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「令和6年版過労死等防止対策白書」(概要) (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44199.html |
出典情報 | 令和6年版過労死等防止対策白書(10/11)《厚生労働省》 |
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【コラム】過労死のない社会の実現をめざして
全国過労死を考える家族の会は、1991年11月に結成され33年になります。
会員の多くは過労死等で家族を亡くした遺族と被災当事者です。働き過ぎにより突然にかけがえのない生命
を奪われた家族は、なぜ死ななければならなかったのか事実を知りたい一心で苦難を極めながらも、真相究明、
名誉回復に向けて懸命に闘います。そうした同じ境遇の者どうし励まし合って支え合い、これ以上過労死を繰
り返してはならない思いで、過労死根絶をめざし活動しています。
2014年6月、私たちが推し進めてきた法制定運動が結実し、
全国過労死を考える家族の会
代表世話人 寺西笑子氏
また、2016年度から新たに二つの事業が始まりました。
過労死等防止対策推進法が成立しました。同年11月1日に施行
一つ目は、夫を過労死等で亡くした妻と子供を対象とした遺
され、毎年11月は過労死等防止啓発月間と定められ、第1回政
児交流会です。ひとり親という状況で仕事をし、さらに労災申
府主催、過労死等防止対策推進シンポジウムが厚生労働省講堂
請や裁判をしている人もあり、中には周りからの偏見や無理解
において開催されました。厚生労働大臣の主催者挨拶に続いて
により社会から孤立していることで悩みは尽きない状況にある
超党派議員連盟会長の来賓挨拶があり、協力団体として過労死
人がおられます。これは親の問題だけでなく子供たちにも複雑
弁護団の基調講演、全国家族の会から8名の遺族が体験談を語
な問題に陥ることもあり専門家が必要になります。過労死遺児
りました。会場は約400名で埋め尽くされ様々な立場の方から
および家族に寄り添っていただいている支援事業に感謝を申し
励ましの拍手をいただき改めて法律ができたことの意義と力を
上げます。
感じました。
二つ目は、学生に向けた、労働問題・労働条件に関する啓発
同年12月に過労死等防止対策推進協議会が発足し過労死等の
授業です。講師は主に弁護士と過労死遺族が行っており、社会
定義、過労死等の防止対策は国の責務との理念を打ち出され、
へ出る前に正しい知識を身につけて生命を守ることを伝えてい
大綱の策定作業がおこなわれました。全国家族の会から当事者
ます。好評につきリピーターが多く新たな学校も増えています。
委員として4名参加し積極的に意見を述べています。
本年、過労死等防止対策推進法成立10周年を迎えて、全国家族の会が参加している啓発シンポジウムや啓発授業において、過労
死問題への理解が深められ意識の変化など評価を得られ定着してきた印象を持っていますが、長時間労働とハラスメント相談が増え
続けている現状に働く職場でどれだけ法律が活かされているのかが課題に思います。
一朝一夕に成し遂げることは難しいですが、これからも地道な活動を続けることで過労死のない社会の実現をめざして、歩んでい
く所存です。
15
全国過労死を考える家族の会は、1991年11月に結成され33年になります。
会員の多くは過労死等で家族を亡くした遺族と被災当事者です。働き過ぎにより突然にかけがえのない生命
を奪われた家族は、なぜ死ななければならなかったのか事実を知りたい一心で苦難を極めながらも、真相究明、
名誉回復に向けて懸命に闘います。そうした同じ境遇の者どうし励まし合って支え合い、これ以上過労死を繰
り返してはならない思いで、過労死根絶をめざし活動しています。
2014年6月、私たちが推し進めてきた法制定運動が結実し、
全国過労死を考える家族の会
代表世話人 寺西笑子氏
また、2016年度から新たに二つの事業が始まりました。
過労死等防止対策推進法が成立しました。同年11月1日に施行
一つ目は、夫を過労死等で亡くした妻と子供を対象とした遺
され、毎年11月は過労死等防止啓発月間と定められ、第1回政
児交流会です。ひとり親という状況で仕事をし、さらに労災申
府主催、過労死等防止対策推進シンポジウムが厚生労働省講堂
請や裁判をしている人もあり、中には周りからの偏見や無理解
において開催されました。厚生労働大臣の主催者挨拶に続いて
により社会から孤立していることで悩みは尽きない状況にある
超党派議員連盟会長の来賓挨拶があり、協力団体として過労死
人がおられます。これは親の問題だけでなく子供たちにも複雑
弁護団の基調講演、全国家族の会から8名の遺族が体験談を語
な問題に陥ることもあり専門家が必要になります。過労死遺児
りました。会場は約400名で埋め尽くされ様々な立場の方から
および家族に寄り添っていただいている支援事業に感謝を申し
励ましの拍手をいただき改めて法律ができたことの意義と力を
上げます。
感じました。
二つ目は、学生に向けた、労働問題・労働条件に関する啓発
同年12月に過労死等防止対策推進協議会が発足し過労死等の
授業です。講師は主に弁護士と過労死遺族が行っており、社会
定義、過労死等の防止対策は国の責務との理念を打ち出され、
へ出る前に正しい知識を身につけて生命を守ることを伝えてい
大綱の策定作業がおこなわれました。全国家族の会から当事者
ます。好評につきリピーターが多く新たな学校も増えています。
委員として4名参加し積極的に意見を述べています。
本年、過労死等防止対策推進法成立10周年を迎えて、全国家族の会が参加している啓発シンポジウムや啓発授業において、過労
死問題への理解が深められ意識の変化など評価を得られ定着してきた印象を持っていますが、長時間労働とハラスメント相談が増え
続けている現状に働く職場でどれだけ法律が活かされているのかが課題に思います。
一朝一夕に成し遂げることは難しいですが、これからも地道な活動を続けることで過労死のない社会の実現をめざして、歩んでい
く所存です。
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