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新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について (17 ページ)

公開元URL https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/coronavirus_yushiki/index.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議(第5回 6/15)《内閣官房》
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ロナウイルス感染症に係る国産ワクチンの実用化、治療薬の実用化に
時間を要している。

また、海外でワクチン開発や治療薬が迅速に開発された背景に、感

染症の基礎研究と人材育成が行われてきたことがある。新型コロナウ
イルス感染症の流行時に日本からの論文の報告数は先進国の中でも下
位であった。これは情報や試料を研究者が入手できなかっただけでな
く、平素の疫学研究や臨床研究の体制が整備されていないことが大き

な理由である。国産のワクチンや治療薬の開発が進まなかったのはこ

のような背景があるためであり、国内の調査と研究が進まなければ、
科学的助言の質も低下してしまう。

こうしたことから、平時から研究開発・生産体制を強化し、迅速な

開発・供給を可能にする体制の構築を図っていくことや、医療情報の

利活用を推進するための取組、基礎研究を含む研究環境の整備が必要
である。

⑥ より迅速なワクチン接種のための体制構築
ア ワクチンの接種類型の整備、事務のデジタル化等

新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種について、予防接

種法上の想定が不十分であり、また、デジタル化が進んでいなかっ

た結果、以下のようなことが起き、ワクチン確保の環境整備やワク
チン接種事務体制の整備等に時間を要した。


予防接種法上、国が全国的な接種を強力に主導し、対象者の決定や財政に責
任を負って接種を行う臨時接種の類型が規定されておらず、また、ワクチン
の確保に向けて企業と交渉を行うに当たり損失補償契約の締結を可能とす
る規定も用意されていなかったことから、改めて立法措置が必要となった。



市町村が保有する予防接種台帳は、台帳に接種が記録されるまでに 2 ヶ月程
度かかり、引っ越しや接種券の紛失等に対応できないおそれがあることから、
ワクチン接種に当たり、個人単位の接種状況を記録して、逐次、市町村が住
民の接種記録を把握できるようにするため、ワクチン接種記録システム
(VRS)を新たに構築しなければならなかった。また、市町村による接種券
の送付が追加接種の接種間隔の前倒しに即応できず、接種券送付のタイミン

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