最低賃金①
 本年の最低賃金の全国加重平均は過去最大の引上げとなったが、諸外国と比較すると、低水準かつ伸びが緩やか。
 他の都道府県からの雇用充足率でみると、最低賃金水準が高い地域へ雇用の流入が進む傾向がみられる。
 最低賃金の地域差は、高卒初任給の地域差と比べて大きい。低水準の最低賃金は、それに近い賃金体系で働く者にとって、
大都市圏で就業することのインセンティブとして作用する可能性。
 引き続き、最低賃金の引上げを進めるとともに、地方創生の観点から、地域差を縮小していくことが期待される。
＜図３：最低賃金の地域差と雇用流入の関係（2023年度）＞

＜図１：最低賃金全国加重平均の推移＞
1,600

（円）

（前年度比、％）
6

1,500

5.1%
1,400

水準
（左軸）

1,200

前年度比
（右軸）

4

1,055円

1,000
2

800
600
03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

16

0
（年度）

＜図２：最低賃金額の国際比較＞

（ドル）

50

（％）
東京

45
他
40
都
道 35
府
県 30
か
ら 25
の
雇 20
用
充 15
足 10
率
5

y = 0.1003x - 84.667
R² = 0.6232

宮城

福岡

広島
兵庫

千葉
愛知

滋賀
島根

最低賃金の
高い地域

静岡

岩手

三重
山口

沖縄

850

神奈川

京都

鳥取

0

14

大阪
埼玉

奈良
佐賀

900

新潟

長野

950

他地域
からの
雇用の
流入
が多い
地域

北海道

1,000
最低賃金

1,050

1,100

1,150

（円）

12

＜図４： 東京を100とした場合の最低賃金・高卒初任給の地域間分布＞

10

120

8

110

(東京＝100）
高卒初任給（2023年）

（2022年の額）
9.46ドル
韓国
13.82ドル
フランス
11.8ドル
イギリス
13.55ドル
ドイツ
日本
8.49ドル
カリフォルニア州 14.00ドル

4
2
1

2

3

4

5

6

7

8

9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22（年度）

100
90
80

岩手
沖縄
徳島
鹿児島
宮崎
高知
愛媛
秋田
熊本
長崎
青森
大分
佐賀
鳥取
福島
山形
島根
香川
宮城
山口
和歌山
福井
新潟
岡山
石川
群馬
奈良
山梨
福岡
長野
富山
岐阜
茨城
栃木
北海道
滋賀
広島
三重
静岡
兵庫
京都
千葉
愛知
埼玉
大阪
神奈川
東京

0

最低賃金は
地域差が大きい

6

最低賃金（2023年度）

（備考）図１は、厚生労働省「地域別最低賃金改定状況」により作成。
図２は、OECD.Stat “Real minimum wages”、アメリカ労働省により作成。米ドル購買力平価換算した場合の最低賃金額（時給額・時系列）。各国で最低賃金の適用対象等が異なることに留意が必要。アメリカの連
邦最低賃金は2009年以降改定されていないため、人口の多いカリフォルニア州の推移を掲載。ドイツの最低賃金制度の導入は2015年。
図３は、厚生労働省「一般職業紹介状況」「地域別最低賃金改定状況」により作成。他都道府県からの充足率は、「他県からの充足数/充足数」（受理地ベース）で計算。
図４は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」により作成。高卒初任給は、月額を平均所定内労働時間166時間で除して求めたもの。

６