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資料3-9 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第101回 10/5)《厚生労働省》
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SARS-CoV-2 については、2021 年末からのオミクロン株の出現以降、国外で亜系統が発生し、それが日
本に輸入されることで流行を繰り返してきた[8]。国内において、いわゆる第7波はオミクロン株の BA.5 亜系
統が流行の主体となったが、次の流行拡大がオミクロン株の新たな亜系統によるものになるか、あるいはオミクロ
ン株にかわる新たな変異ウイルスによるものになるかは現時点では予測できない。後者の確率を定量的に予測
することは現状では困難であるが、前者の亜系統が今後も生じる可能性は系統樹上での変異の蓄積速度が
速いことからも十分に高いと考えられる。しかし、現在世界では複数のオミクロン株の亜系統が見られており
(BA.2.75、BA.4.6 など)、どの亜系統が流行の主体となるかを正確に予想することは困難である。今後
も国外の流行状況に大きな影響を受けつつ、国内の流行が左右されるものと予測される。
国内において、ワクチン接種に由来する免疫や過去の感染による免疫をもつ者が大多数であるため、今後流
行するウイルスは、これらの免疫を逃避する優位性を兼ね備えたウイルスである可能性が高い(そのようなウイ
ルスでないと淘汰されるため、流行しがたい)。感染・伝播性については、免疫逃避能と分けて検討することが
非常に困難である点に留意する必要がある。
臨床的な重症度については、ウイルス自体の特徴による重症度とワクチンや過去の感染による免疫による重
症度の修飾とを分けて検討することは非常に困難である。ワクチンや過去の感染による免疫が重症化を予防
することはオミクロン株を含む過去の変異株においては示されているが、これらの免疫のオミクロン株に対する重
症化予防効果が低いことを示唆する報告があることから[9,10]、現在国内における個々人が獲得している免
疫が、今後出現する変異株に対して同様の重症化予防効果を発揮するかは不明である。今後流行するウイ
ルスについて、ウイルス自体の性質としての重症度がどうなるかについては現時点では不明である。自然淘汰と
いう意味では、SARS-CoV-2 は無症状から軽症の症例が大半を占めること、ウイルス排出から重症化するま
での期間に時間的差違があることから、重症化しやすいウイルスが自然淘汰され軽症化の方向にウイルスが進
化する方向に向かうわけではないと考えられる。
1-3. 見通しに影響する要因:人口の免疫保有状態
一般にワクチンや自然感染によって獲得された免疫は暴露後の時間と共に減弱していくが、SARS-CoV-2 に
関しては免疫の感染・発症予防効果も顕著に減弱していくことが示されている[11,12]。現状では、免疫の
持続について十分に科学的な分析が行われておらず、精密な意味での免疫持続期間(例.半減期)や防
御能力の程度の減少、また、免疫による感染予防と重症化予防の違いとその持続メカニズムの差異などにつ
いては、部分的にのみ解明された状況にある。また、免疫防御能は自然感染だけを経験した者と感染と予防
接種の両方を経験した者、予防接種だけをした者、複数回の自然感染をした者(特に異なる株に暴露され

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