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資料1-2 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会報告書(案) (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40330.html
出典情報 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会(5/22)《厚生労働省》
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おわりに


第1章で指摘したように、後発医薬品の使用数量は過去 15 年間で約 35%から 80%と
なり、後発医薬品産業は我が国の医療基盤を支える産業として成長した。後発医薬品の
使用促進は医療保険財政の持続可能性の確保のためにも重要であり、身近な医療の現場
では今後も後発医薬品が中心的に使われていく。にもかかわらず、既に3年にわたり後
発医薬品の品質・供給問題が続いていることは異常事態というべきものであり、早急な
解決が必要である。



現在の後発医薬品の品質・供給問題は問題を起こした企業の単独・一過性の問題では
ない。政府が後発医薬品の使用促進に旗を振る中で、右肩上がりの市場拡大が約束され、
多くの企業が参入した。中長期的な展望や足元での収益改善よりも目先の市場機会を捉
えた企業規模の成長を優先して、多くの製品を投入した結果、少量多品目生産といった
非効率な生産が広がり、少ないシェアで多数の同成分の品目が過当競争を行うという中
長期的には成り立たない産業構造となった。そのことにより品質確保や安定供給がおろ
そかになった。後発医薬品企業が先発医薬品の製造を受託している場合もあり、品質・
安定供給に係る問題は医薬品産業全体の問題でもある。



本検討会では十分な検討を行えなかったが、後発医薬品企業にはオーナー経営の企業
も多く経営判断に株主など外部の目線が入りづらかったこと、業界団体としては、30 社
が加盟する日本ジェネリック製薬協会(JGA)と、業態別・地域別の医薬品製造業者
団体が加盟する日本製薬団体連合会があるが、JGAに参加していない後発医薬品企業
も多く、各企業の能力を補完し産業として中長期的な展望を示す上で業界団体の機能が
適切に発揮されなかったこと、政府においても使用促進の旗は振るものの産業構造の将
来像まで見通せず産業育成への関与が不十分であったことなども指摘されている。



今後は、そのような産業構造から脱却し、製造管理・品質管理体制の確保、安定供給
能力の確保といった産業としての社会的責任を果たしつつ、持続可能な産業構造を目指
さなければならない。



これまでは後発医薬品市場が拡大していくため、多数の企業が参入して個社のシェア
が低い状況であっても、価格が低くて生産効率が悪く収益性が低い場合でも、市場の拡
大に伴って各社の成長が見込めたが、創薬モダリティの変化もあり、低分子の後発医薬
品市場の大きな拡大は見込めない。これまでのようなビジネスモデルは、今後は成り立
たない。



その中で、持続可能な産業構造としていくためには、個々の後発医薬品企業は、それ
ぞれ、生産効率の向上と増産、シェアの拡大により収益性を向上させ、筋肉質の収益構
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