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資料3-3―② 西浦先生提出資料 (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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を得ることが望ましい。
つまり、未観察の死亡も加味した致死率とは、観察された症例ラインリストに基づく致死
率の 1+𝜀𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 /𝜀𝑜𝑏𝑠 倍であるべきである。要するに、超過死亡が目立つ中で観察された症例
ラインリストに基づく計算のみをして議論をすると常に致死率を過小評価してしまう。人
口レベルのインパクトを含む精密な比較計算をするためには未観察の死亡リスク
𝑇

𝑓1,𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 =

∫0 𝜀𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 𝐼(𝑦)𝑑𝑦
𝑇

∫0 𝜆(𝑥)𝑑𝑥

を致死率の一部として計算に含むことが重要であり、𝑓1 = 𝑓1,𝑜𝑏𝑠 + 𝑓1,𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 であることを常に
念頭に置いておくことが望ましい。
3. 死因別死亡について因果関係を疑う論拠
死亡リスク(致死率)を計算する際に、どのような時に観察の有無が重要になるのか、
COVID-19 の致死率を想定して考えるとわかりやすい。それは「どんなときに、𝑓1,𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 が
多くなるのか」を想起すれば理解することができる。以下が全てではないが、典型的な観察
されない死亡事例が発生する Pathway を列挙する:
(i)

感染が見逃された後に死亡した場合(無症状・軽症であった、感染を他者に隠し
続けた、検査陰性であったなど)

(ii)

感染は診断されたが無症状・軽症などを理由にフォローアップされなかった場合
(自宅療養の療養解除、フォローアップからの脱落など)

(iii)

死亡した際に、COVID-19 との因果関係について、診断する医師に捕捉されなか
った場合(感染を疑わなかった中での循環器疾患での死亡など)

(iv)

循環器疾患などの合併症を含めて、死因が分からずに死亡した場合(老衰の一部、
死亡後の異常死の診断など)

これまでに COVID-19 の罹患中および罹患後に循環器疾患や脳血管疾患の罹患および死
亡のハザード比が異常に上昇することが報告されてきた[6,7]。それを踏まえて、上記(i)-(iv)
の発生リスクが十分にある場合は、それらの重要な要素に対応した推定をしなければ致死
率の精密な推定は困難である。ちなみに、このような問題はインフルエンザに関しても生じ
得るものであり、筆者は新型インフルエンザの IFR の推定において超過死亡を利用してき
た[8]。
さて、現状の死因別死亡を検討して、上記の観察されていない COVID-19 死亡がどれく
らい重要であるのかを検討する。計算の都合上、IFR を推定するには対象とする流行波期間
の感染者数を要する(精密に推定するには血清疫学調査を横断的に繰り返すことが必要で
ある)
。そのため、以下では診断された患者情報を利用した CFR(いわゆる confirmed case
fatality risk, cCFR に相当するもの[9])を提示する。つまり、冒頭 1 で言及した致死率と分
母を統一することで以下で例示する致死率を比較可能にする。厚生労働省の人口動態統計
では月報として死因別死亡数の速報値が定期的に公表される[10]。例えば、令和4年7月分
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