よむ、つかう、まなぶ。
2022年度 病院の経営状況について (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.wam.go.jp/hp/keiei-report-r5/ |
出典情報 | 2022年度 病院の経営状況について(3/8)《福祉医療機構》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
2023-014
患者数が減少したものの、入院単価および外来 (図表 10)2 か年度同一病院比較
精神科病院
単価が上昇したことで、1 床当たり医業収益は の経営状況
精神科病院 (n=311)
上昇した。また、増収に対して、従事者 1 人当
指
たり人件費は微増、100 床当たり従事者数は横
ばいであったことから、人件費率は 1~2 ポイン
標
経常利益率
コロナ補助金収益率
補助金収益を除外した経常利益率
コロナ患者受入実施病院割合
赤字病院割合
補助金収益を除外した赤字病院割合
トほど低下した。1 床当たり医業費用も増加し
たが、増収幅のほうが大きかったことから、医
業利益率は上昇した。しかし、どの精神科病院
2021
2022
差
20222021
3.2
1.2
2.0
22.2
31.5
35.0
4.3
2.3
2.0
44.1
28.6
37.0
1.1
1.1
0.0
21.9
△ 2.9
1.9
%
%
%
%
%
%
も依然として 3 割前後が赤字と、厳しい経営状
おわりに
況であることに留意する必要がある。
認知症治療を算定する精神科病院では、従事
2022 年度は、コロナ禍であったことに加えて、
者 1 人当たり人件費の上昇と 100 床当たり従事
ウクライナ情勢や急激な円安の進行による物価
者数の減少が目立った。とくに、看護師等は 2.5
高騰に見舞われたことが、病院経営に大きな影
人減少しており、人件費率の低下につながった。
響をもたらした。2021 年度と比べても、一般病
また、1 床当たり医業収益が 122 千円上昇した
院および療養型病院で医業利益率・経常利益率
のに対して、1 床当たり医業費用は 77 千円の上
がともに低下し、赤字病院割合が拡大するなど、
昇にとどまった。費用の増加に対して、増収幅
経営状況の悪化がみられた。とくに、一般病院
のほうが大きかったことから、医業利益率は 0.6
はコロナによる影響を大きく受ける傾向にあり、
ポイント上昇した。なお、こちらのデータはサ
コロナ補助金収益を除外すると半数を超える病
ンプル数が少ないことに留意されたい。
院が赤字と、他の病院類型と比べて厳しい経営
また、先にみた図表 3 において、精神科病院
状況にあることがうかがえる。
の経常利益率は、一般病院・療養型病院とは異
2023 年度に入り、5 月 8 日からコロナが感染
なり、改善傾向がみられた。そこで、図表 3 で
症法上の 5 類に移行し、病床確保料および診療
用いた精神科病院のサンプルを対象として、コ
報酬の特例が見直された。また、同年 10 月から
ロナ補助金収益の影響を確認した(図表 10)
。
は病床確保料の対象病床および対象期間が限定
コロナ患者受入実施病院割合は、2021 年度が
的になる11など、収益面への影響が見込まれる。
22.2%であったのに対して、2022 年度は 44.1%
くわえて、世界情勢に伴う物価高騰の影響は現
と 4 割を超える病院がコロナ患者を受入れてい
在も続いており、費用面からも厳しい状況下に
た。また、2022 年度の経常利益率は 4.3%であ
あるといえる。
ったが、コロナ補助金収益を除外すると 2.0%ま
今後の病院経営に目を向けると、令和 6 年度
で低下した。赤字病院割合をみても、同様に補
改定の本体の改定率は+0.88%になることが決
助金収益を除外した場合、37.0%に拡大してい
定したほか、4 月からは医師の時間外労働の上
る。そもそものコロナ補助金収益は小さいもの
限規制が適応されるなど、病院経営に大きな変
の、コロナ患者の受入れが経営状況に影響を及
革をもたらすことが予測される。目まぐるしく
ぼしていたのは事実であろう。
変化していく経営環境に対して、制度や政策の
11 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の令和 5 年 10 月以降の医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」
(令和 5 年
9 月 15 日付事務連絡)https://www.mhlw.go.jp/content/001147051.pdf
Copyright ⓒ 2024Welfare And Medical Service Agency (WAM). All rights reserved.
