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2017年11月22日(水)

注目の記事 [改定速報] 新薬創出等加算に開発実績に応じたポイント制導入 改革骨子案

中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第140回 11/22)《厚生労働省》
発信元:厚生労働省 保険局 医療課   カテゴリ: 30年度同時改定 医薬品・医療機器 医療制度改革
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今回のポイント

●厚生労働省は11月22日の中央社会保険医療協議会・薬価専門部会に、薬価制度抜本改革の骨子案を提示
○新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出等加算)」には、企業の革新的新薬開発の取り組み実績などをポイント制で評価して加算率を調整する仕組みを導入。いわゆるZ2制度適用後の長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)について、後発品への置き換え率でグループ分けし、6~10年かけて段階的に後発品の水準まで薬価を引き下げていくことなどを提案
○年4回行の市場拡大再算定は、▽効能追加があった医薬品▽薬価収載時に2年目の販売予測額が100億円(原価計算方式)または150億円(類似薬効比較方式)とされたもの-に該当する品目の2年間の市場規模をNDBで把握し、このうち年間販売額が350億円を超える品目を対象に選定することを提案

 厚生労働省は11月22日の中央社会保険医療協議会・薬価専門部会に、薬価制度抜本改革の骨子案を示した。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出等加算)」に、企業の革新的新薬開発の取り組み実績などをポイント制で評価して加算率を調整する仕組みを導入することや、いわゆるZ2制度適用後の長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)について、後発品への置換え率でグループ分けし、6~10年かけて段階的に後発品の水準まで薬価を引き下げていくことなどを提案した。次回の部会は業界団体から骨子案に対する意見を聴取する予定。
 
 新薬創出等加算では、「乖離率(薬価と市場実勢価格の差)が全医薬品の平均以下」とされている現在の品目要件を撤廃。真に革新性・有用性の高い医薬品が評価されるように、対象を後発品が上市されていない新薬で、▽希少疾病用医薬品▽開発公募品▽加算適用品▽新規作用機序医薬品-のいずれかに該当する品目に限定する案を示した。新規作用機序医薬品に該当する場合はさらに、▽既存治療で効果不十分な疾患に有効性がある▽既存治療との比較試験で優越性が確認された▽同一効能・効果の医薬品がほかに存在しない-のいずれかを満たしていることを求める考え(参照)
 企業に対しては引き続き、厚労省からの開発要請に対応していることを要件として求めることに加え、「革新的新薬創出」、「ドラッグ・ラグ対策」、「世界に先駆けた新薬開発」の取り組み実績に応じてポイントを付与する仕組みの導入を提案。獲得ポイントの順位に応じて企業を▽上位5%未満(区分I)▽区分I、III以外(区分II)▽最低点数(区分III)の3つに分類し、薬価改定時に引き下げ猶予分として実勢価格に上乗せする加算に乗じる「加算係数」に差をつける(I:1.0、II:0.9、III:0.8)(参照)
 
 
◆Z2適用後の長期収載品、置換え率80%以上は6年後に市場撤退
 
 長期収載品では、後発品上市から5年経過しても後発品への置換えが進まない品目に適用される「Z2制度」の置換え基準と引き下げ幅の組み合わせを(1)80%未満60%以上▲1.5%、(2)60%未満40%以上▲1.75%、(3)40%未満▲2.0%-に厳格化(参照)。 
 さらにZ2適用後の長期収載品を後発品置換え率80%以上(G1)と80%未満(G2)の2グループに分け、段階的に薬価引き下げを進めていく方針を示した。どちらもグループ化当初の後発品との価格差は2.5倍とし、G1についてはその後の価格差を2年目2倍、4年目1.5倍に縮小し、6年目には後発品と同価格まで引き下げる。後発品と同価格になることで、先発企業は医薬品の情報提供に要するコストの回収が困難になることから、G1品目に関しては、企業自らの判断での市場からの撤退を認める。G2は何らかの理由で後発品への置換えが困難な品目が該当することから、G1よりも長い10年をかけて薬価引き下げを進めるほか、情報提供のコストを考慮し、後発品との価格差を残す(10年目の価格差1.5倍)。Z2適用終了時点ですでに後発品との価格差が2.5倍以下の品目(C)は、Z2の基準を準用して置換え率に応じた補完的引き下げを行う(参照)
 
 
◆年4回の市場拡大再算定は年間販売額350億円超が基準に
 
 通常の薬価調査・薬価改定の間の中間年は、卸業者を対象にした抽出調査を行い(全品目対象)、その結果に基づいて薬価改定をすることを提案した。購入サイドの医療機関側の調査は行わない。ただし、2019年度は消費税引き上げに伴う臨時改定、2020年度は通常の薬価改定が予定されており、最初の中間年の薬価改定は2021年度となる見通し。そのため、対象品目の範囲は、2018年度から3年連続となる薬価改定で明らかになる市場実勢価格の推移や薬価差の状況などを踏まえて検討し、2020年度中に設定するとした(参照)(参照)
 
 新薬の薬価収載時に合わせて年4回行う市場拡大再算定は、▽効能追加があった医薬品▽薬価収載時に2年目の販売予想額が100億円(原価計算方式で薬価設定)または150億円(類似薬効比較方式で薬価設定)とされたもの-に該当する品目の2年間の市場規模をNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)で把握し、このうち年間販売額が350億円を超える品目を再算定対象に選定することを提案した。例えば12月診療分のデータを使う場合は、翌年の3月中旬までにデータを抽出して対象品目を特定。その後、薬価算定組織(4月)、中医協(5月)での審議を経て薬価が決定し、2カ月の準備期間を経て、8月に再算定が実施されるスケジュールとなる(参照)
 
 原案の提示を受けて支払側委員は、長期収載品の薬価を後発品の水準まで引き下げる期間の短縮化を主張。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「後発品の上市からZ2適用までの5年の期間が長すぎる。次の薬価改定までの2年間の乖離率を見て、2年でZ2に入ることがあってもいいのではないか」と提案した。上出厚志専門委員(アステラス製薬執行役員医療政策部長)は、新薬創出等加算の見直し案について、「品目要件に合致した医薬品があっても(企業要件の獲得ポイントが上位5%未満に入らない)95%の企業は加算の対象にはならないと理解した。こうした仕組みが企業の開発意欲を損なうことにならないような措置をお願いしたい」と要望した。

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