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(参考資料2)全世代型社会保障構築会議報告書(令和4年12月16日) (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30572.html |
出典情報 | 社会保障審議会(第31回 1/30)《厚生労働省》 |
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Ⅱ. 全世代型社会保障の基本的考え方
1. 目指すべき社会の将来方向
○
日本は、本格的な「少子高齢化・人口減少時代」を迎えようとしており、今はまさにそれに
対処するために舵を切っていくべき重要な時期にあたる。この歴史的転換期において、今
後の人口動態の変化や経済社会の変容を見据えつつ、日本が目指すべき社会の姿を描く
こと、そして、その実現に向けて社会保障政策が取り組むべき課題を総合的かつ明確に示
すことは、極めて重要である。そこで、まず、「全世代型社会保障」の構築を通じて目指すべ
き社会の将来方向として、次の3点をあげる。
◆ 「少子化・人口減少」の流れを変える
2013 年の社会保障制度改革国民会議報告書は、少子化対策は、社会保障の持続可能
性・経済成長を確かなものとする、「社会保障制度改革の基本」であると指摘した。政府は、
これまで、この考え方に沿って、保育の受け皿整備や幼児教育・保育の無償化など様々な
対策を講じてきたが、いまだに少子化の流れを変えるには至っていない。この流れを変えら
れなければ、日本の人口は急速かつ長期にわたって減少し続けることとなる。
こうした少子化・人口減少の進行は、経済活動における供給(生産)及び需要(消費)の
縮小、社会保障機能の低下をもたらし、さらには、多くの地域社会を消滅の危機に導くなど、
経済社会を「縮小スパイラル」に突入させることになるだろう。少子化は、まさに、国の存続
そのものに関わる問題であると言っても過言ではない。
もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであって、こど
もを生み育てたいと考える個人の希望を叶えることは、個人の幸福追求を支援するという
意味において重要である。他方、このことは同時に、少子化・人口減少の流れを大きく変え、
危機的な状況から脱却することによって、経済と社会保障の持続可能性を高め、「成長と
分配の好循環」を実現する上で、社会全体にも大きな福音となるものでもある。つまり、少
子化対策は、個人の幸福追求と社会の福利向上をあわせて実現するという、極めて価値
の大きい社会保障政策なのである。
こうした観点から、今日、最も緊急を要する取組は、「未来への投資」として、子育て・若
者世代への支援を急速かつ強力に整備することである。少子化の背景には、経済社会の
発展によって子育てに関わる直接的な費用や就業機会損失などの機会費用が増加する一
方で、就業構造や就労環境の変化によって子育て・若者世代の雇用・所得が不安定なもの
となっていることなどから、結婚、妊娠・出産、子育てを選択することに不安を感じ、それを
ためらう国民が増えていることがある。子育て費用を社会全体で分かち合い、こどもを生み
育てたいと希望する全ての人が、安心して子育てができる環境を整備することこそ何よりも
求められている。
わたしたちの目指すべき社会の将来方向の第一は、ここにある。
3
1. 目指すべき社会の将来方向
○
日本は、本格的な「少子高齢化・人口減少時代」を迎えようとしており、今はまさにそれに
対処するために舵を切っていくべき重要な時期にあたる。この歴史的転換期において、今
後の人口動態の変化や経済社会の変容を見据えつつ、日本が目指すべき社会の姿を描く
こと、そして、その実現に向けて社会保障政策が取り組むべき課題を総合的かつ明確に示
すことは、極めて重要である。そこで、まず、「全世代型社会保障」の構築を通じて目指すべ
き社会の将来方向として、次の3点をあげる。
◆ 「少子化・人口減少」の流れを変える
2013 年の社会保障制度改革国民会議報告書は、少子化対策は、社会保障の持続可能
性・経済成長を確かなものとする、「社会保障制度改革の基本」であると指摘した。政府は、
これまで、この考え方に沿って、保育の受け皿整備や幼児教育・保育の無償化など様々な
対策を講じてきたが、いまだに少子化の流れを変えるには至っていない。この流れを変えら
れなければ、日本の人口は急速かつ長期にわたって減少し続けることとなる。
こうした少子化・人口減少の進行は、経済活動における供給(生産)及び需要(消費)の
縮小、社会保障機能の低下をもたらし、さらには、多くの地域社会を消滅の危機に導くなど、
経済社会を「縮小スパイラル」に突入させることになるだろう。少子化は、まさに、国の存続
そのものに関わる問題であると言っても過言ではない。
もとより、結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであって、こど
もを生み育てたいと考える個人の希望を叶えることは、個人の幸福追求を支援するという
意味において重要である。他方、このことは同時に、少子化・人口減少の流れを大きく変え、
危機的な状況から脱却することによって、経済と社会保障の持続可能性を高め、「成長と
分配の好循環」を実現する上で、社会全体にも大きな福音となるものでもある。つまり、少
子化対策は、個人の幸福追求と社会の福利向上をあわせて実現するという、極めて価値
の大きい社会保障政策なのである。
こうした観点から、今日、最も緊急を要する取組は、「未来への投資」として、子育て・若
者世代への支援を急速かつ強力に整備することである。少子化の背景には、経済社会の
発展によって子育てに関わる直接的な費用や就業機会損失などの機会費用が増加する一
方で、就業構造や就労環境の変化によって子育て・若者世代の雇用・所得が不安定なもの
となっていることなどから、結婚、妊娠・出産、子育てを選択することに不安を感じ、それを
ためらう国民が増えていることがある。子育て費用を社会全体で分かち合い、こどもを生み
育てたいと希望する全ての人が、安心して子育てができる環境を整備することこそ何よりも
求められている。
わたしたちの目指すべき社会の将来方向の第一は、ここにある。
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