よむ、つかう、まなぶ。
資料1-2 アロチノロール塩酸塩製剤におけるN-ニトロソアロチノロールの検出及び発がんリスクに関する評価報告書[434KB] (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55113.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和6年度第11回 3/25)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
(平均値)を含有する製剤30 mgを10年間毎日服用したと仮定した場合の理論上の発がんリスクは、
2.39×10-6と推定されました。これは、10年間の曝露によりおよそ418,000人に1人が過剰にがんを発症す
る程度のリスクに相当します。
ケース2)製剤中のN-ニトロソアロチノロールの含量を83.8ppmとし、仮に一生涯70年間服用した場合
を想定すると、理論上の発がんリスクは、1.68×10-5と推定され、70年間の曝露によりおよそ60,000人に1
人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。
ケース3)ICH M7に基づいて、以下の場合に一生涯服用した場合の発がんリスクを算出しました。
① 初回承認(昭和60年11月)より国内に流通する全ての本剤がN-ニトロソアロチノロールが許容濃
度(50ppm)を下回る製剤に入れ替わると見込まれる時期(令和10年11月)までの43年は、製剤
中に含まれるN-ニトロソアロチノロール濃度が本報告の平均値である83.8ppmにて服用すると仮定
します。
② 残りの27年は本剤のN-ニトロソアロチノロール許容濃度である50ppmの製剤を服用すると仮定し
ます。
この場合、発がんリスクが①の期間は1.03×10-5、②の期間は3.86×10-6と推定され、合わせて70年間
服用した場合の理論上の発がんリスクは1.42×10-5と推定されました。これは、70年間の暴露によりおよ
そ71,000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。
ケース4)3-2項に記載するN-ニトロソアロチノロールの低減検討においては、定量限界未満(5ppm)
の結果を得ています。そこで、ケース3の②におけるN-ニトロソアロチノロールの濃度を定量限界であ
る5ppmを含むと仮定した場合を推定しました。27年の服用によって発がんリスクは3.86×10-7と推定さ
れ、合わせて70年間服用した場合の理論上の発がんリスクは1.07×10-5と推定されました。これは、70年
間の暴露によりおよそ94,000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。当該ケースは
医薬品規制調和国際会議「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純
物の評価及び管理ガイドライン」(ICH-M7ガイドライン)において許容可能とされている「おおよそ
10万人に1人の増加」のリスクと同程度です。
推定した
ケース
1
2
3
4
表3 本剤の服用において推定する理論上の発がんリスク
製剤中の
服用量
服用期間
発がんリスク
N-ニトロソアロチノロール濃度
83.8ppm
30mg
10年
418,000人に1人(2.39×10-6)
83.8ppm
30mg
70年
60,000人に1人(1.68×10-5)
83.8ppm(43年)
30mg
70年
71,000人に1人(1.42×10-5)
50ppm(27年)
83.8ppm(43年)
30mg
70年
94,000人に1人(1.07×10-5)
5ppm(27年)
4-3.有害事象の状況
国内で弊社が入手し、安全性情報データベースに登録している本剤に関する副作用等症例情報のう
ち、MedDRAの器官別大分類が「良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)」に該
当する症例は、1985年の承認以降「S状結腸癌(直腸癌を除く)」(MedDRA基本語、報告語は結腸
癌)の1例のみでした(2025年2月27日時点)。当該症例は、他社の薬剤に関する臨床試験より報告され
た67歳男性症例で、本剤投与開始約1年5ヵ月後、S状結腸ポリープに対し内視鏡的切除術が施行され、
病理組織検査の結果carcinoma in adenoma(腺腫内癌)が判明したと報告されました。また、本剤は他の
複数の併用薬と共に被疑薬として報告されましたが、事象回復後も本剤を含めた投薬に変更はなく継続
されました。詳細情報が不足しており、本剤との因果関係は判定困難でした。
5.
