よむ、つかう、まなぶ。
高齢者の「生きがい」の規定要因について ―「役割」と「孤独感」を中心とした分析― 藤森 克彦(PDF形式:356KB) (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/zentai/pdf_index.html |
出典情報 | 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(6/14)《内閣府》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
高齢者の「生きがい」の規定要因について
―「役割」と「孤独感」を中心とした分析―
日本福祉大学/みずほリサーチ&テクノロジーズ 株式会社
藤森 克彦
はじめに
本稿では、高齢者の生きがいに、どのような要因が影響しているのかという点を考察 す
る。
「 生 き が い 」は 多 義 的 な 概 念 で あ る が 、そ の 一 つ の 要 素 と し て「 他 者 の た め に な る 、あ
る い は 、社 会 に 役 立 っ て い る 」と い う 意 識 や 達 成 感 が あ げ ら れ て い る 1 。こ の よ う に 生 き が
い を 捉 え る と 、「 役 割 」 を も つ こ と は 、 生 き が い に 肯 定 的 な 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ る 。
「 孤 独 感 」が あ げ ら れ る 。高 齢 期
一 方 で 、生 き が い に 否 定 的 な 影 響 を 与 え る も の と し て 、
は、配偶者との死別や、他者との関係性が乏しくなることが考えられる。孤独感をもつこ
とが、生きがいに否定的な影響を与えることが推察される。
そ こ で 本 稿 で は 、高 齢 期 の「 生 き が い 」に つ い て 、
「 役 割 」や「 孤 独 感 」と の 関 連 を 中 心 に
分析していく。具体的には、下記の点を考察する。
第 一 に 、高 齢 者 の 生 き が い に つ い て 、高 齢 者 の「 属 性 」や「 役 割 」「 孤 独 感 」と の 関 連 性
に つ い て 考 察 す る 。役 割 と し て は 、
「家族内の役割の有無」
「社会活動の参加の有無」
「仕事
の有無」の3点からみる。
第 二 に 、高 齢 者 の 生 き が い の 規 定 要 因 を 考 察 す る 。特 に 、
「 役 割 」や「 孤 独 感 」の 有 無 は 、
高齢者の生きがいの規定要因になっているかという点をみる。
第三に、未婚の高齢者と離別した高齢者について、各々の生きがいの規定要因を考察す
る。後述する通り、未婚や離別は、高齢者の生きがいに負の影響を与える規定要因になっ
て い る 。そ こ で 、高 齢 者 の 中 で も 未 婚 者 と 離 別 者 に つ い て 生 き が い の 規 定 要 因 を 考 察 す る 。
本稿の構成としては、まず、生きがいの有無について、属性、役割、孤独感との関連に
ついてクロス集計から分析をする。次に、高齢者全体の生きがいの規定要因についてロジ
ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 を 行 う 。さ ら に 、
「 未 婚 の 高 齢 者 」と「 離 別 し た 高 齢 者 」の 生 き が い の
規定要因について、同様にロジスティック回帰分析を用いて分析をする。
1 .「 属 性 」「 役 割 」「 孤 独 感 」 と 生 き が い の 関 連 性
「生きがい」をもつ高齢者は、どのような特徴をもっているのだろうか。以下では、生
き が い の 有 無 を 被 説 明 変 数 と し て 、「 属 性 」「 役 割 」「 孤 独 感 」 と の 関 連 性 を 考 察 し て い く 。
( 1 )「 生 き が い 」 の 有 無 に 関 す る 変 数
最 初 に 、被 説 明 変 数 で あ る「 生 き が い 」の 有 無 に つ い て み て い く 。こ の 変 数 は 、
「あなた
は 、 現 在 、ど の 程 度 生 き が い ( 喜 び や 楽 し み )を 感 じ て い ま す か 」 と い う 設 問 ( 問 39)を
用 い る 。こ れ は 、
「 1 .十 分 感 じ て い る 」
「 2 .多 少 感 じ て い る 」
「 3 .あ ま り 感 じ て い な い 」
「4.まったく感じていない」の4件法で回答を求めている。本稿では、1と2の回答を
「 生 き が い あ り ( 生 き が い を 感 じ て い る )」、 3 と 4 の 回 答 を 「 生 き が い な し ( 生 き が い を
感 じ て い な い )」 と 整 理 す る 。
(2)属性別にみた生きがい保有率
説 明 変 数 に つ い て は 、ま ず 属 性 と し て 、
「性別」
「年齢階層」
「配偶関係」
