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07 参考資料 1-1 百日せきファクトシート[6.8MB] (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34803.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第20回 8/29)《厚生労働省》
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を長時間共有するような環境に侵入すると感染は容易に拡大し、家族内感染や院内感染
を引き起こす。感染は呼吸器系に限局すると考えられているが、血液中から百日咳菌が
分離された症例が海外で数例報告されている 33-35)。
百日咳は家族内感染を引き起こす疾患として知られ、小児が感染するとその母親なら
びに同胞は容易に感染する。家族内の感染率は約 5 割程度とされ、そのうち 14〜49%
が不顕性感染者と見積もられている 36,37)。ワクチン既接種の小児では、有症者の菌量を
1 とすると不顕性感染者の菌量は 0.14 とされ、菌量が症状の強さに影響する可能性が指
摘されている 38)。一方、健常成人における不顕性感染の割合は不明である。


鑑別を要する他の疾患

百日咳と同様の急性呼吸器感染症を引き起こす細菌性疾患として、クラミジア肺炎
(Chlamydophila pneumoniae)とマイコプラズマ肺炎(Mycoplasma pneumoniae)が挙げ
られる 39,40)。2013〜2014 年に厚生労働省研究班(研究代表者 松井珠乃、研究分担者 蒲
地一成)で実施された百日咳病原体調査(リアルタイム PCR 法を用いた遺伝子検査)
では、百日咳疑い患者 355 人のうち百日咳菌陽性者が 94 人(26.5%)
、パラ百日咳菌陽
性者が 4 人(1.1%)
、M. pneumoniae 陽性者が 2 人(0.6%)
、B. holmesii 陽性者が 0 人で
あった 25,41)。なお、パラ百日咳菌と M. pneumoniae の陽性者はすべて小児(1〜9 歳)で
あった。成人百日咳と診断された症例の中にマイコプラズマ肺炎などが紛れ込んでいる
可能性が指摘されるが、現在のところ他疾患の関与は不明である。
また百日咳と鑑別を要するウイルス性疾患としては、ヒトボカウイルス感染症やライ
ノウイルス感染症、ヒトメタニューモウイルス感染症などが挙げられる。


検査法

百日咳の検査診断には菌培養検査、血清学的検査、遺伝子検査がある(表2)。菌培
養検査は特異性に優れるが、感染時に気道に存在する菌量が相対的に多いとされる乳児
患者でも 60%以下と低く、ワクチン既接種者や成人患者からの菌分離はより困難であ
る。血清学的検査は世界的に抗百日咳毒素抗体(抗 PT IgG)が測定されるが、世界保
健機関 WHO では免疫系が十分に発達していない乳児およびワクチン接種後 1 年未満の
患者には適用できないとしている 22)。なお、乳児では母親からの移行抗体についても考
慮する必要があるとされている。また、2016 年 10 月には百日咳菌の IgA と IgM 抗体を
測定する百日咳抗体測定キットが体外診断薬として承認された。一方、遺伝子検査は最
も感度の高い検査法であり、世界的にリアルタイム PCR 法が採用されている 42,43)。日
本 で は 特 異 性 の 高 い 検 査 法 と し て 百 日 咳 菌 LAMP 法 ( loop-mediated isothermal
amplification)が開発され、リアルタイム PCR 法よりも簡便かつ迅速に診断することが
可能となっている 44,45)。本法を用いた百日咳菌核酸検出用のキットは早期診断に有用と
され 46)、2016 年 11 月から健康保険適用となった。2016 年に、日本小児呼吸器学会・日
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