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重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧 令和5年12月 (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1k.html
出典情報 重篤副作用疾患別対応マニュアル 重症高血圧(2023年12月)《厚生労働省》
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は薬物(三環系抗うつ薬等)との相互作用により、エピネフリン作用が増強し
て、高血圧緊急症をきたしうる。三環系抗うつ薬は、交感神経末端でのカテコ
ラミン再取り込み抑制によって高血圧緊急症をきたすリスクがあるため、MAO
阻害薬と三環系抗うつ薬の併用は禁忌である。選択的セロトニン再取り込み
阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)やセロトニン・ノ
ルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin & norepinephrine reuptake
inhibitors:SNRI)などの、選択的阻害薬でも、高血圧緊急症をきたしうる。
(8)

抗 VEGF(vascular endothelial growth factor)薬

抗 VEGF 薬は悪性腫瘍に対して血管新生阻害を目的に使用される。ベバシズ
マブは VEGF、ラムシルマブは VEGF 受容体に対する抗体医薬であり、アフリベ
ルセプトは VEGF 標的融合蛋白である。VEGF 阻害による細小血管床減少や NO
産生低下によって、高血圧緊急症を発症しうる。減薬や休薬の考慮とともに、
必要時は降圧薬で治療する。
(9)

マルチキナーゼ阻害薬

がん治療のためにがん細胞の増殖に関与する複数のキナーゼを阻害する低
分子化合物が臨床導入されており、部分的に VEGF 受容体に関連するキナーゼ
阻害作用を有する薬剤においては高血圧が副作用として認められる。例えば、
ソラフェニブで 27.5%(うち 2 種類以上の薬物治療または以前よりも強い
治療を必要とする高血圧 Grade 3 以上は 12.2%),スニチニブで 49.4%(う
ち Grade 3 以上は 16.0%)、カボザンチニブでは 32.6%と報告されている。
(10) 経口血小板減少抑制薬/脾臓チロシンキナーゼ阻害薬
慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療薬として開発されたホスタマチニブは
脾臓チロシンキナーゼを阻害することにより、抗血小板自己抗体が結合した
血小板のマクロファージによる貪食・破壊を抑制する。しかし本剤は VEGFR2
阻害作用を有し血圧上昇を引き起こす。国内第Ⅲ相試験では、因果関係が否定
できない高血圧に関連する有害事象(高血圧、血圧上昇)の発現割合は 33.3%
(11/33 例)で Ca 拮抗薬等の降圧薬投与や、減量 18.2%(6/33 例)
、中止 3.0%
(1/33 例)が必要な症例が認められた。
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