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2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解 (5 ページ)

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出典情報 2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解(10/21)《日本感染症学会》
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起源株ワクチンの国内臨床試験では、2 回接種 14 ⽇後の中和抗体価が 20〜64 歳 1,062、65 歳
以上 614 と、わが国の⾼齢者でも免疫原性が確認されています(添付⽂書)
。また、ファイザー
のコミナティを接種後の健康成⼈を対象とした国内追加接種試験では、起源株に対する中和抗体
価がヌバキソビッド初回免疫後に⽐べて 1.18 倍上昇していました 30)。また、ヌバキソビッド初
回免疫後の起源株に対する IgG 抗体価は 6 か⽉後には減衰しますが、1 年後にも過去の臨床試験
から 65%の発症予防効果が⾒込める抗体レベルを上回っていることが報告されています 31)。
ヌバキソビッドの XBB.1.5 対応ワクチンは海外で使⽤され、単独の有効性の評価は⾏われてい
ませんが、前述の⽶国での研究にヌバキソビッド接種者も 4.4%含まれています 22)。XBB.1.5 対
応のヌバキソビッド接種者の発症率は 12%であり、コミナティの 26%、スパイクバックスの
25%と⽐べて劣っていません 17)。
初回免疫終了後のマウスに JN.1 対応ワクチンを追加接種した後の JN.1 に対する中和抗体価は、
XBB.1.5 ワクチン追加接種後に⽐べて 10.8 倍⾼く、また KP.2 に対する中和抗体価は JN.1 と⽐べ
て 39.7%減少していましたが免疫原性が確認されています 17)。
安全性については、国内臨床試験における 2 回⽬接種後 7 ⽇間の発熱(37.5℃以上)の頻度は、
全体で 6.0%、⾼齢者で 4.0%、国内追加接種試験でも全体で 0.7%、⾼齢者で 6.7%と mRNA ワ
クチンに⽐べて低いのが特徴です 30, 32)。なお、国内コホート調査による接種後 8 ⽇以内の発熱
(37.5℃以上)の頻度は、3 回⽬接種後 10.9%、4 回⽬接種後 7.2%でした 24)。
第⼀三共のダイチロナ®
ダイチロナは、他の mRNA ワクチンがスパイクタンパク質の mRNA 全⻑を使⽤しているのに
対して、スパイクタンパク質の受容体結合部位(Receptor binding domain, RBD)の塩基配列だ
けを⽤いています。したがって、同じ量の mRNA を接種しても RBD の mRNA のコピー数が相
対的に多いため、体内で産⽣される RBD の量も多くなり免疫原性が⾼まることが期待されます。
また、COVID-19 感染者にみられるスパイクタンパク質の N 末端領域(N-terminal domain, NTD)
に対する抗体は試験管内の解析では感染増強効果を持つことが報告されていますが 33)、ダイチロ
ナは NTD を含まないためにそのような抗体が産⽣される可能性はありません。さらに、わが国
の新型コロナワクチンとしては唯⼀、開発も製造も国産であることも特徴のひとつです。
起源株ワクチンの国内臨床試験では、免疫原性がコミナティおよびスパイクバックスと⽐較さ
れ、中和抗体価の平均上昇倍率はコミナティの 1.46 倍、スパイクバックスの 1.77 倍でした 34)。
また、コミナティと⽐較した 2 価(起源株/BA.4-5)ワクチンの国内臨床試験でも、オミクロン
株 BA.5 に対する中和抗体価はコミナティの 1.72 倍で、中和抗体応答率(投与前後で 4 倍以上上
昇した接種者の割合)も 67.4%とコミナティの 45.8%よりも有意に⾼くなっていました 35)。
起源株ワクチンと XBB.1.5 対応ワクチンを接種後のマウスに JN.1 対応ワクチンを追加接種し
た後の JN.1 に対する中和抗体価は、接種前に⽐べて 24.8 倍上昇しており、XBB.1.5 対応ワクチ
ンに⽐べて 3.4 倍⾼いことが報告されています 17)。
安全性については、国内臨床試験における 2 価ワクチン追加接種後の有害事象の頻度が報告さ
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