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資料3-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[444KB] (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38901.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会(令和5年度第3回 3/22)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
27 類丹毒
28 B型肝炎
出典
概要
Emerging Microbes &
Infections.
11(2022)2781-2784
問題点:Erysipelothrix piscisicarius による初めてのヒト感染例(72歳女性)に関
する報告。【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関す
る報告。グラム陽性通性嫌気性菌の一種であるErysipelothrix 属は、ブタで丹
毒、ヒトで類丹毒を引き起こすことが知られている。Erysipelothrix piscisicarius
は、魚の水産養殖における新規の病原体であり、魚の口腔顔面潰瘍及び壊
死、壊死性皮膚炎、筋炎ならびに蜂巣炎を引き起こす。これまでE.piscisicarius
のヒトへの感染は報告されていない。【症例報告】72歳女性、原因不明の高熱
及び悪寒を訴え、入院した。救急外来では体温が40.2℃に達し、頭痛、回転性
めまい、息切れ、反応の遅れ、傾眠状態、尿閉がみられた。身体的診察では脈
拍125bpm、呼吸数39回/分、血圧89/45mmHgであった。タゾバクタム・ピペラシ
リン(4.5 g q8h)が投与され、痰の減少や栄養サポートなどの対症療法が併用さ
れた。2日目には浮遊性めまい、頭痛、息切れなどの初期症状は軽減した。し
かし、冷感を伴う発熱が続き、最高体温は38.0℃となったが積極的な治療により
患者の体温は徐々に正常に戻った(3日目)。微生物学的原因を特定するため
の評価に血液培養とメタゲノミクス次世代シーケンシング(mNGS)が含まれ、m
NGSでは末梢血からE.piscisicarius の9回の読み取りが検出され、血液培養の
結果はE.rhusiopathiae の感染を示した(4日目)。この不一致のため、培養され
た微生物は全ゲノムシーケンス(WGS)に送られ、得られた配列は91.2%のカバ
レッジ率でE.piscisicarius の全ゲノムと一致した。その直後、患者の左親指の指
先に赤く腫れた腫瘤が認められた。発症の3日前に患者がエビを洗っていたとき
に指を刺したと訴え、バナメイエビと特定された。患者は他の魚介類、家禽、家
畜との接触歴がなく、臨床症状及び検査所見に基づき類丹毒と診断された。抗
菌剤感受性試験は、分離された細菌がイミペネム、シプロフロキサシン及びピ
ペラシリンに感受性であることを示唆し、感染症治療のためタゾバクタム・ピペラ
シリンが投与された。11日目に血液培養検査及びmNGSが共に陰性となったた
め患者は退院した。【結論】E.piscisicarius はヒトの感染症や疾患、水生動物の
感染症を引き起こす可能性がある。本症例はmNGS同定とWGS確認を通じて、
ヒトに重度の症状を引き起こすE.piscisicarius 感染の初めての症例であった。海
産物への曝露後に皮膚病変が形成されると、E.piscisicaius のような新たな病原
体に警戒し、適切に治療しなければならない。従来の方法と比較して、mNGSは
より優れた検出性能を示し、臨床診療に有益であった。
Transfusion.
63(2023)1250-1254
〇HBs抗体のみ陽性の献血血液による輸血を介したHBV感染事例
60代男性患者に、HBV個別NAT、HBs抗原及びHBc抗体陰性で、HBs抗体のみ
弱陽性の新鮮凍結血漿を輸血したところ、輸血72日後にHBV-DNA陽性となっ
た。献血者と患者から検出されたHBV-DNAの遺伝子配列が一致したことから、
輸血による感染が確認された。当該献血者のHBV感染状態について詳細は不
明だが、HBVワクチン接種者のブレイクスルー感染、あるいはHBs抗体のみ陽
性のオカルトHBV感染のどちらかの可能性が考えられる。ウイルス量も当該献
血から84日後の時点で定量限界以下の低濃度であり、HBVの複製速度は極め
て遅かった。本症例のような事例は稀ではあるが、低力価のHBs抗体を有する
献血者が、輸血HBV感染を引き起こす場合があると考えられる。しかし、HBs抗
体のみ陽性の献血者の中からそうした感染リスクのある者を特定することは、
現状のスクリーニング検査では困難であり、HBs抗体のみ陽性血液の輸血HBV
感染の可能性については、積極的サーベイランスが必要と考えられた。
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感染症(PT)
27 類丹毒
28 B型肝炎
出典
概要
Emerging Microbes &
Infections.
