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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.1 版 (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00111.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第 10.1 版(4/23)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.1 版 ●4 重症度分類とマネジメント

2 外来診療

〇 重症化リスクの低い軽症の患者では,特別な医療によらなくても,経過観察のみで自然に軽

快することが多い.
〇 重症度評価のため,パルスオキシメーターにより SpO2 を測定することが望ましい.
〇 重症化リスクの高い患者では,診断時は軽症と判断されても,発症後数日から 2 週目までに
病状が進行することがある.
〇 重症化リスクの高い患者に対して,早期に抗ウイルス薬を投与することは,入院や死亡を減
らすことが期待される.
〇 解熱鎮痛薬や鎮咳薬などの対症療法を必要に応じて行う(非ステロイド性抗炎症薬が COVID-19
の予後を悪化させるというエビデンスはない)

〇 軽症〜中等症Ⅰの患者に対し,ステロイド薬は使用すべきではない.ただし,他疾患で使用

中のステロイド薬を中止する必要はない.
〇 発症から 5 日間,かつ症状軽快から 1 日以上経過するまで,人との接触はできるだけ避けるよ
う指導する.同居家族がいる場合には生活空間を分けること,マスク着用や手洗いの励行を
指導する.
〇 急性期の症状が遷延したり再燃する場合には,医療機関を受診するよう指導する.発症から
3 カ月を経過しても,何らかの症状が 2 カ月以上持続しており,他に明らかな原因がない場
合には,罹患後症状を疑う.

【外来診療における抗ウイルス薬の選択】

「図 4-2」

「5 薬物療法」参照)
入院を要しない重症化リスク因子を有する COVID-19 患者に対する入院・重症化予防効果
が,レムデシビル,モルヌピラビル,ニルマトレルビル/リトナビルの3剤に認められている.
病状の進行が予期される重症化リスクの高い患者に対して,これらの抗ウイルス薬をできるだ
け早期に使用することは予後の改善に役立つと考えられる.
ただし,その根拠となった臨床試験はオミクロンに置き換わる前にワクチン未接種者を対象
に実施されたものである(p.44 表 5-1).オミクロンでは毒力が低下し,ワクチンも普及して
いることから,入院・重症化予防効果を証明するには大規模な臨床試験が必要となっている.
このため,観察研究を主体としたエビデンス(p.47 表 5-2B)に基づき,WHO や米国 NIH

ガイドラインは抗ウイルス薬の推奨度に差をつけるようになっている.なお,2023 年 6 月
21 日,モルヌピラビルの開発企業は欧州医薬品庁(EMA)に対して承認申請を取り下げた.
また,罹患後症状に対するこれらの抗ウイルス薬の有効性については肯定的な結果も否定的な
結果も得られており,今後の研究が待たれる.

〈入院を要しない高齢および基礎疾患のある COVID-19 患者に対する抗ウイルス薬の推奨度〉

レムデシビル

モルヌピラビル


WHO(2023 年 11 月)

条件付き推奨(免疫不全者) 条件付き推奨(免疫不全者) 強い推奨(免疫不全者)


米国 NIH(2024 年 2 月)

ニルマトレルビル/
リトナビル

中等度の推奨

弱い推奨

条件付き推奨(その他の
リスク因子のある患者)
強い推奨

エンシトレルビルが承認を受ける根拠となった臨床試験は重症化予防効果ではなく,症状の
早期改善を評価項目としている(p.46 表 5-2A).この試験では重症化リスク因子のある患者
が約 30%組み入れられているが,喫煙歴,肥満,脂質異常症が中心である.一方,65 歳以上

の高齢者の組み入れは1%に満たず,重症化リスク因子のある患者一般への本薬剤の使用を支
持するエビデンスは現時点で不足している.
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