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資料3-1 押谷先生提出資料 (52 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第74回 3/2)《厚生労働省》 |
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年齢を問わずウイルス性肺炎を生じることがある。ウイルス性肺炎に対しては早期
の治療介入が必要なため、オミクロン株による感染者の急増により、検査・診断が
遅れる場合に早期の治療が困難なことがある。したがって、新型コロナウイルス感
染症の流行が拡大すれば、中等症以上の患者が増加しやすくなり医療の逼迫が生じ
やすい。季節性インフルエンザで見られる急性脳症や異常行動などは、新型コロナ
ウイルス感染症ではこれまでにはないか、あるいは稀である。かわって小児では
MIS-C(小児 COVID-19 関連多系統炎症性症候群)が生ずる可能性がある。
(5) また、新型コロナウイルス感染症では、多くの者で症状が改善、または罹患前の健
康状態に戻る一方で、一部の症状が遷延、またはいったん回復後に新たに症状(罹
患後症状)が出現する者が一定程度いることが報告されている。オミクロン株での
罹患後症状の特徴は現時点ではよくわからないものの、これまでの報告では、軽症
者でも罹患後症状が発生する場合もあることがわかっている。また、季節性インフ
ルエンザでも軽度から重篤な合併症を併発することがあり、まれに遷延化すること
がある。
(6) オミクロン株を含む新型コロナウイルス感染症に対しては、高リスク患者に対し重症
化防止効果が確認された治療薬がすでに使用可能となっているが、重症化リスクのな
い多くの軽症及び無症状の罹患者に投与できる抗ウイルス薬はない。季節性インフル
エンザに対しては、軽症者を含めた罹患者の罹病期間の短縮効果や発症前の予防効果
を有する治療薬はすでに使用可能となっているが、重症化防止効果が臨床試験で十分
に確認された抗ウイルス薬はない。
3. 致命率計算の課題
流行が起きている状況下で、致命率を正確に評価することは困難である。また、そも
そも正確に致命率を計算し、異なる感染症の間での比較を行うことも難しい。その理由
は以下の通りである。
(1) 本来、重症度を正確に比較するためには、軽症者・無症候感染者を含むすべての感
染者を分母とし、すべての死亡者数を分子とした感染致命率(Infection fatality ratio,
IFR)で比較すべきである。しかし、新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエ
ンザでは、上述の理由により全ての感染者数を探知することは不可能なので、短期
的あるいはリアルタイムの疫学的評価においては、報告された罹患者数もしくは報
告された感染者数から推定した罹患者数を分母に用いる症例致命率(Case fatality
ratio, CFR)が使われることが多い。
(2) さらに、以下の理由から CFR には過大評価または過小評価が起こり得る。
① 死亡者数は感染者数に遅れて増加するため、単純な割り算(ある時刻での累積死
亡者数を累積感染者数で除すること)をすると CFR は過小評価になる可能性が
ある。
② 報告された感染者数を分母とする場合、医療逼迫や検査数の減少等の影響によ
り分母が減少すると、本来の死亡リスクとしては過大評価される。
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の治療介入が必要なため、オミクロン株による感染者の急増により、検査・診断が
遅れる場合に早期の治療が困難なことがある。したがって、新型コロナウイルス感
染症の流行が拡大すれば、中等症以上の患者が増加しやすくなり医療の逼迫が生じ
やすい。季節性インフルエンザで見られる急性脳症や異常行動などは、新型コロナ
ウイルス感染症ではこれまでにはないか、あるいは稀である。かわって小児では
MIS-C(小児 COVID-19 関連多系統炎症性症候群)が生ずる可能性がある。
(5) また、新型コロナウイルス感染症では、多くの者で症状が改善、または罹患前の健
康状態に戻る一方で、一部の症状が遷延、またはいったん回復後に新たに症状(罹
患後症状)が出現する者が一定程度いることが報告されている。オミクロン株での
罹患後症状の特徴は現時点ではよくわからないものの、これまでの報告では、軽症
者でも罹患後症状が発生する場合もあることがわかっている。また、季節性インフ
ルエンザでも軽度から重篤な合併症を併発することがあり、まれに遷延化すること
がある。
(6) オミクロン株を含む新型コロナウイルス感染症に対しては、高リスク患者に対し重症
化防止効果が確認された治療薬がすでに使用可能となっているが、重症化リスクのな
い多くの軽症及び無症状の罹患者に投与できる抗ウイルス薬はない。季節性インフル
エンザに対しては、軽症者を含めた罹患者の罹病期間の短縮効果や発症前の予防効果
を有する治療薬はすでに使用可能となっているが、重症化防止効果が臨床試験で十分
に確認された抗ウイルス薬はない。
3. 致命率計算の課題
流行が起きている状況下で、致命率を正確に評価することは困難である。また、そも
そも正確に致命率を計算し、異なる感染症の間での比較を行うことも難しい。その理由
は以下の通りである。
(1) 本来、重症度を正確に比較するためには、軽症者・無症候感染者を含むすべての感
染者を分母とし、すべての死亡者数を分子とした感染致命率(Infection fatality ratio,
IFR)で比較すべきである。しかし、新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエ
ンザでは、上述の理由により全ての感染者数を探知することは不可能なので、短期
的あるいはリアルタイムの疫学的評価においては、報告された罹患者数もしくは報
告された感染者数から推定した罹患者数を分母に用いる症例致命率(Case fatality
ratio, CFR)が使われることが多い。
(2) さらに、以下の理由から CFR には過大評価または過小評価が起こり得る。
① 死亡者数は感染者数に遅れて増加するため、単純な割り算(ある時刻での累積死
亡者数を累積感染者数で除すること)をすると CFR は過小評価になる可能性が
ある。
② 報告された感染者数を分母とする場合、医療逼迫や検査数の減少等の影響によ
り分母が減少すると、本来の死亡リスクとしては過大評価される。
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