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資料1-2 アロチノロール塩酸塩製剤におけるN-ニトロソアロチノロールの検出及び発がんリスクに関する評価報告書[434KB] (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55113.html
出典情報 薬事審議会 医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和6年度第11回 3/25)《厚生労働省》
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しました。
推定処方患者数は全体で約5.5万人(高血圧で約3.2万人、本態性振戦で約2.3万人)でした。本剤はこれ
ら高血圧患者、本態性振戦患者に対して必要とされている製剤だと考えております。

疾患名
高血圧
本態性振戦
合計

表4 本剤の推計処方患者数
2022年の推定処方患者数
31,083人
20,333人
51,416人

2023年の推定処方患者数
31,921人
23,443人
55,364人

5-2.海外(中国、韓国、欧米)の状況
本剤は、中国において中国高血圧ガイドライン等で高齢者や慢性腎臓病(CKD)合併高血圧患者等に
推奨されており、年間推定30万人以上に処方されております。特に、β遮断薬を必要としているが他の
β遮断薬が使用しにくい/効果が不十分な高血圧患者に対して処方が推奨されており、高血圧治療の中
で必要不可欠な製剤だと考えております。
中国では弊社が本剤を輸出しており、国内製剤と同一のベントナイトを使用しております。現在、本
剤について回収等の措置指示はありません。
一方、韓国でも同有効成分を用いた製剤は流通しておりますが、弊社以外の企業によるものです。
Webにて調査した範囲では添加剤にベントナイトは含まれておりませんでした。また、欧米について
は、Webにて調査した範囲では同有効成分を用いた製剤の流通は認められませんでした。

5-3.本剤の服用に関する基本的な注意事項
本剤は、電子添付文書1)には「8. 重要な基本的注意〈効能共通〉8.2 類似化合物(プロプラノロー
ル)使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こしたりす
る症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、狭
心症以外の適用、例えば不整脈で投与する場合でも、特に高齢者においては同様の注意をするこ
と」、「9.8 高齢者 休薬を要する場合は徐々に減量する。」と記載されています。
また、本邦において、本態性振戦の効能を持つ薬剤は本剤のみです。一般社団法人日本神経治療学
会「標準的神経治療」:本態性振戦2)では以下のように記載されています。
a. Arotinolol
Arotinololは我が国で開発されたβ遮断薬であり,本邦においては本態性振戦を適応疾患にもつ唯一
の薬剤である.非選択性β遮断 作用に加えて,弱いα遮断作用を有しており,ISAを持たない.
Propranololの約2 ~ 5倍のβ遮断作用を有し,血液脳関門を通過 しにくい特性をもつ.米国,欧州では
上市されていないこともあり, 英文での臨床試験の報告がほとんどなく,Practice Parameterでの記載
はない.しかし,本邦で実施された臨床試験に関する報告(和文)が4報なされており,これらを考
慮すればエビデンスレベルI, 推奨レベルAに該当する. 本態性振戦患者66症例を対象とした多施設
共同オープン試験で は,arotinolol 10~30mg/日を6週間投与し,全般改善度有効以上が10mg/日で
52.3%,20mg/日で72.3%,30mg/日で73.8%と報告されている3) .6~12 ヵ月の長期投与試験(対象
75症例)においても,本剤投与2週後より有意な症状改善を認め,その後も長期に効果が持続した.
また,長期投与による重篤な有害事象の発生もなく,忍容性においても問題なかった4) .エビデン
スレベルの高い二つの多施設二重盲検比較試験も実施され本剤の有効性が報告されている.264症例
を対象とした試験では4週間実薬(10~20mg/日)もしくはプラセボを投与され,姿勢時振戦,動作
時振戦などのふるえ,および書字などの日常生活の機能障害が評価された.その結果「中等度改善」
以上の改善率は実薬投与群で50.4%,プラセボ投与群で 23.1%と有意な改善を認めている5).他方の
試験では188症例を対象とし3群に振り分けた後,4週間実薬もしくはプラセボを投与された.「中等
度改善」以上の改善率はプラセボ投与群で20.3%, 10mg/日投与群で44.0%,20mg/日投与群で60.8%
といずれの実薬群においても,プラセボ群に比べ有意に優れた結果であった6).これら臨床試験の
結果をもとに本剤の至適用量が決定され,添付文書 には「1日量10mgから開始し,効果不十分な場
合は,1日20mgを維持量として2回に分けて経口投与する.なお,年齢・症状等により適宜増減する
が1日30mgを超えないこととする」と記載されている.このため,実地臨床における投与量の決定が
propranololと 比べて簡便である.本剤とpropranololの多施設無作為クロスオーバー比較試験(対象

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