今後の対応
5-1.国内における本剤の推計処方患者数
本剤の推定処方患者数を表4に示しました。推定処方患者数は、1,391の保険者(健康保険組合)に加入
している、大手企業等の従業員およびその扶養家族(0‐74歳)の疫学レセプトデータベースを基に算出し
ました。データベースの母集団と実患者数から出現率を求め、日本人口を乗じることで推定処方患者数と
5
2.39×10-6と推定されました。これは、10年間の曝露によりおよそ418,000人に1人が過剰にがんを発症す
る程度のリスクに相当します。
ケース2)製剤中のN-ニトロソアロチノロールの含量を83.8ppmとし、仮に一生涯70年間服用した場合
を想定すると、理論上の発がんリスクは、1.68×10-5と推定され、70年間の曝露によりおよそ60,000人に1
人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。
ケース3)ICH M7に基づいて、以下の場合に一生涯服用した場合の発がんリスクを算出しました。
① 初回承認(昭和60年11月)より国内に流通する全ての本剤がN-ニトロソアロチノロールが許容濃
度(50ppm)を下回る製剤に入れ替わると見込まれる時期(令和10年11月)までの43年は、製剤
中に含まれるN-ニトロソアロチノロール濃度が本報告の平均値である83.8ppmにて服用すると仮定
します。
② 残りの27年は本剤のN-ニトロソアロチノロール許容濃度である50ppmの製剤を服用すると仮定し
ます。
この場合、発がんリスクが①の期間は1.03×10-5、②の期間は3.86×10-6と推定され、合わせて70年間
服用した場合の理論上の発がんリスクは1.42×10-5と推定されました。これは、70年間の暴露によりおよ
そ71,000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。
ケース4)3-2項に記載するN-ニトロソアロチノロールの低減検討においては、定量限界未満(5ppm)
の結果を得ています。そこで、ケース3の②におけるN-ニトロソアロチノロールの濃度を定量限界であ
る5ppmを含むと仮定した場合を推定しました。27年の服用によって発がんリスクは3.86×10-7と推定さ
れ、合わせて70年間服用した場合の理論上の発がんリスクは1.07×10-5と推定されました。これは、70年
間の暴露によりおよそ94,000人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクに相当します。当該ケースは
医薬品規制調和国際会議「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純
物の評価及び管理ガイドライン」(ICH-M7ガイドライン)において許容可能とされている「おおよそ
10万人に1人の増加」のリスクと同程度です。
推定した
ケース
1
2
3
4
表3 本剤の服用において推定する理論上の発がんリスク
製剤中の
服用量
服用期間
発がんリスク
N-ニトロソアロチノロール濃度
83.8ppm
30mg
10年
418,000人に1人(2.39×10-6)
83.8ppm
30mg
70年
60,000人に1人(1.68×10-5)
83.8ppm(43年)
30mg
70年
71,000人に1人(1.42×10-5)
50ppm(27年)
83.8ppm(43年)
30mg
70年
94,000人に1人(1.07×10-5)
5ppm(27年)
4-3.有害事象の状況
国内で弊社が入手し、安全性情報データベースに登録している本剤に関する副作用等症例情報のう
ち、MedDRAの器官別大分類が「良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)」に該
当する症例は、1985年の承認以降「S状結腸癌(直腸癌を除く)」(MedDRA基本語、報告語は結腸
癌)の1例のみでした(2025年2月27日時点)。当該症例は、他社の薬剤に関する臨床試験より報告され
た67歳男性症例で、本剤投与開始約1年5ヵ月後、S状結腸ポリープに対し内視鏡的切除術が施行され、
病理組織検査の結果carcinoma in adenoma(腺腫内癌)が判明したと報告されました。また、本剤は他の
複数の併用薬と共に被疑薬として報告されましたが、事象回復後も本剤を含めた投薬に変更はなく継続
されました。詳細情報が不足しており、本剤との因果関係は判定困難でした。
5.
今後の対応
5-1.国内における本剤の推計処方患者数
本剤の推定処方患者数を表4に示しました。推定処方患者数は、1,391の保険者(健康保険組合)に加入
している、大手企業等の従業員およびその扶養家族(0‐74歳)の疫学レセプトデータベースを基に算出し
ました。データベースの母集団と実患者数から出現率を求め、日本人口を乗じることで推定処方患者数と
5