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参考資料2 高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別)) (26 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25107.html
出典情報 高齢者医薬品適正使用検討会(第15回 4/13)《厚生労働省》
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第3部では、常勤の医師が配置されている介護施設(介護老人保健施設、介護療養型医療施設、
介護医療院※4)における考え方及び留意事項について、これらの施設が有する在宅復帰・在宅療
養支援の機能、長期療養や看取りの機能に配慮しつつ、記す。
※4:介護医療院:2018 年4月に創設された「日常的な医学管理」
「看取り・ターミナル」
「生活施設」の機
能を備えた介護保険施設。介護療養病床(療養機能強化型)相当のⅠ型、介護老人保健施設相当以上のⅡ
型の類型が設けられている。

1 入所時の処方確認・見直しの考え方

● 処方確認・見直し
入所前には、支援相談員や介護支援専門員等が、入所予定者の情報を把握し、利用目的等を確
認することになる。その際、支援相談員、薬剤師等は診療情報提供書やお薬手帳などから服薬状
況を確認し、得られた情報を医師、歯科医師等と共有する。また、残薬を把握するために、移行
元の医療機関の医師、歯科医師や薬剤師に服薬内容及び最近の薬の変更の有無などの情報提供を
求めるとともに、患者の自宅を訪問して直接服薬状況を確認することが推奨される。様々な理由
で薬剤情報が入手できない場合は、患者が持参した薬剤の鑑別を薬剤師が行う等により、処方さ
れている薬剤の情報を的確に入手することが求められる。
また、入所前の本人や家族に対して、ポリファーマシー対策の重要性や様々な非薬物的対応
(図3)の提供について十分に説明し、理解を得ておくことが望ましい。
入所時にあっては、入所前の薬物療法を正確に把握するとともに、必要に応じて入所後の療養
に適した薬物療法を検討する観点から、処方の確認・見直しの検討を必ず行うべきである。
在宅復帰・在宅療養を支援する場合は比較的入所期間が短いことが想定されるため、服薬内容
に関連した薬物有害事象の有無を積極的に確認すべきである。例えば、ポリファーマシーに、認
知症とサルコペニアが伴う場合には、適切な栄養管理とともに、転倒等のリスクを回避しつつ、
無理のない機能回復・生活回復リハビリテーションや認知症リハビリテーションを提供するため
に、薬物有害事象の被疑薬となっている薬剤の変更又は中止について丁寧に説明して同意を得る
ことが望ましい。同時に、必要な薬剤の追加や比較的使用しやすい剤形への変更などについても
検討する必要がある。
一方、長期療養や看取りを主とする場合は、認知症や意識障害等で本人の意思表明ができない
場合であっても、ACPを通じて本人の価値観に寄り添い、意思決定支援者としての家族等や医療・
ケアチームが繰り返し話し合いながら、人生の最終段階における医療・ケアの意思決定に関する
プロセスの実践が推奨される。


● 長期的な安全性とリスク・ベネフィットバランスの視点
在宅復帰を目指す場合か、長期療養や看取りを目的とする場合かにかかわらず、患者本人の価
値観を最大限尊重して、処方見直しの際の意思決定を支援する必要がある。その際は、必要に応
じてACPを通じて、総論編のフローチャートに従って処方の見直しを実施することになる。
また、長期療養や看取りを目的とする場合には、身体機能の低下に伴い薬物有害事象のリスクが
増大したり、内服薬の服用が困難になることも想定されるため、リスク・ベネフィットバランスの

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