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資料3-3―② 西浦先生提出資料 (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》 |
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人であった。そのうち、それぞれ 542 人と 13649 人が死亡者として報告された。従来の計
算では 60 歳未満の致死率は 0.006%、60 歳以上のそれは 1.027%となる。第 6 波と 7 波の
両方を含んでいること(第 7 波では同計算による致死率は第 6 波よりも小さい傾向がある
こと)や上記の都道府県別での報告の一時的停止を加味すると、冒頭で引用した静岡県での
報告と比較可能な観察情報に基づく致死率が計算される。
このうち、60 歳未満の致死率は報告通りとする。しかし、60 歳以上では循環器の疾患で
13015 人、老衰を含む異常所見・その他で 15043 人の超過死亡を(前年度比で)認めた。極
端な計算として、
(実際にはこの通りでないが)それら超過死亡全てが𝑓1,𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 に寄与すると
未観察な COVID-19 による死亡だとすると、観察・未観察の両方を含む死亡者数は 41707
人であり、60 歳以上の致死率は 3.14%となる。
他方、より現実的な検討をしてみよう。ここでは消化器疾患の超過が 5.17%であったが、
消化器疾患による死亡には COVID-19 の直接的影響による死亡をほとんど含まないと仮定
すると、前年度比の死亡リスク超過 5.17%は関連死であると想定することが可能である。
そのとき、循環器疾患や老衰においても 5.17%は関連死であり、残りの超過リスクだけが
COVID-19 に直接的に起因するとすると、60 歳以上の循環器疾患による死亡のうち 2214
人が COVID-19 由来で、10801 人は関連死と考えられ、また、老衰を含む異常所見・その
他による死亡のうち 9844 人が COVID-19 由来で、5199 人が関連死であると考えられる。
そのとき、観察・未観察の両方を含む COVID-19 の直接的な死亡者数は 25708 人であり、
60 歳以上の致死率は 1.94%となる。このとき、もちろん致死率は「全てが直接的な COVID19 の死亡」と想定したときよりも低くなるが、一方で関連死が循環器疾患と老衰を含むそ
の他の 2 分類だけで 15999 人も存在することとなり、その状況を生み出すに至った保健医
療体制や高齢者介護の管理体制に関するメカニズムを深堀りすることが必要となる。
本稿では定量的リスクの感覚をつかむため、敢えて極端な仮定を置いて上記の計算を実
施した。そのため、得られた致死率については定量的な妥当性が不十分であり、その数値を
利用した比較検討や解釈を行うことは控える。そのような論点ではなく、観察情報に頼った
推定をすると、著しく誤った結論を導くリスクを一定程度包含していることに留意するこ
とが必須であることに気付いていただきたいのである。少なくとも、本稿で述べるのは、実
際の観察・未観察の両方を加味した致死率がどの程度であるのかを明示することは困難で
あるが、未観察情報としての循環器系疾患(心疾患や脳血管疾患)や老衰の影響を極端な仮
定の下で定量化することは可能であるということである。
5. 致死率の推定のための観察情報に関する考察
上記の問題は、臨床現場から収集される死因別の統計を集積する上での因果推論の問題
に端を発する。通常、死亡届では医師の診断によって死因が記載される。しかし、上記 3 の
(i)-(iv)で論じたような問題を包含する場合には、個別の医師による因果の判断に頼らない
仕組みを作り出すことが求められる。例えば以下のような解決手段を考案すると役に立つ
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算では 60 歳未満の致死率は 0.006%、60 歳以上のそれは 1.027%となる。第 6 波と 7 波の
両方を含んでいること(第 7 波では同計算による致死率は第 6 波よりも小さい傾向がある
こと)や上記の都道府県別での報告の一時的停止を加味すると、冒頭で引用した静岡県での
報告と比較可能な観察情報に基づく致死率が計算される。
このうち、60 歳未満の致死率は報告通りとする。しかし、60 歳以上では循環器の疾患で
13015 人、老衰を含む異常所見・その他で 15043 人の超過死亡を(前年度比で)認めた。極
端な計算として、
(実際にはこの通りでないが)それら超過死亡全てが𝑓1,𝑢𝑛𝑜𝑏𝑠 に寄与すると
未観察な COVID-19 による死亡だとすると、観察・未観察の両方を含む死亡者数は 41707
人であり、60 歳以上の致死率は 3.14%となる。
他方、より現実的な検討をしてみよう。ここでは消化器疾患の超過が 5.17%であったが、
消化器疾患による死亡には COVID-19 の直接的影響による死亡をほとんど含まないと仮定
すると、前年度比の死亡リスク超過 5.17%は関連死であると想定することが可能である。
そのとき、循環器疾患や老衰においても 5.17%は関連死であり、残りの超過リスクだけが
COVID-19 に直接的に起因するとすると、60 歳以上の循環器疾患による死亡のうち 2214
人が COVID-19 由来で、10801 人は関連死と考えられ、また、老衰を含む異常所見・その
他による死亡のうち 9844 人が COVID-19 由来で、5199 人が関連死であると考えられる。
そのとき、観察・未観察の両方を含む COVID-19 の直接的な死亡者数は 25708 人であり、
60 歳以上の致死率は 1.94%となる。このとき、もちろん致死率は「全てが直接的な COVID19 の死亡」と想定したときよりも低くなるが、一方で関連死が循環器疾患と老衰を含むそ
の他の 2 分類だけで 15999 人も存在することとなり、その状況を生み出すに至った保健医
療体制や高齢者介護の管理体制に関するメカニズムを深堀りすることが必要となる。
本稿では定量的リスクの感覚をつかむため、敢えて極端な仮定を置いて上記の計算を実
施した。そのため、得られた致死率については定量的な妥当性が不十分であり、その数値を
利用した比較検討や解釈を行うことは控える。そのような論点ではなく、観察情報に頼った
推定をすると、著しく誤った結論を導くリスクを一定程度包含していることに留意するこ
とが必須であることに気付いていただきたいのである。少なくとも、本稿で述べるのは、実
際の観察・未観察の両方を加味した致死率がどの程度であるのかを明示することは困難で
あるが、未観察情報としての循環器系疾患(心疾患や脳血管疾患)や老衰の影響を極端な仮
定の下で定量化することは可能であるということである。
5. 致死率の推定のための観察情報に関する考察
上記の問題は、臨床現場から収集される死因別の統計を集積する上での因果推論の問題
に端を発する。通常、死亡届では医師の診断によって死因が記載される。しかし、上記 3 の
(i)-(iv)で論じたような問題を包含する場合には、個別の医師による因果の判断に頼らない
仕組みを作り出すことが求められる。例えば以下のような解決手段を考案すると役に立つ
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