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別紙7 (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00042.html
出典情報 先進医療会議(第108回先進医療会議、第129回先進医療技術審査部会 3/3)《厚生労働省》
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関節リウマチにおける薬物療法は、寛解 (状況により代替として低疾患活動
性) を目標として、フェーズ 1:従来型合成抗リウマチ薬、フェーズ 2:生物学
的抗リウマチ薬 または分子標的合成抗リウマチ薬 (現在は JAK 阻害薬を指しま
す) を追加、フェーズ 3:生物学的抗リウマチ薬または分子標的合成抗リウマチ
薬を変更、のアルゴリズムで治療することが推奨されており[1]、ヒドロキシク
ロロキン(HCQ) は従来型合成抗リウマチ薬のひとつとなります。
生物学的抗リウマチ薬の日本人を対象とした臨床試験結果で ACR20 改善率は
およそ 40-80%程度、市販後調査では 20-45%程度と報告されており[2]、HCQ の
有効性は生物学的抗リウマチ薬およびそれらと同等の有効性を有するとされる
分子標的合成抗リウマチ薬に匹敵するものではないと考えられます。一方で、
日本で汎用される従来型合成抗リウマチ薬であるタクロリムスおよびイグラチ
モドの市販後調査では、24 週時寛解達成率がタクロリムス 16.5%、イグラチモ
ド 39.8%と報告されており[3,4]、直接比較はできないものの本試験で得られた
結果から HCQ は同等に近い有効性が認められる可能性があります。
生物学的抗リウマチ薬の臨床試験または市販後調査で、重症副作用がおよそ
6%程度、肺炎が 2%程度、重篤感染症が 100 人年あたり 6 程度、タクロリムスお
よびイグラチモドの市販後調査ではタクロリムスの肺炎が 0.6%、イグラチモド
の重篤副作用が 3.2%、肺炎が 0.4%と報告されております。患者背景や観察期間
などが異なり直接比較はできませんが、本試験結果と照らし合わせると HCQ は
感染症のリスクが低い可能性があります。
以上から、HCQ は従来型合成抗リウマチ薬のひとつとして有用性があると考え
られます。臨床現場における位置づけとしては、日本リウマチ学会ガイドライ
ンや欧州リウマチ学会推奨を踏まえ、第一選択薬であるメトトレキサート
(MTX)が効果不十分症例で生物学的抗リウマチ薬や分子標的合成抗リウマチ薬
開始前に追加併用、予後不良因子を有さない症例への追加併用、MTX 禁忌症例ま
たは年齢、腎機能、肺合併症などから MTX 以外の従来型合成抗リウマチ薬が検
討される症例への使用などがあたると考察致します。
1. 日本リウマチ学会. 関節リウマチ診療ガイドライン 2020. 診断と治療社.
2021
2. Tsutomu Takeuchi, et al. The Japanese experience with biologic therapies
for rheumatoid arthritis. Nat Rev Rheumatol.2010;6:644-652
3. Tsutomu Takeuchi, et al. Safety and effectiveness of tacrolimus add-on
therapy for rheumatoid arthritis patients without an adequate response to
biological
disease-modifying
anti-rheumatic
drugs
(DMARDs):
Post-marketing surveillance in Japan. Mod Rheumatol. 2018;28:48-57

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