「世帯類型」
「子
1
前 田 展 弘 ( 2020)「 生 き が い と は ? そ の 効 果 と は ? 」( ニ ッ セ イ 基 礎 研 究 所 『 ジ ェ ロ ン ト ロ ジ ー (高 齢
社 会 総 合 研 究 ) 』 2020 年 11 月 26 日 ) 参 照 。
162
―「役割」と「孤独感」を中心とした分析―
日本福祉大学/みずほリサーチ&テクノロジーズ 株式会社
藤森 克彦
はじめに
本稿では、高齢者の生きがいに、どのような要因が影響しているのかという点を考察 す
る。
「 生 き が い 」は 多 義 的 な 概 念 で あ る が 、そ の 一 つ の 要 素 と し て「 他 者 の た め に な る 、あ
る い は 、社 会 に 役 立 っ て い る 」と い う 意 識 や 達 成 感 が あ げ ら れ て い る 1 。こ の よ う に 生 き が
い を 捉 え る と 、「 役 割 」 を も つ こ と は 、 生 き が い に 肯 定 的 な 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ る 。
「 孤 独 感 」が あ げ ら れ る 。高 齢 期
一 方 で 、生 き が い に 否 定 的 な 影 響 を 与 え る も の と し て 、
は、配偶者との死別や、他者との関係性が乏しくなることが考えられる。孤独感をもつこ
とが、生きがいに否定的な影響を与えることが推察される。
そ こ で 本 稿 で は 、高 齢 期 の「 生 き が い 」に つ い て 、
「 役 割 」や「 孤 独 感 」と の 関 連 を 中 心 に
分析していく。具体的には、下記の点を考察する。
第 一 に 、高 齢 者 の 生 き が い に つ い て 、高 齢 者 の「 属 性 」や「 役 割 」「 孤 独 感 」と の 関 連 性
に つ い て 考 察 す る 。役 割 と し て は 、
「家族内の役割の有無」
「社会活動の参加の有無」
「仕事
の有無」の3点からみる。
第 二 に 、高 齢 者 の 生 き が い の 規 定 要 因 を 考 察 す る 。特 に 、
「 役 割 」や「 孤 独 感 」の 有 無 は 、
高齢者の生きがいの規定要因になっているかという点をみる。
第三に、未婚の高齢者と離別した高齢者について、各々の生きがいの規定要因を考察す
る。後述する通り、未婚や離別は、高齢者の生きがいに負の影響を与える規定要因になっ
て い る 。そ こ で 、高 齢 者 の 中 で も 未 婚 者 と 離 別 者 に つ い て 生 き が い の 規 定 要 因 を 考 察 す る 。
本稿の構成としては、まず、生きがいの有無について、属性、役割、孤独感との関連に
ついてクロス集計から分析をする。次に、高齢者全体の生きがいの規定要因についてロジ
ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 を 行 う 。さ ら に 、
「 未 婚 の 高 齢 者 」と「 離 別 し た 高 齢 者 」の 生 き が い の
規定要因について、同様にロジスティック回帰分析を用いて分析をする。
1 .「 属 性 」「 役 割 」「 孤 独 感 」 と 生 き が い の 関 連 性
「生きがい」をもつ高齢者は、どのような特徴をもっているのだろうか。以下では、生
き が い の 有 無 を 被 説 明 変 数 と し て 、「 属 性 」「 役 割 」「 孤 独 感 」 と の 関 連 性 を 考 察 し て い く 。
( 1 )「 生 き が い 」 の 有 無 に 関 す る 変 数
最 初 に 、被 説 明 変 数 で あ る「 生 き が い 」の 有 無 に つ い て み て い く 。こ の 変 数 は 、
「あなた
は 、 現 在 、ど の 程 度 生 き が い ( 喜 び や 楽 し み )を 感 じ て い ま す か 」 と い う 設 問 ( 問 39)を
用 い る 。こ れ は 、
「 1 .十 分 感 じ て い る 」
「 2 .多 少 感 じ て い る 」
「 3 .あ ま り 感 じ て い な い 」
「4.まったく感じていない」の4件法で回答を求めている。本稿では、1と2の回答を
「 生 き が い あ り ( 生 き が い を 感 じ て い る )」、 3 と 4 の 回 答 を 「 生 き が い な し ( 生 き が い を
感 じ て い な い )」 と 整 理 す る 。
(2)属性別にみた生きがい保有率
説 明 変 数 に つ い て は 、ま ず 属 性 と し て 、
「性別」
「年齢階層」
「配偶関係」
「世帯類型」
「子
1
前 田 展 弘 ( 2020)「 生 き が い と は ? そ の 効 果 と は ? 」( ニ ッ セ イ 基 礎 研 究 所 『 ジ ェ ロ ン ト ロ ジ ー (高 齢
社 会 総 合 研 究 ) 』 2020 年 11 月 26 日 ) 参 照 。
162