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資料2-5 重篤副作用疾患別対応マニュアル 進行性多巣性白質脳症(PML)(案) (21 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209243_00004.html
出典情報 重篤副作用総合対策検討会(第14回 9/15)《厚生労働省》
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関しては回答までに時間がかかった。ミニメンタルステート検査(MMSE)
は 18 点と低下が見られ、構成障害や肢節運動失行などの失行症状がみら
れた。脳神経系では左同名半盲があった。明らかな四肢麻痺はみられな
いが、四肢の腱反射は左右差があり、左上下肢で亢進し、両側 Babinski
反射が陽性であった。歩行はやや開脚歩行気味で踵膝試験でごく軽度の
運動解離があり、排尿時開始遅延を伴っていた。
検査所見:尿一般:正常、血算:白血球 4,800/µL(リンパ球 420/µL、CD4
陽性 T 細胞 65/µL)、赤沈 20 mm(1 時間)、CRP(-)。血液生化学検査は
AST、ALT の軽度高値がみられた。心電図:正常。
脳 MRI:フォロー時の MRI で確認されていた脳室周囲の MS 病変のほか、
右前頭葉から頭頂葉にかけて皮質直下に強く、深部白質まで広がる T2 強
調画像や FLAIR 画像での高信号病変がみられており、拡散強調画像で同
部位の周辺部分が淡く高信号となり、T1 強調画像では同部位が低信号を
呈していた。T2 高信号病変を取り囲むように淡い造影効果があった。
髄液検査:初圧 100mmH2O、水様透明、細胞数:1 個/µL(単核球 100%)、
蛋白:52mg/dl、IgG index:0.98、オリゴクローナルバンド陽性、ミエ
リン塩基性蛋白高値、髄液 JCV PCR 12,000 copies/µL と増加していた。
脳波:3~4 Hz のδ波が右前頭葉から頭頂葉にかけて左右非対称性の徐波
化がみられた。
入院経過(図 2):PML と診断したのち、フィンゴリモドを中止し、MS に
関してはリバウンドによる悪化に気をつけながら、毎週脳 MRI を撮影し
経過をフォローした。PML 病変の拡大に伴い急速に左上下肢の麻痺が進行
し、移動には車椅子を用いるようになり、言語機能の障害も悪化した
(EDSS 7.0、MMSE 10 点)。さらに倫理委員会承認後に、ミルタザピンとメ
フロキン塩酸塩の投与を開始した。経過中に MS の再発や IRIS の発症は
無く、ステロイドパルス療法は行わなかった。MRI 画像における高信号病
変は徐々に縮小し、治療薬開始後の認知機能は横ばいで、MMSE は 12 点で
あった。中止から 3 か月後には、認知機能も徐々に改善し、会話が可能
となり、スマートフォンを使えるようになり、屋内歩行は杖無しで 200m
程可能となった(EDSS 5.0、MMSE 19 点)。退院時は PML 発症前より運動機
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