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資料3-2 鈴木先生提出資料 (84 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第78回 3/30)《厚生労働省》
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1.

要約
長崎大学熱帯医学研究所を中心とする研究チームは、全国の医療機関 (病院および診療所)と協

力し、新型コロナワクチンの発症予防における有効性を評価する研究を 2021 年 7 月 1 日から開始し
た。今回、新型コロナウイルスの変異株 B.1.1.529 系統 (オミクロン株)が全国で拡大した 2022 年 1 月
1 日から 2 月 28 日に新型コロナウイルス検査を受けた患者情報を用いて、この期間の発症予防にお
ける新型コロナワクチンの有効性について暫定値をまとめた。
16 歳~64 歳において、ファイザー社製あるいはモデルナ社製いずれかのワクチンの 2 回接種完了
(2 回接種後 14 日以上経過)による発症予防における有効性を 42.8% (95%信頼区間:23.6~57.1%)、3
回接種完了 (3 回接種後 14 日以上経過)における有効性を 68.7% (95%信頼区間:37.1~84.4%)と推定
した。2 回接種完了による有効性について、ファイザー社製ワクチンに限定すると 41.8% (95%信頼区間:
21.1~57.1%)、モデルナ社製ワクチンに限定すると 46.4% (95%信頼区間:24.1~62.2%)と推定した。2 回接
種完了群においてワクチン接種からの時間経過でわけて解析したところ、接種完了後から 90 日以内の
有効性は 41.4% (95%信頼区間:16.2~59.0%)、91~180 日では 43.0% (95%信頼区間:22.6~58.0%)、181
日以降では 31.7% (95%信頼区間:-17.6~60.4%)であり、時間経過とともにワクチンの有効性が減弱して
いる可能性があると考えられた。本研究の第 2 報で報告した、デルタ株が流行した 2021 年 7 月 1 日か
ら 9 月 30 日における発症予防における有効性と比較したところ、接種からの時間経過を加味しても新
型コロナワクチンの有効性は低下していると考えられ、オミクロン株への置き換わりによる有効性の低
下と考えた。
本報告は極めてサンプルサイズが限られているが、公衆衛生学的意義を鑑みつつ、暫定値を報告し
た。本報告は長期サーベイランス研究の一部であり、2022 年 1 月 1 日から 2 月 28 日においても、集計
できていない情報もあるため、今後結果が変わる可能性があり、随時アップデートした結果を報告する
予定である。

2.

背景
海外諸国に続き、2021 年 2 月から日本でも新型コロナワクチン接種が開始され、同年 12 月からは追

加接種を開始している。国内において、より適切なワクチン政策を議論する際の科学的根拠として、国
内における最新のワクチンの有効性データは必要不可欠である。
2021 年 7 月 1 日から長崎大学熱帯医学研究所を中心とした研究チームは、全国の医療機関 (病院
および診療所)と協力し、これまでにインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの研究で使用されてい
る検査陰性デザイン (test-negative design:TND)を用いた症例対照研究を使って (1, 2)、新型コロナワ
ク チ ン の 有 効 性 を 経 時 的 に 評 価 す る サ ー ベ イ ラ ン ス 研 究 (Vaccine Effectiveness Real-time
Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) study)を開始した (3)。第 2 報では、2021 年 7 月 1 日から 9
月 30 日までの登録患者の情報を解析し、16 歳以上での新型コロナワクチンの包括的有効性、ワクチン
の種類ごとの有効性、ワクチン接種後の経過期間による有効性の違いを報告した (4)。2021 年 7 月 1
日から 9 月 30 日の期間は全国的に新型コロナウイルスの 90%以上がデルタ株であったため、同結果は
デルタ株へのワクチンの有効性と考えた。第 3 報では、新型コロナウイルスの変異株 B.1.1.529 系統
(オミクロン株)の流行が始まった 2022 年 1 月のデータを用い、同期間における新型コロナワクチンの
発症予防における有効性が、第 2 報と比較して低下していることを明らかにした (5)。

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