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資料3-1 押谷先生提出資料 (53 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第74回 3/2)《厚生労働省》
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③ 分子とする死亡者数は、死亡者をどう定義・報告するかにより過小評価にも過大
評価にもなり得る。また、死亡の診断バイアスが問題になり得る。
④ 年代別にみると CFR は高齢になるほど高くなる。また、流行の主体の年齢構成
により、分母となる感染者の年齢構成も変化する。したがって、全年齢層を対象
として計算した CFR は感染者の年齢構成によって大きく変化し得る。
⑤ 流行株の重症度、ワクチンの有効性、接種率、治療薬の効果等の複合的な要因に
よって CFR は変化するため、どの時点(シーズン、波)の値をとるかで過大評価
にも過小評価にもなりうる。オミクロン株感染による重症度が低下しているの
も、オミクロン株そのものの重症度が低下しているだけはなく、多くの人が一定
の免疫を獲得していることが関与している可能性がある。
(3) 季節性インフルエンザでは、定点医療機関からの報告数に基づいて全国の総受診者
数を推定して分母とする一方で、新型コロナウイルス感染症では無症候感染者を含
む全数報告の値を分母としている。
(4) 季節性インフルエンザでは、人口動態統計を用いてインフルエンザを原死因とする
死亡者数もしくは超過死亡を分子とすることが多い。これに対して、新型コロナウ
イルス感染症では、診断された後に死亡した人は死因に関わらず報告することが求
められており、リアルタイムに致命率を評価する場合はこの数字が分子に用いられ
る。季節性インフルエンザと同様に超過死亡を分子とすることもあるが、その評価
にはタイムラグが生じる。
(5) 季節性インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症のいずれについても、レセプト
情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて全国の医療機関を受診した患
者数を集計できる。ただし、患者は検査結果ではなく傷病名と処方薬に基づいて特
定されることから、これを分母として用いると CFR は過小評価にも過大評価にもな
りうる。
なお、国際的にみても季節性インフルエンザにおける肺炎の発症率を示したデータは極
めて限られており、新型コロナウイルス感染症の肺炎の発症率も正確に評価することは現
時点では困難である。
4. 暫定的なデータ
上記のようにオミクロン株による新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの
比較は困難であるが、これまでに報告されているデータから以下のように分析した。
(1) 現時点での推定症例致命率
 季節性インフルエンザについては、2013 年から 2017 年の人口動態統計における
狭義のインフルエンザ死亡数を分子とし、定点医療機関から報告されたインフル
エンザ患者数に基づく推計患者数を分母とすると1、症例致命率(CFR)は 0.006%
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第 73 回(2022 年 2 月 24 日)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料 3-2②

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