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○先進医療会議からの報告について 総-1 (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00142.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 総会(第518回 3/23)《厚生労働省》 |
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トークは初期胚の段階からなされているとも考えられている。ところが、ホルモン調節周期に
おける胚盤胞移植では、性ステロイドによる子宮内膜の分化は行われているものの、胚盤胞が
移植されて初めてクロストークが開始するため、子宮内膜の着床準備が遅れ、着床不全が起き
妊娠不成立となる、または着床遅延が生じている可能性がある。
Zhang らは day3移植例と day5移植例の妊娠周期での hCG 濃度を比較し、day5の方が低値
であることを報告している。かれらは、day5移植例の hCG 濃度が低値であるのは長期培養に
よる胚へのダメージが原因であると考察しているが、胚と子宮内膜のクロストークの開始が
day5移植では day3移植に比べて遅れるために生じたことに起因する着床遅延によるものと考
えることもできよう。私どもの研究においても、妊娠判定日(day30)における hCG 値が
SEET では BT と比べ有意に高値となったことより、BTに対し、SEET では培養液注入時よ
りクロストークが開始するため、適時着床が成立しBTと比較して着床時期が早くなったこと
が推察できる。SEET は胚由来因子により子宮内膜の implantation window に作用し胚受容能
を亢進している可能性があると考えている。
SEET は簡便で副作用もなく、BTと比較して妊娠率・着床率が高くなるため、臨床的に有
用な移植法となりうると考えている。
(概要)
対象:胚移植を必要とする不妊症
方法:
体外受精により作出された受精卵を体外で 5~6 日間培養し、得られた胚盤胞は一旦凍結保存す
る。この際に体外培養に使用された培養液(当院では SAGE
1-Step メディウムを約 50~100
㎕使用)を、胚盤胞とは別の容器に封入した後に凍結保存しておく。この培養液(リンス液と
いう)の中に、受精卵が成長する過程に排出される伝達物質が含まれていると考えられる。
胚盤胞移植(凍結融解胚移植)は自然排卵周期またはホルモン補充周期で行う。
自然排卵周期の場合は月経開始 10 日目頃より数回の診察を経て排卵日が確定すれば、排卵後 2
~3 日目にリンス液を子宮内に注入する。さらに排卵後 4~5 日目に凍結保存した胚盤胞を 1 個
融解して移植を行う。
ホルモン補充周期では月経開始 2 日目から卵胞ホルモン製剤の投与を開始し、月経 12~14 日目
の診察でホルモン値や子宮内膜厚の確認後問題なければ月経 15 日目より黄体補充を開始する。
黄体補充開始後 2~3 日目に、リンス液を子宮内に注入する。さらに黄体補充開始後 4~5 日目
に、凍結保存しておいた胚盤胞を 1 個融解して移植を行う。
排卵または黄体補充開始後 15 日目頃に血中 hCG を測定し妊娠判定を行う。妊娠判定が陰性
であれば、観察は終了とする。
妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊
娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。
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おける胚盤胞移植では、性ステロイドによる子宮内膜の分化は行われているものの、胚盤胞が
移植されて初めてクロストークが開始するため、子宮内膜の着床準備が遅れ、着床不全が起き
妊娠不成立となる、または着床遅延が生じている可能性がある。
Zhang らは day3移植例と day5移植例の妊娠周期での hCG 濃度を比較し、day5の方が低値
であることを報告している。かれらは、day5移植例の hCG 濃度が低値であるのは長期培養に
よる胚へのダメージが原因であると考察しているが、胚と子宮内膜のクロストークの開始が
day5移植では day3移植に比べて遅れるために生じたことに起因する着床遅延によるものと考
えることもできよう。私どもの研究においても、妊娠判定日(day30)における hCG 値が
SEET では BT と比べ有意に高値となったことより、BTに対し、SEET では培養液注入時よ
りクロストークが開始するため、適時着床が成立しBTと比較して着床時期が早くなったこと
が推察できる。SEET は胚由来因子により子宮内膜の implantation window に作用し胚受容能
を亢進している可能性があると考えている。
SEET は簡便で副作用もなく、BTと比較して妊娠率・着床率が高くなるため、臨床的に有
用な移植法となりうると考えている。
(概要)
対象:胚移植を必要とする不妊症
方法:
体外受精により作出された受精卵を体外で 5~6 日間培養し、得られた胚盤胞は一旦凍結保存す
る。この際に体外培養に使用された培養液(当院では SAGE
1-Step メディウムを約 50~100
㎕使用)を、胚盤胞とは別の容器に封入した後に凍結保存しておく。この培養液(リンス液と
いう)の中に、受精卵が成長する過程に排出される伝達物質が含まれていると考えられる。
胚盤胞移植(凍結融解胚移植)は自然排卵周期またはホルモン補充周期で行う。
自然排卵周期の場合は月経開始 10 日目頃より数回の診察を経て排卵日が確定すれば、排卵後 2
~3 日目にリンス液を子宮内に注入する。さらに排卵後 4~5 日目に凍結保存した胚盤胞を 1 個
融解して移植を行う。
ホルモン補充周期では月経開始 2 日目から卵胞ホルモン製剤の投与を開始し、月経 12~14 日目
の診察でホルモン値や子宮内膜厚の確認後問題なければ月経 15 日目より黄体補充を開始する。
黄体補充開始後 2~3 日目に、リンス液を子宮内に注入する。さらに黄体補充開始後 4~5 日目
に、凍結保存しておいた胚盤胞を 1 個融解して移植を行う。
排卵または黄体補充開始後 15 日目頃に血中 hCG を測定し妊娠判定を行う。妊娠判定が陰性
であれば、観察は終了とする。
妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊
娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。
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