よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


医療機器感染症定期報告感染症別文献一覧表 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190382_00012.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和4年度第2回 3/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

ID

34

35

36

感染症(PT)

ヘルペスウイル
ス感染

ボルデテラ感染

レンサ球菌感染

出典

概要

Clin Infect Dis. 73
(2021)e3690-e3700

本文献は、複数の動物種、特にブタに共通の病原体であり、ヒトへの感染はまれであ
る仮性狂犬病ウイルス(PRV)について、臨床症状、検査室診断、およびメタゲノム次
世代シーケンシング(mNGS)に基づいてPRV感染として確認された4例の人における
急性脳炎症例から脳脊髄液(CSF)サンプルを収集し、ウイルスを分離し、PRVヒト分
離株の病因学的および遺伝的特徴を特定したものである。mNGSは、患者のCSFサン
プル中のPRV特異的ヌクレオチド配列を明らかにした。PRVエンベロープ糖タンパク質
B抗体、糖タンパク質E抗体、中和抗体が陽性と検出された。初めて、hSD-1/2019と
呼ばれるPRV株がCSFサンプルから分離および同定され、透過型電子顕微鏡によ
り、hSD-1/2019がブタPRVと同様の典型的な形態を有することが明らかになった。系
統発生分析は、hSD-1/2019が現在中国のブタで循環しているPRV変異株に遺伝的
に最も近く、この株は中国の古典的株とは異なるが、中国のPRV変異株と同様の病
因特性を示した。さらに、hSD-1/2019は高い病原性を示し、ブタに急性神経症状を誘
発した。ヒトの急性脳炎の症例から分離されたPRV株は、中国のPRV変異株と密接な
系統発生的関係および類似の病因的特徴を示し、ブタからヒトへのPRV感染の大き
なリスクを示唆している。

IDCases. 27(2022)
e01435

本文献は、免疫抑制を認めず、B. bronchiseptica 肺炎と診断され、フルオロキノロンと
ドキシサイクリンによる治療が成功した雄豚飼育者の症例を報告したものである。68
歳男性、既知の薬物アレルギーなし、職業は養豚業、過去には牧畜業を営んでおり、
犬との接触があった。喫煙および飲酒の習慣があった。胃食道逆流を合併しており、
オメプラゾールによる治療を受けていた。2週間にわたる発声障害、呼吸困難、粘液
膿性痰のため、受診した。エアゾール療法、レボフロキサシン500mg、1日1錠を1週
間、プレドニン30mgが処方された。しかし、体重減少、喀血を伴う咳、顕著な無力症な
どが認められ、ほとんど改善はみられなかった。胸部X線写真の所見より、肺結核の
可能性が疑われたため、検査が行われた。検査にて、B. bronchiseptica が分離され
た。モキシフロキサシン400mgを24時間おきに14日間投与したところ、1週間後に咳嗽
は著明に改善し、喀痰に病的色調を認めなかった。14日間の治療後、モキシフロキ
サシンを中止し、ドキシサイクリン100mgの投薬を開始した。患者の体重は回復傾向
にあり、痰の量は激減し、咳は散発的になった。2ヶ月後に新たな検査とX線撮影を行
い。経過が良好であれば抗生剤治療を中止する予定であった。抗菌薬治療開始から
約2ヵ月後にCOVID-19に感染し、集中治療室への入院が必要となり、入院後ほぼ1ヶ
月で死亡した。入院時のX線写真では、B. bronchiseptica 感染関連の所見の改善が
認められていた。この患者の場合、仕事と病気の間に疫学的な関連性があると考え
られる。

Virulence. 12(2021)
2787-2797

Streptococcus suis は人獣共通感染症の病原体であり、100以上の病原因子が報告
されているが、これらの病原因子がどの程度S. suis の人獣共通感染症の発症に寄与
しているかは不明である。本文献は、人由来の実験モデルで研究されたすべてのS.
suis の病原性因子を系統的レビューで同定し、その後のゲノムメタ解析で人獣共通感
染症の可能性への寄与を評価したものである。2021年3月31日までに発表されたS.
suis の病原性を研究した英文論文を調査対象とし、130の論文と1703のS. suis ゲノム
を解析の対象とした。その結果、S. suis コアゲノムの一部である遺伝子にコードされ
る53の病原性因子が同定され、ヒトで2倍以上、ブタで2倍以上の頻度で存在する26
の因子が同定された。今回のシステマティックレビューとゲノムメタ解析により、S.
suis の人獣共通感染症の可能性に寄与すると考えられる病原性因子が同定された。

37

ロタウイルス感


世界各地の下痢症患者から、従来とは異なるG4P[6]遺伝子型を持つヒトロタウイルス
株が散発的に同定されている。しかし、アフリカのG4P[6]株は、中央アフリカの1株し
か全ゲノムが解読されておらず、アフリカのG4P[6]株の起源と進化様式は不明であっ
た。本文献は、ケニアで下痢をした子供の便から同定されたアフリカのG4P[6]株
(RVA/Human-wt/KEN/KCH148/2019/G4P[6])の全ゲノムを明らかにしたものであ
る。G4-P[6]-I1-R1-C1-M1-A1-N1-T7-E1-H1.NSP3遺伝子型T7は豚ロタウイルス株
Infection, Genetics and
で一般的に見られるものである。さらに、系統解析の結果、KCH148株の11遺伝子の
Evolution. 96(2021)
うち10遺伝子(VP7、VP4、VP6、VP1-VP3、NSP1、NSP3-NSP5)が豚由来で、残りの
105133
NSP2遺伝子が人由来と思われることが判明した。したがって、KCH148株は豚ロタウ
イルスの骨格を持つことが判明し、豚由来である可能性が高い。さらに、KCH148株は
ブタとヒトのロタウイルス株が関与する種間伝播と再集合によって派生したものと推定
される。今回の報告は、東アフリカのヒトG4P[6]株のゲノムに基づく特徴づけに関する
初めての報告である。また、アフリカ大陸における人獣共通感染症G4P[6]株の起源と
進化パターンに関する重要な知見を提供するものである。

8 / 12