11(2022)2781-2784
問題点:Erysipelothrix piscisicarius による初めてのヒト感染例(72歳女性)に関
する報告。【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関す
る報告。グラム陽性通性嫌気性菌の一種であるErysipelothrix 属は、ブタで丹
毒、ヒトで類丹毒を引き起こすことが知られている。Erysipelothrix piscisicarius
は、魚の水産養殖における新規の病原体であり、魚の口腔顔面潰瘍及び壊
死、壊死性皮膚炎、筋炎ならびに蜂巣炎を引き起こす。これまでE.piscisicarius
のヒトへの感染は報告されていない。【症例報告】72歳女性、原因不明の高熱
及び悪寒を訴え、入院した。救急外来では体温が40.2℃に達し、頭痛、回転性
めまい、息切れ、反応の遅れ、傾眠状態、尿閉がみられた。身体的診察では脈
拍125bpm、呼吸数39回/分、血圧89/45mmHgであった。タゾバクタム・ピペラシ
リン(4.5 g q8h)が投与され、痰の減少や栄養サポートなどの対症療法が併用さ
れた。2日目には浮遊性めまい、頭痛、息切れなどの初期症状は軽減した。し
かし、冷感を伴う発熱が続き、最高体温は38.0℃となったが積極的な治療により
患者の体温は徐々に正常に戻った(3日目)。微生物学的原因を特定するため
の評価に血液培養とメタゲノミクス次世代シーケンシング(mNGS)が含まれ、m
NGSでは末梢血からE.piscisicarius の9回の読み取りが検出され、血液培養の
結果はE.rhusiopathiae の感染を示した(4日目)。この不一致のため、培養され
た微生物は全ゲノムシーケンス(WGS)に送られ、得られた配列は91.2%のカバ
レッジ率でE.piscisicarius の全ゲノムと一致した。その直後、患者の左親指の指
先に赤く腫れた腫瘤が認められた。発症の3日前に患者がエビを洗っていたとき
に指を刺したと訴え、バナメイエビと特定された。患者は他の魚介類、家禽、家
畜との接触歴がなく、臨床症状及び検査所見に基づき類丹毒と診断された。抗
菌剤感受性試験は、分離された細菌がイミペネム、シプロフロキサシン及びピ
ペラシリンに感受性であることを示唆し、感染症治療のためタゾバクタム・ピペラ
シリンが投与された。11日目に血液培養検査及びmNGSが共に陰性となったた
め患者は退院した。【結論】E.piscisicarius はヒトの感染症や疾患、水生動物の
感染症を引き起こす可能性がある。本症例はmNGS同定とWGS確認を通じて、
ヒトに重度の症状を引き起こすE.piscisicarius 感染の初めての症例であった。海
産物への曝露後に皮膚病変が形成されると、E.piscisicaius のような新たな病原
体に警戒し、適切に治療しなければならない。従来の方法と比較して、mNGSは
より優れた検出性能を示し、臨床診療に有益であった。
Transfusion.
63(2023)1250-1254
〇HBs抗体のみ陽性の献血血液による輸血を介したHBV感染事例
60代男性患者に、HBV個別NAT、HBs抗原及びHBc抗体陰性で、HBs抗体のみ
弱陽性の新鮮凍結血漿を輸血したところ、輸血72日後にHBV-DNA陽性となっ
た。献血者と患者から検出されたHBV-DNAの遺伝子配列が一致したことから、
輸血による感染が確認された。当該献血者のHBV感染状態について詳細は不
明だが、HBVワクチン接種者のブレイクスルー感染、あるいはHBs抗体のみ陽
性のオカルトHBV感染のどちらかの可能性が考えられる。ウイルス量も当該献
血から84日後の時点で定量限界以下の低濃度であり、HBVの複製速度は極め
て遅かった。本症例のような事例は稀ではあるが、低力価のHBs抗体を有する
献血者が、輸血HBV感染を引き起こす場合があると考えられる。しかし、HBs抗
体のみ陽性の献血者の中からそうした感染リスクのある者を特定することは、
現状のスクリーニング検査では困難であり、HBs抗体のみ陽性血液の輸血HBV
感染の可能性については、積極的サーベイランスが必要と考えられた。
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