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参考資料3 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第二次、第三次)の補遺(令和5年6月8日 総合科学技術・イノベーション会議) (17 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2023/20230111-mext_00001.html
出典情報 特定胚等研究専門委員会(第122回 8/7)《文部科学省 》
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化して、発症を予防できる可能性があるため、ヒト受精胚を適切な手続のもとで研究に用い
た治療法開発に期待したい。
・病態解明がある程度なされている疾患については、治療法開発を目的とした基礎的研究も許
容されても良いのではないか。
・日本学術会議提言(平成 29 年 9 月)に基づき、ヒト生殖細胞・受精胚へのゲノム編集技術
の使用について、直截に人の子宮に遺伝子改変した胚を移植するようなことを目指す基礎研
究というのは控えるべきであるが、そういうことを目指さないこのような科学的な研究につ
いては、公開の場での研究目的の正当性というのを慎重に確かめた上で容認することはでき
るのではないか。
・特定疾患の病因・病態に関する有意義な知見が得られる合理的見通しがあり、大きな社会的
懸念を招かぬよう余剰胚の滅失数を可能な限り少なくする諸条件が課されるのであれば、例
外として許容しうる。
(臨床応用を念頭に置いた慎重意見・社会的受容・国際状況)
・Gradualism(漸進主義)と考えられる日本では、ヒト胚研究は基本的には許容できると思う
が、その妥当な社会的コンセンサスというのは、しっかりとる必要がある。また、その研究
の審議は公開で厳格に審査する必要がある。
・科学は技術革新を競うだけでよいのか、人類の幸福とは何かを常に考えていかなければなら
ないのではないか。患者団体の望みは「病の完全な克服」ではなく「安心して暮らせる社会」で
ある。国民への情報提供、科学者側の意識が重要。
・患者団体も一緒に作成した難病対策の「基本的な認識」注 7と「難病対策の基本理念」注 8が
あり、遺伝性・先天性疾患について検討する上で重要。
・一般市民を対象としたヒト受精胚へのゲノム編集に関するイベントにおいて、ゲノム編集技
術を用いた研究により遺伝性疾患の治療法開発につながる可能性に期待する意見があった。
一方で、受精胚を使用することや臨床利用を念頭に置いた場合に関して、難病当事者や生殖
補助医療関係者の中にも慎重な意見があった。
・ヒト受精胚へのゲノム編集技術の適用については、ゲノム編集技術が完全になればなるほど
行うべきではない。ゲノム編集による人為的な遺伝子操作は、生物の本質である多様性を失
わせ、予測不可能な影響をもたらす。疾患治療は、体細胞の遺伝子編集により行うべき。
・UNESCO(国際連合教育科学文化機関)の「ヒトゲノムと人の権利の宣言」には、ヒトゲノム
に関する研究については、集団の人権、基本的自由及び人間の尊厳に優越するものではない
とあり、そういう研究というのは成り立つという考え方と考えられる。第 12 条では、個人
や人類全体の苦痛を軽減し、健康を改善するような研究であれば認め得るというような書き
方があるが、生殖細胞系列について、この部分では明確な意思表示は明らかではない。
・オビエド条約(欧州生物医学条約)13 条では、ヒトのゲノムを改変するための介入や予防
はやってもよいが、その目的というのは子孫のゲノムの改変がもたらされないものであるこ
とに限られる。日本ではこの条約を批准していない。

注7

「基本的な認識」
(平成 23 年 12 月難病対策委員会中間的整理)
希少・難治性疾患は遺伝子レベルの変異が一因であるものが少なくなく、人類の多様性の
中で、一定の割合発生することが必然」であり、したがって「希少・難治性疾患の患者・家
族を我が国の社会が包含し、支援していくことがこれからの成熟した我が国の社会にとって
ふさわしい」ことを基本的な認識とした。
注8
「難病対策の基本理念」
(平成 24 年 8 月難病対策委員会中間報告)
難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難
病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すことを難病対策の基
本理念とする。

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