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資料3-1 押谷先生提出資料 (54 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第74回 3/2)《厚生労働省》 |
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- 0.018%と推計された。また、2018/19 シーズンのインフルエンザ関連超過死亡数
を分子とし、推計患者数を分母とすると2、症例致命率は 0.010%-0.052%と推計さ
れた。また、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、
2017 年 9 月から 2020 年 8 月の 3 年間に季節性インフルエンザで医療機関を受診
した患者数を分母とし、受診後 28 日以内に死亡した数を分子とすると、症例致
命率は 0.09%と推計された3。
オミクロン株による新型コロナウイルス感染症については、全国での 2022 年 1
月 1 日からの累積死亡者数と累積陽性者に対する死亡者の比率では、厚労省公表
データから 2 月 21 日現在、約 0.13%程度となる。この方法で計算した致命率
は、この段階で上記のように推定された季節性インフルエンザの致命率を上回っ
ており、さらに上昇傾向にある。
新型コロナウイルス感染症については、2020 年 1 月から 2021 年 10 月までの累
積超過死亡数を分子とし、同期間の累積陽性者数を分母とすると、症例致命率は
4.25%であった。一方、流行当初からの累積死亡報告数を分子、累積陽性者数を
分母とし、報告から死亡までの遅れを補正して計算すると、症例致命率は 2020
年 6 月には 5%を超えていたが、その後は低下傾向となり、2021 年後半以降は 1%
を切るようになった(図 1)。これは新型コロナワクチンの接種拡大により、特
に高齢者の感染、死亡が減少したことが要因と考えられる。また、2022 年 1 月
以降の症例致命率の低下は、オミクロン株の致命率がそれまでのデルタ株に比べ
て低下していることを反映している可能性がある。観察された CFR の減少傾向
は、予防接種が充分に行き渡るまでに流行の抑制策を取ることの重要性を示唆す
る。
(2) 現時点での肺炎の発症頻度
国立感染研と国立国際医療研究センターによれば、オミクロン株に感染した初期
の 139 例の分析において、胸部レントゲン検査あるいは胸部 CT 検査で 5.6%の症例
に肺炎像をみとめた4。一方で、季節性インフルエンザでの肺炎の発症頻度は成人
では 1.1-2.3%との報告5や、2.1-2.5%との報告6がある。しかし、季節性インフルエン
ザについては、比較対象とすべき過去のデータが限定的で、今後とも比較が困難と
考えられた。
2
第 73 回(2022 年 2 月 24 日)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料 3-2②
3
第 74 回(2022 年 3 月 2 日)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料 3-10
SARS-CoV-2 B.1.1.529 系統(オミクロン株)感染による新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査(第 5 報)
.2022 年
2 月 18 日.
5 Belongia EA, Irving SA, Waring SC, et al. Clinical Characteristics and 30-Day Outcomes for Influenza A 2009 (H1N1), 2008-2009
(H1N1), and 2007-2008 (H3N2) Infections. JAMA. 2010;304(10):1091–1098.
6 Irving SA, Patel DC, Kieke BA, et al. Comparison of clinical features and outcomes of medically attended influenza A and influenza B
in a defined population over four seasons: 2004–2005 through 2007–2008. Influenza and Other Respiratory Viruses. 2012; 6(1): 3743.
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を分子とし、推計患者数を分母とすると2、症例致命率は 0.010%-0.052%と推計さ
れた。また、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、
2017 年 9 月から 2020 年 8 月の 3 年間に季節性インフルエンザで医療機関を受診
した患者数を分母とし、受診後 28 日以内に死亡した数を分子とすると、症例致
命率は 0.09%と推計された3。
オミクロン株による新型コロナウイルス感染症については、全国での 2022 年 1
月 1 日からの累積死亡者数と累積陽性者に対する死亡者の比率では、厚労省公表
データから 2 月 21 日現在、約 0.13%程度となる。この方法で計算した致命率
は、この段階で上記のように推定された季節性インフルエンザの致命率を上回っ
ており、さらに上昇傾向にある。
新型コロナウイルス感染症については、2020 年 1 月から 2021 年 10 月までの累
積超過死亡数を分子とし、同期間の累積陽性者数を分母とすると、症例致命率は
4.25%であった。一方、流行当初からの累積死亡報告数を分子、累積陽性者数を
分母とし、報告から死亡までの遅れを補正して計算すると、症例致命率は 2020
年 6 月には 5%を超えていたが、その後は低下傾向となり、2021 年後半以降は 1%
を切るようになった(図 1)。これは新型コロナワクチンの接種拡大により、特
に高齢者の感染、死亡が減少したことが要因と考えられる。また、2022 年 1 月
以降の症例致命率の低下は、オミクロン株の致命率がそれまでのデルタ株に比べ
て低下していることを反映している可能性がある。観察された CFR の減少傾向
は、予防接種が充分に行き渡るまでに流行の抑制策を取ることの重要性を示唆す
る。
(2) 現時点での肺炎の発症頻度
国立感染研と国立国際医療研究センターによれば、オミクロン株に感染した初期
の 139 例の分析において、胸部レントゲン検査あるいは胸部 CT 検査で 5.6%の症例
に肺炎像をみとめた4。一方で、季節性インフルエンザでの肺炎の発症頻度は成人
では 1.1-2.3%との報告5や、2.1-2.5%との報告6がある。しかし、季節性インフルエン
ザについては、比較対象とすべき過去のデータが限定的で、今後とも比較が困難と
考えられた。
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第 73 回(2022 年 2 月 24 日)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料 3-2②
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第 74 回(2022 年 3 月 2 日)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料 3-10
SARS-CoV-2 B.1.1.529 系統(オミクロン株)感染による新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査(第 5 報)
.2022 年
2 月 18 日.
5 Belongia EA, Irving SA, Waring SC, et al. Clinical Characteristics and 30-Day Outcomes for Influenza A 2009 (H1N1), 2008-2009
(H1N1), and 2007-2008 (H3N2) Infections. JAMA. 2010;304(10):1091–1098.
6 Irving SA, Patel DC, Kieke BA, et al. Comparison of clinical features and outcomes of medically attended influenza A and influenza B
in a defined population over four seasons: 2004–2005 through 2007–2008. Influenza and Other Respiratory Viruses. 2012; 6(1): 3743.
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