ様の粒⼦ Matrix-M がアジュバント(⾃然免疫を活性化するためにワクチンの
免疫原性を⾼める物質)として添加されています。海外のノババックス社によって開発され、わ
が国でも国内で製造された起源株ワクチン(流⾏当初の株をもとにしたワクチン)が 2022 年 4
⽉に承認され使⽤されました。
デルタ株流⾏前に⽶国等で⾏われた起源株ワクチンの臨床試験では、初回免疫(2 回接種)後
の発症予防効果が 90.4%27)、英国の臨床試験でも発症予防効果が 82.7%、重症化予防効果が
100 %と mRNA ワクチンと同等の有効率(⾮接種群に⽐べた接種群での減少率)が確認されて
います 28)。また、起源株ワクチンであっても追加接種を繰り返すことでオミクロン株 BA.5 に対
する中和抗体価が上昇することが報告されています 29)。
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XBB.1.5 による 18 歳以上の接種後 3〜4 か⽉の発症を 60%予防していますが、JN.1 による発症
を予防する効果は 49%とやや低下していました 22)。また、XBB.1.5 対応ワクチンの接種後 3 か⽉
までの⼊院予防効果は、XBB.1.5 で 54.2%ですが、JN.1 では 32.7%と減少しています 23)。したが
って、流⾏株に対応したワクチンの接種が必要になります。
コミナティとスパイクバックスの JN.1 対応 mRNA ワクチンのマウスにおける免疫原性が公開
されており、JN.1 対応ワクチン追加接種後の JN.1 に対する中和抗体価は、XBB.1.5 ワクチン追
加接種後に⽐べてそれぞれ 2.3 倍と 3.5 倍上昇していました 17)。また、KP.3 に対する中和抗体価
は、JN.1 に対する中和抗体価に⽐べてコミナティで 17.7%、スパイクバックスで 36.9%減少し
ていましたが、⼀定の免疫原性がみられています 17)。
mRNA ワクチンは⼀過性の副反応の頻度が⽐較的⾼く、わが国のコホート調査(ワクチン接
種者を対象とする前向き観察研究)によると 2 回⽬接種における 37.5℃以上の発熱はコミナティ
で 38.1%、スパイクバックスで 76.8%でしたが、令和 5 年度秋開始接種の XBB.1.5 対応ワクチン
ではそれぞれ 17.1%と 39.0%に減少しています 24)。また、接種開始当時に問題となった⼼筋炎・
⼼膜炎(症例定義に合致するもの)の副反応疑い報告数は、令和 5 年度秋開始接種では 100 万接
種当りコミナティで 0.04 回、スパイクバックスで 0.33 回ときわめて少なく、報告された死亡例
のうちワクチンとの因果関係が否定できないと評価された症例はありません 25)。
コミナティまたはスパイクバックスの mRNA ワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種
したときの有害事象(因果関係の有無に関わらず接種者に⽣じる好ましくない事柄)については、
⽶国の副反応疑い報告システムの調査では、mRNA ワクチン単独接種に⽐べて、同時接種では
⼀過性の局所反応や全⾝反応の頻度が 1.05〜1.11 倍とわずかに増えたものの、安全に接種が実施
されたことが報告されています 26)。
武⽥薬品⼯業のヌバキソビッド®
ヌバキソビッドは、遺伝⼦組換えのスパイクタンパク質の 3 量体がポリソルベート 80 を核に
配置されたナノ粒⼦で構成されています。遺伝⼦組換えタンパク質を⽤いたワクチンとしては、
すでに B 型肝炎ワクチンなどが使⽤されています。キラヤ植物の樹⽪から抽出したサポニンをベ
ースにしたケージ様の粒⼦ Matrix-M がアジュバント(⾃然免疫を活性化するためにワクチンの
免疫原性を⾼める物質)として添加されています。海外のノババックス社によって開発され、わ
が国でも国内で製造された起源株ワクチン(流⾏当初の株をもとにしたワクチン)が 2022 年 4
⽉に承認され使⽤されました。
デルタ株流⾏前に⽶国等で⾏われた起源株ワクチンの臨床試験では、初回免疫(2 回接種)後
の発症予防効果が 90.4%27)、英国の臨床試験でも発症予防効果が 82.7%、重症化予防効果が
100 %と mRNA ワクチンと同等の有効率(⾮接種群に⽐べた接種群での減少率)が確認されて
います 28)。また、起源株ワクチンであっても追加接種を繰り返すことでオミクロン株 BA.5 に対
する中和抗体価が上昇することが報告されています 29)。
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