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資料3-11 草場先生提出資料 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第77回 3/23)《厚生労働省》
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2. 命を救うことが難しいとき ~「尊厳ある生き方を守る」ために

① 急性期病院で取り組むべきこと
超高齢社会の日本において、人が死を迎える場所として最も多い場所は病院である(令和
2年度厚生統計要覧)。COVID-19 流行に伴い、急性期病院において最期の時を迎える患者
も増えており、その中で人としての尊厳ある生き方を全うすることは喫緊の課題となってい
る。
新型コロナウイルス感染症により急性期病棟には大きな変化が起きている。COVID-19 重
症化により入院する患者のみならず、コロナ感染に伴い脳血管疾患、認知症、心疾患といっ
た併存疾患が悪化したり、衰弱や転倒に伴う ADL 低下から生活が破綻し入院を余儀なくさ
れる高齢者も多い。こういった患者が急性期病棟を占めるようになり、通常の急性期医療を
行う余裕がなくなっている。
急性期医療は、情報の非対称性が特に大きく、医療を提供する側がもっている情報の内
容を、医療を受ける側が正確に理解するのは難しい。一般市民は急性期病院の実情をマス
メディアを通じて聞いてはいるかもしれないが、自分や家族のこととなると別である。「苦しい
から助けてほしい」という気持ちで救急車を呼ぶ患者は、その先自分にどのような医療や生
活が待っているかについては想像も理解もしていないであろう。感染管理の理由から家族も
頻繁に病室に入れず、患者の心理社会的な背景も踏まえた包括的なケアもなおざりにされて
いる。患者本人や家族と医療者のコミュニケーションの機会も減り、今起こっていること、これ
から起こりうることについても十分に理解できず、尊厳ある生き方に必要な「今ここに生きてい
る感覚」も麻痺してしまう。自分を取り巻く背景から時間的空間的に分断され、自分の死生観
も尊重されないまま、最期の時を迎えざるを得ない患者もいる。
急性期病院においては、特に、状況とともに変わりゆく患者の気持ちや死生観に寄り添い
ながら、患者を取り巻く環境を整え、患者の尊厳ある生き方を支援していく必要がある。
<提案>

l 急性期医療の厳しい現状を十分共有した後に入院医療の選択を行うことが必要
l 急性期病院においても、状況とともに変わりゆく患者の気持ちや死生観に寄り添いながら医
療を提供していくことが重要

l 可能な限り、患者が望む尊厳ある生き方を全うできる場を急性期病院以外にも整えていく

② 自宅・施設療養で取り組むべきこと
自宅・施設で最後をむかえたい人への対応が必要

新型コロナウイルスのパンデミック以降、プライマリ・ケアは自宅で亡くなる患者への終末期
ケアの提供において重要な役割を果たしてきた。病院の面会に制限を受けるようになり、自
宅で訪問診療を受ける末期がん患者が増えるなどニーズの高まりに迅速に適応してきた。

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