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【参考資料3】免疫アレルギー疾患研究10か年戦略 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34044.html |
出典情報 | アレルギー疾患対策推進協議会(第17回 7/12)《厚生労働省》 |
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されているものの、成人発症アレルギーを包括的に解析した検討は、国内外を問わず少ないため、今
後取り組む必要がある。
こうした状況において、戦略1で示されたような患者の層別化を行い、その上で、モデル生物を用い
た解析、加齢変化や免疫学的老化のメカニズム解明により、我が国独自の研究を推進する必要があ
る。また、研究成果に基づき得られた予防法や診断法および治療法を層別化された集団に展開し、
検証することが必要である。
(3) 重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患研究
免疫アレルギー疾患には、発症前や発症初期において科学的知見に基づく適切な予防や医療を
受けることで、発症及び重症化を防ぐことが可能であるが、適切な医療や情報を得ることができないこ
と等により、難治性・治療抵抗性に至る例が少なからず存在する。標準的医療の普及や教育資材での
啓発を通じて、発症予防・重症化予防を進めていく必要がある。例えば、重症化予防という点では、気
管支喘息において、気道のリモデリングと呼ばれる非可逆的な構造変化によって、将来の呼吸機能に
影響を及ぼすことも指摘されており、今後の重要な課題となっている。
また、食物や蜂、薬剤等に対するアナフィラキシーにおいては、急速かつ重篤な症状をきたし、死
に至ることも稀ではない。また、アナフィラキシー以外にも重篤な症状を呈するアレルギーは社会問題
となっており、薬剤性過敏症症候群や中毒性表皮壊死症等の一部の薬剤アレルギーは、高い致死率
を有する疾患として知られている。
さらに、難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患は、小児期発症のアナフィラキシーを繰り返す
ような重症食物アレルギーや抗炎症療法を常時必要とする重症アトピー性皮膚炎や、成人期発症の
アスピリン喘息、アレルギー性気管支肺真菌症等、日常生活に支障を来す疾患も少なくない。難治性
及び治療抵抗性の疾患に対しては、アレルゲン免疫療法や抗体医薬が開発され、治療成績の改善
は期待できるものの、前者は有効性や安全性の面で、後者はコストや治療中止後の再燃等の面でさ
らなる検討が必要である。
こうした状況に対して、長期的な重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患における病態解
析及びその病態が各ライフステージに与える影響等は、これまでに評価されていない。また、予防可
能な併発病変の解明等を評価していくことも必要である。さらに病態解明のためにも、死亡例や再燃
を繰り返す重症例等、対象を明確にしたデータ収集を開始し,データベース登録,継続観察を行うと
ともに、免疫学的基礎研究の推進が必要である。致死的な経過をたどる一部の重症免疫アレルギー
疾患に対しては、救急科、麻酔科等関連する診療科との連携や、発症機序に関する解析等も行い、
「防ぎ得る死」をゼロにするための方針とその具体化が必要である。
また、現在開発が進められる抗体医薬については、効果や副作用等を詳細に検討し、事前の効果
予測方法の確立や重症例に複数の抗体医薬を併用するランダム化比較試験等を既存基盤や企業連
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後取り組む必要がある。
こうした状況において、戦略1で示されたような患者の層別化を行い、その上で、モデル生物を用い
た解析、加齢変化や免疫学的老化のメカニズム解明により、我が国独自の研究を推進する必要があ
る。また、研究成果に基づき得られた予防法や診断法および治療法を層別化された集団に展開し、
検証することが必要である。
(3) 重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患研究
免疫アレルギー疾患には、発症前や発症初期において科学的知見に基づく適切な予防や医療を
受けることで、発症及び重症化を防ぐことが可能であるが、適切な医療や情報を得ることができないこ
と等により、難治性・治療抵抗性に至る例が少なからず存在する。標準的医療の普及や教育資材での
啓発を通じて、発症予防・重症化予防を進めていく必要がある。例えば、重症化予防という点では、気
管支喘息において、気道のリモデリングと呼ばれる非可逆的な構造変化によって、将来の呼吸機能に
影響を及ぼすことも指摘されており、今後の重要な課題となっている。
また、食物や蜂、薬剤等に対するアナフィラキシーにおいては、急速かつ重篤な症状をきたし、死
に至ることも稀ではない。また、アナフィラキシー以外にも重篤な症状を呈するアレルギーは社会問題
となっており、薬剤性過敏症症候群や中毒性表皮壊死症等の一部の薬剤アレルギーは、高い致死率
を有する疾患として知られている。
さらに、難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患は、小児期発症のアナフィラキシーを繰り返す
ような重症食物アレルギーや抗炎症療法を常時必要とする重症アトピー性皮膚炎や、成人期発症の
アスピリン喘息、アレルギー性気管支肺真菌症等、日常生活に支障を来す疾患も少なくない。難治性
及び治療抵抗性の疾患に対しては、アレルゲン免疫療法や抗体医薬が開発され、治療成績の改善
は期待できるものの、前者は有効性や安全性の面で、後者はコストや治療中止後の再燃等の面でさ
らなる検討が必要である。
こうした状況に対して、長期的な重症・難治性・治療抵抗性の免疫アレルギー疾患における病態解
析及びその病態が各ライフステージに与える影響等は、これまでに評価されていない。また、予防可
能な併発病変の解明等を評価していくことも必要である。さらに病態解明のためにも、死亡例や再燃
を繰り返す重症例等、対象を明確にしたデータ収集を開始し,データベース登録,継続観察を行うと
ともに、免疫学的基礎研究の推進が必要である。致死的な経過をたどる一部の重症免疫アレルギー
疾患に対しては、救急科、麻酔科等関連する診療科との連携や、発症機序に関する解析等も行い、
「防ぎ得る死」をゼロにするための方針とその具体化が必要である。
また、現在開発が進められる抗体医薬については、効果や副作用等を詳細に検討し、事前の効果
予測方法の確立や重症例に複数の抗体医薬を併用するランダム化比較試験等を既存基盤や企業連
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