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資料3-3―② 西浦先生提出資料 (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》 |
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までが概数として報告されているが、ICD-10(2013 年版)の大分類に相当する死因別死亡
数をみると 21 の大分類の中で 17 において 2022 年 1-7 月の死亡数は前年度の同時期より
も死亡数が多い。ただし、それを 2021 年度 1-7 月に比して相対的に 5%以上の死亡増とす
ると 21 の大分類のうち 13 がそれに相当する。
さらに、2022 年 1-7 月の死亡数が前年同時期と比べて 5%以上の増加であり、かつ、絶
対的な死亡者数増が 3000 人以上である死因に絞ると、①09000 循環器系の疾患、②18000
症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの、③20000 傷病及び死
亡の外因、④22000 特殊目的用コード、の 4 つが該当し、顕著な超過死亡を認める。循環器
系疾患は上述の通りだが、18000 症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類さ
れないものには主に老衰を含んでおり、上記(iv)の診断バイアスに伴うものが計上され得る。
22000 特殊目的用コードは COVID-19 に対応しており、20000 傷病及び死亡の外因では主
に不慮の事故が含まれ、それ以外に自殺も同大分類に含まれる。
さらに、2022 年 1-7 月の死亡数が前年同時期と比べて 5%以上の増加であり、かつ、絶
対的な死亡者数増が 10000 人以上である死因に絞ると、①09000 循環器系の疾患(6.23%
増、13015 人)と②18000 症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されない
もの(14.96%増、15043 人)
、の 2 つのみが該当し、明確な超過死亡を認める。
ここで注意しておきたいが、例えば主要死因として常に上位に位置する悪性新生物によ
る死亡は 1.28%のみ増加(前年度から 637 人増)であり、また、Common disease の 1 つで
ある消化器系の疾患による死亡は 5.17%増加(前年度から 4875 人増)に留まっている。つ
まり、他の死因別統計で前年度比を見ると循環器系疾患と老衰において「選択的に」死亡が
著しく増加していると考えられ、その選択的な死亡増加は COVID-19 の感染および流行の
いずれ(直接的死亡および関連死)とも因果関係を積極的に疑う状況にあると考えられる。
同構造を死亡リスクの検討に明示的に含むことは、同感染症の死亡インパクトを理解する
上で極めて重要な役割を果たす。
4. 極端な仮定の下での計算
それでは、仮に循環器系疾患(心疾患や脳血管疾患)と老衰の多くが COVID-19 と因果
関係を有しているとすると、上記の致死率はどの程度であるのか。残念ながら、因果推論を
十分に行った上で推定を実施するには現時点ではデータ・情報量が足りない。
そこで、以下では極端な仮定を置くことによって致死率の計算を試みる。以下の計算には
厚生労働省オープンデータを用いた[11]。同観察データにおいては 2022 年度中(特に第 7
波中)に都道府県独自の判断で感染者数の報告を一旦停止することがあった。そのため、患
者数は過小評価気味であり致死率は(例えば冒頭の静岡県計算と比較すると)若干過大に計
算されてしまう。そのことを念頭に置きつつも、観察されない死亡のインパクトを定量化す
るために以下の議論を行う。
2022 年 1-7 月にかけて、60 歳未満の患者数は 945 万 8481 人、60 歳以上は 132 万 8590
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数をみると 21 の大分類の中で 17 において 2022 年 1-7 月の死亡数は前年度の同時期より
も死亡数が多い。ただし、それを 2021 年度 1-7 月に比して相対的に 5%以上の死亡増とす
ると 21 の大分類のうち 13 がそれに相当する。
さらに、2022 年 1-7 月の死亡数が前年同時期と比べて 5%以上の増加であり、かつ、絶
対的な死亡者数増が 3000 人以上である死因に絞ると、①09000 循環器系の疾患、②18000
症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの、③20000 傷病及び死
亡の外因、④22000 特殊目的用コード、の 4 つが該当し、顕著な超過死亡を認める。循環器
系疾患は上述の通りだが、18000 症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類さ
れないものには主に老衰を含んでおり、上記(iv)の診断バイアスに伴うものが計上され得る。
22000 特殊目的用コードは COVID-19 に対応しており、20000 傷病及び死亡の外因では主
に不慮の事故が含まれ、それ以外に自殺も同大分類に含まれる。
さらに、2022 年 1-7 月の死亡数が前年同時期と比べて 5%以上の増加であり、かつ、絶
対的な死亡者数増が 10000 人以上である死因に絞ると、①09000 循環器系の疾患(6.23%
増、13015 人)と②18000 症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されない
もの(14.96%増、15043 人)
、の 2 つのみが該当し、明確な超過死亡を認める。
ここで注意しておきたいが、例えば主要死因として常に上位に位置する悪性新生物によ
る死亡は 1.28%のみ増加(前年度から 637 人増)であり、また、Common disease の 1 つで
ある消化器系の疾患による死亡は 5.17%増加(前年度から 4875 人増)に留まっている。つ
まり、他の死因別統計で前年度比を見ると循環器系疾患と老衰において「選択的に」死亡が
著しく増加していると考えられ、その選択的な死亡増加は COVID-19 の感染および流行の
いずれ(直接的死亡および関連死)とも因果関係を積極的に疑う状況にあると考えられる。
同構造を死亡リスクの検討に明示的に含むことは、同感染症の死亡インパクトを理解する
上で極めて重要な役割を果たす。
4. 極端な仮定の下での計算
それでは、仮に循環器系疾患(心疾患や脳血管疾患)と老衰の多くが COVID-19 と因果
関係を有しているとすると、上記の致死率はどの程度であるのか。残念ながら、因果推論を
十分に行った上で推定を実施するには現時点ではデータ・情報量が足りない。
そこで、以下では極端な仮定を置くことによって致死率の計算を試みる。以下の計算には
厚生労働省オープンデータを用いた[11]。同観察データにおいては 2022 年度中(特に第 7
波中)に都道府県独自の判断で感染者数の報告を一旦停止することがあった。そのため、患
者数は過小評価気味であり致死率は(例えば冒頭の静岡県計算と比較すると)若干過大に計
算されてしまう。そのことを念頭に置きつつも、観察されない死亡のインパクトを定量化す
るために以下の議論を行う。
2022 年 1-7 月にかけて、60 歳未満の患者数は 945 万 8481 人、60 歳以上は 132 万 8590
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