10
患者数が減少したものの、入院単価および外来 (図表 10)2 か年度同一病院比較
精神科病院
単価が上昇したことで、1 床当たり医業収益は の経営状況
精神科病院 (n=311)
上昇した。また、増収に対して、従事者 1 人当
指
たり人件費は微増、100 床当たり従事者数は横
ばいであったことから、人件費率は 1~2 ポイン
標
経常利益率
コロナ補助金収益率
補助金収益を除外した経常利益率
コロナ患者受入実施病院割合
赤字病院割合
補助金収益を除外した赤字病院割合
トほど低下した。1 床当たり医業費用も増加し
たが、増収幅のほうが大きかったことから、医
業利益率は上昇した。しかし、どの精神科病院
2021
2022
差
20222021
3.2
1.2
2.0
22.2
31.5
35.0
4.3
2.3
2.0
44.1
28.6
37.0
1.1
1.1
0.0
21.9
△ 2.9
1.9
%
%
%
%
%
%
も依然として 3 割前後が赤字と、厳しい経営状
おわりに
況であることに留意する必要がある。
認知症治療を算定する精神科病院では、従事
2022 年度は、コロナ禍であったことに加えて、
者 1 人当たり人件費の上昇と 100 床当たり従事
ウクライナ情勢や急激な円安の進行による物価
者数の減少が目立った。とくに、看護師等は 2.5
高騰に見舞われたことが、病院経営に大きな影
人減少しており、人件費率の低下につながった。
響をもたらした。2021 年度と比べても、一般病
また、1 床当たり医業収益が 122 千円上昇した
院および療養型病院で医業利益率・経常利益率
のに対して、1 床当たり医業費用は 77 千円の上
がともに低下し、赤字病院割合が拡大するなど、
昇にとどまった。費用の増加に対して、増収幅
経営状況の悪化がみられた。とくに、一般病院
のほうが大きかったことから、医業利益率は 0.6
はコロナによる影響を大きく受ける傾向にあり、
ポイント上昇した。なお、こちらのデータはサ
コロナ補助金収益を除外すると半数を超える病
ンプル数が少ないことに留意されたい。
院が赤字と、他の病院類型と比べて厳しい経営
また、先にみた図表 3 において、精神科病院
状況にあることがうかがえる。
の経常利益率は、一般病院・療養型病院とは異
2023 年度に入り、5 月 8 日からコロナが感染
なり、改善傾向がみられた。そこで、図表 3 で
症法上の 5 類に移行し、病床確保料および診療
用いた精神科病院のサンプルを対象として、コ
報酬の特例が見直された。また、同年 10 月から
ロナ補助金収益の影響を確認した(図表 10)
。
は病床確保料の対象病床および対象期間が限定
コロナ患者受入実施病院割合は、2021 年度が
的になる11など、収益面への影響が見込まれる。
22.2%であったのに対して、2022 年度は 44.1%
くわえて、世界情勢に伴う物価高騰の影響は現
と 4 割を超える病院がコロナ患者を受入れてい
在も続いており、費用面からも厳しい状況下に
た。また、2022 年度の経常利益率は 4.3%であ
あるといえる。
ったが、コロナ補助金収益を除外すると 2.0%ま
今後の病院経営に目を向けると、令和 6 年度
で低下した。赤字病院割合をみても、同様に補
改定の本体の改定率は+0.88%になることが決
助金収益を除外した場合、37.0%に拡大してい
定したほか、4 月からは医師の時間外労働の上
る。そもそものコロナ補助金収益は小さいもの
限規制が適応されるなど、病院経営に大きな変
の、コロナ患者の受入れが経営状況に影響を及
革をもたらすことが予測される。目まぐるしく
ぼしていたのは事実であろう。
変化していく経営環境に対して、制度や政策の
11 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の令和 5 年 10 月以降の医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」
(令和 5 年
9 月 15 日付事務連絡)https://www.mhlw.go.jp/content/001147051.pdf
Copyright ⓒ 2024Welfare And Medical Service Agency (WAM). All rights reserved.
10