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資料3-1 押谷先生提出資料 (51 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第74回 3/2)《厚生労働省》 |
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オミクロン株による新型コロナウイルス感染症と
季節性インフルエンザの比較に関する見解
2022 年 3 月 2 日
阿南英明、今村顕史、岡部信彦、押谷 仁、尾身 茂
河岡義裕、川名明彦、齋藤智也、鈴木 基、瀬戸泰之
西浦 博、武藤香織、吉田正樹、脇田隆字
1. オミクロン株による新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの現時点での
共通する特徴
(1) 呼吸器疾患であり、肺炎の原因がウイルス性のものが主体か二次性の細菌性のもの
が主体かという違いはあるものの、いずれも肺炎を生じさせうる。
(2) 高齢者や基礎疾患を持つ者では重症化することがある。感染をきっかけに基礎疾患
が悪化したり、合併症を併発したりして、全身状態の悪化に至ることがある。
(3) 大多数の小児や青壮年では、比較的予後が良い。
(4) 短期間に多くの感染者が発生し、軽症者・無症候感染者が多いためにすべての感染者を
探知することはできない。
2. オミクロン株による新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの現時点での
主な相違点
(1) 季節性インフルエンザウイルスの変異は、主に抗原性の変化を伴うが、通常は流行
を起こしたウイルスの中から次の流行株が現れる。一方、新型コロナウイルスのオ
ミクロン株はデルタ株等から派生したものではなく、抗原性だけでなく病原性を含
む特徴が従来の流行株から大きく変化していた。オミクロン株にさらに変異が起こ
ることも考えられ、まったく別の特徴をもった変異株が発生する可能性もある。
(2) 新型コロナウイルスのオミクロン株は、従来株や他の変異株から抗原性が大きく変
化しているため、自然感染やワクチンの免疫による感染・発症予防効果は限定的で
ある。これに対し、季節性インフルエンザウイルスに対しては、人口の多くが流行
株に対して一定の免疫を持っている。
(3) オミクロン株による感染を含む新型コロナウイルス感染症では、流行初期に若年層
(10 代後半から 30 代)の感染者の割合が高く、流行を牽引しているのはこの年齢層
だと考えられる。一方、季節性インフルエンザでは流行初期の感染者に小児の割合
が非常に高く、保育園・幼稚園・小学校・中学校などが起点となって感染が地域に
拡大する。
(4) 肺炎には、細菌感染が主体となって起こる細菌性肺炎と、ウイルス感染が主体とな
って起こるウイルス性肺炎がある。季節性インフルエンザに罹患した高齢者におけ
る肺炎には、抗菌薬での治療が可能な細菌性肺炎が多く含まれる。一方、その頻度
は従来株に比べて低いものの、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症でも
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季節性インフルエンザの比較に関する見解
2022 年 3 月 2 日
阿南英明、今村顕史、岡部信彦、押谷 仁、尾身 茂
河岡義裕、川名明彦、齋藤智也、鈴木 基、瀬戸泰之
西浦 博、武藤香織、吉田正樹、脇田隆字
1. オミクロン株による新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの現時点での
共通する特徴
(1) 呼吸器疾患であり、肺炎の原因がウイルス性のものが主体か二次性の細菌性のもの
が主体かという違いはあるものの、いずれも肺炎を生じさせうる。
(2) 高齢者や基礎疾患を持つ者では重症化することがある。感染をきっかけに基礎疾患
が悪化したり、合併症を併発したりして、全身状態の悪化に至ることがある。
(3) 大多数の小児や青壮年では、比較的予後が良い。
(4) 短期間に多くの感染者が発生し、軽症者・無症候感染者が多いためにすべての感染者を
探知することはできない。
2. オミクロン株による新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの現時点での
主な相違点
(1) 季節性インフルエンザウイルスの変異は、主に抗原性の変化を伴うが、通常は流行
を起こしたウイルスの中から次の流行株が現れる。一方、新型コロナウイルスのオ
ミクロン株はデルタ株等から派生したものではなく、抗原性だけでなく病原性を含
む特徴が従来の流行株から大きく変化していた。オミクロン株にさらに変異が起こ
ることも考えられ、まったく別の特徴をもった変異株が発生する可能性もある。
(2) 新型コロナウイルスのオミクロン株は、従来株や他の変異株から抗原性が大きく変
化しているため、自然感染やワクチンの免疫による感染・発症予防効果は限定的で
ある。これに対し、季節性インフルエンザウイルスに対しては、人口の多くが流行
株に対して一定の免疫を持っている。
(3) オミクロン株による感染を含む新型コロナウイルス感染症では、流行初期に若年層
(10 代後半から 30 代)の感染者の割合が高く、流行を牽引しているのはこの年齢層
だと考えられる。一方、季節性インフルエンザでは流行初期の感染者に小児の割合
が非常に高く、保育園・幼稚園・小学校・中学校などが起点となって感染が地域に
拡大する。
(4) 肺炎には、細菌感染が主体となって起こる細菌性肺炎と、ウイルス感染が主体とな
って起こるウイルス性肺炎がある。季節性インフルエンザに罹患した高齢者におけ
る肺炎には、抗菌薬での治療が可能な細菌性肺炎が多く含まれる。一方、その頻度
は従来株に比べて低いものの、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症でも
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